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株式会社潮(うしお)

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    • 営業時間:9:00~18:00
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「エアコンで室内をいくら温めても、足元は寒い」そんな時あなたならどうしますか? コンタクトレンズが乾いたり肌が乾燥したり、エアコンを使うことで生じるさまざまな悩みを解決! 快適空間をつくり出します。

ココがイチオシ!

エアコンによる悩みを解消、一度使ったら必ず欲しくなる世界初・横浜発「ハイブリッドファン」を生んだ企業

 

2015年12月04日

「空調環境の革命を起こしている」と絶賛されたハイブリッドファン
 
「ハイブリッドファン」とは、エアコンの吹き出し口に設置するもので、直接エアコンの風が人に当たらないようにしたり、空気をかき混ぜ室内全体の温度を一定に保ったりする機能がある。
 

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ハイブリッドファンはエアコンに設置

 
ハイブリッドファンの説明を聞くと「“そういう商品を作りたいって、自分も思っていたんだ”と言う人がとても多いんだよ」と笑って話すのは、株式会社潮(うしお)の代表取締役・田中俊孝(たなか・としたか)さん。
 

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「必要なのは行動力だから!」と田中社長

 
「みんな発想はあっても行動していない。重要なのは、行動するか、しないかの違いだけだ」という田中社長は、持ち前の行動力と鋭い観察眼で、ハイブリッドファンを作り上げる。
 
南国のホテルなどで、天井にぐるぐるまわる羽根(シーリングファン)を見たことがあるが、これとハイブリッドファンは大きく異なる。
 

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これがシーリングファン(フリー画像より)

 
モーターで動くシーリングファンとは違い、ハイブリッドファンはエアコンからでる「吹き出し風」によって動くので、電力を必要としないのだ。
 
商品自体も軽いので、ドライバーひとつあれば自分で取り付けることができる。
 

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実際に持ってみると、軽くてびっくり

 
ハイブリッドファンは、エアコンの風を受けて静かにクルクルまわる。ガタガタ揺れたり、ずれたりすることはない。
 

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電力不要のECOな商品

 
ハイブリッドファンが生まれるまで、田中社長にはたくさんのドラマがあった。
  
自身の努力に加え、運命のような出会いの数々によって、ハイブリッドファンは唯一無二の魅力ある商品となったのだ。
 
では、田中社長とハイブリッドファンの歩んだ歴史とは、どういったものだったのだろうか?
 
 
 
ハイブリッドファン開発の原点は「居酒屋の空調とおしぼり」
 
田中社長は、今から40年以上前、コンピューターのクリーンルームを作る仕事をしていた。はじめはアルバイトとして働いていたが、その後1976(昭和51)年に独立。「儲かり過ぎちゃって、会社を起こしたんだ」と笑う。
 
クリーンルームとは、当時非常に大きな設備だったコンピューターを置くための部屋で、温度や湿度などの環境を管理したり、セキュリティ対策をしたりした特殊な部屋だ。
 

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大手電機メーカーから数多く受注していたそう

 
しかし、その後コンピューターは小型化が進み、置く場所も選ばなくなってくる。田中社長の会社は、一時は30人も社員を抱えていたそうだが、徐々に縮小、ついに社員は自分一人になる。
 
当時は借金もあり「このころが一番たいへんだった」と話す。周囲からは自己破産を薦める声もあったそう。そんな時でも、田中社長には「横浜の地元企業の社長など、縁あってつき合いを続けてくれていた尊敬できる人がたくさんいた」という。
 
その人たちからの言葉から「借金は最後の1円まで自分で返す。自己破産はしない」と決意する。
 

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自分を信じてくれている人に恩を返したかった」と田中社長

 
そして、ある日たまたま行った居酒屋で焼き鳥を食べながら、ふと上を見上げるとエアコンの風の吹き出し口におしぼりを詰めてあるのが目に入る。「なぜだ?」と思った田中社長は店員さんに質問する。
 
答えは「エアコンの風が直接お客さんに当たるのを防いでいる」ということだったそう。直接エアコンの風が体に当たると、不快に感じる人がいると知った田中社長は、これを解消できるものを作ってみようと思いつく。
 
ほかにも同様のエアコンの悩みを持っている人がたくさんいるのでは!? と感じたからだ。
 
田中社長は、早速東急ハンズに行き、材料を購入。プロトタイプの「ハイブリッドファン」を作り上げる。「試しに5台作って、知り合いに持って行って使ってもらったんだ」と田中社長。
 
え? 東急ハンズで材料買って、自分で作っちゃったの??
 

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「そういうの、得意なの」

 
実際に使ってもらうと「なかなかいいよ。直接冷房の風が当たらないので、女の子のストールがいらなくなった」という感想のほかに「夏場の設定温度を上げても快適だった」という声があり、これは意外な発見だったという。
 
また、冷暖房の設定温度を上げたり下げたりした分、電気代も安くなったそうだ。まさに一石二鳥とはこのこと。
 
田中社長は、このハイブリッドファンを2004(平成16)年に1200台作る。当時はまだ量産体制は整っておらず、手作りだったそう。
 
このうちの多くを実際に企業や店舗でサンプルとして使ってもらい、高い評価を得る。「購入したい」という人がどんどん出てきて、手ごたえを感じたそう。
 
今でも、同社の事務所には、当時のプロトタイプのハイブリッドファンが設置されている。
 

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手作りのプロトタイプ。現在のものと見た目はほとんど変わらない

 
ハイブリッドファンを今後も製造していくためには、軽量化と材料の安定的な調達、量産体制などを整える必要があった。そのため、アルミで作っていたプロトタイプを、より軽いプラスチックにしたいと田中社長は考え、行動を起こす。
 
 
 
出会いは突然に! 思いもよらなかった特許取得が実現
 
2005(平成17)年、プロトタイプはスチール製やアルミ製だったベアリング(軸受)を樹脂製にするために、ベアリング会社に開発と製造を依頼する。その時にベアリング会社にいたのが、現在も株式会社潮で働く塩島章二(しおじま・しょうじ)さんだ。
 

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穏やかな語り口調の塩島さんは潮の開発室部長

 
アイデアマンの田中社長が考える商品の改良アイデアを、製造現場に伝え、試行錯誤をしながら樹脂製のハイブリッドファンの開発を進めたという塩島さん。
 
商品開発を行っている間にも、ハイブリッドファンを展示会で見て「購入したい」という声があり、部品を1200台製造。そして居酒屋チェーンの店舗に納品したそう。
 

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現行商品の樹脂製ハイブリッドファン

 
目まぐるしく商品の開発と改良を進め、会社の立て直しを図っていた田中社長は、ある日、異業種の人が集まる会合に出席する。
 
その時に出会った人に、自分が今どんな仕事をしているか話して自己紹介をしていると「それは特許を取った方がいい。可能かどうか、調べてみるよ」と言われたという。
 
たまたま自己紹介していた相手が、弁理士だったのだ。
 

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「人の出会いに恵まれているんだ」と田中社長

 
そして、その弁理士に頼み、特許の出願をするも、結果は特許庁に却下される、というものだった。
 
「ほかにも同じものがある」という見解が出されたそう。ほかに同じもの、と言われても納得できなかったという。「同じものなんてないと思っていたから」と田中社長。
 
そして、詳しい説明を求め特許庁に面会を希望する。
 

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「普通の人は、そんなことしないらしいけどね」

 
結局、田中社長の行動力が功を奏し、特許庁が再調査した結果「同じものは無かった」という結論に達する。その後は異例の早さで、特許を取得することができたそうだ。
 

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2005(平成17)年に特許を取得

 
順調に売り上げを伸ばしていくハイブリッドファン。大手電機メーカーの工場へ導入が決定するなど、その後も大企業へ次々に納入していった。
 
しかし、2010(平成22)年9月に大きな事件が起こる。
 
 

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