このエントランスも佐布さんが製作
　

ドアは浅間町のBuddyから移設したもの
　

ここからはSTOVE’S店長の藤田真也（ふじた・しんや）さんに話を聞く

　
藤田さんは12年前、まだ学生だった21歳のときにアルバイトで働きはじめたあと、25歳で店長を任された。それから今日まで、STOVE’Sという店、そして何よりもオーナーの佐布さんが好きで働き続けているという。
　
佐布さんは、何かを思いつくとその場ですぐに作り始めて、みるみるうちにでき上がったものがいつでもアイデアに富んでいて洗練されていて「とてもじゃないが敵わない」そうだ。
　

「ずっと背中を追いかけてますけど、全然追いつけませんね（笑）」と藤田さん
　

「例えばこれは」と言って手に取ったのはペーパータオルスタンド
　

これも佐布さんがパッと思いついてナンバープレートを折り曲げ作ったという

　
　
　
STOVE’Sと藤田さん
　
藤田さんは、アルバイトとして働きはじめる前は、ふつうに客としてSTOVE’Sに飲みに来ていた。
　
音楽が好きでよくライブに足を運んでいた藤田さんは、観に行ったライブでたまたま聴いたCaravanの音楽を気に入ってCDを買って帰った。そして後日、Caravanが出演すると知って観に来たのがSTOVE’Sだったという。そのときに店の雰囲気に魅せられて通うようになった。
　

STOVE’Sも店内の奥のスペースでライブイベントを開催することがあるという

　
その後、沖縄のゲストハウスに住み込みで働き、接客業のノウハウを身につけて帰ってきた藤田さんに、STOVE’Sで馴染みになっていたスタッフから「ここで働かない？」と声がかかった。以前からいい店だと思っていた藤田さんは即答で快諾。そして働きはじめて4年で店長を任された。人生の歯車が噛み合う瞬間はこんなふうに偶然みたいなタイミングでやってくるのだろう。
　

それ以来、藤田さんはいつでもここにいる

　
　
　
インテリア探訪
　
そんな藤田さんが切り盛りしているSTOVE’Sには、エントランスだけでなく店内にも佐布さんがみずからつくったものがいくつもある。
　

このカウンターテーブルも手作りである
　

カウンター下の寄せ木でつくった模様にも佐布さんのこだわりが見られる
　

カウンターの上のこのオブジェはクリスマスツリーとして置いたもの

　
クリスマスが終わったあともそのまま店内のオブジェとして使っていて、取り付けた針金の輪はキャンドルを入れる燭台（しょくだい）になっている。
　

入ってすぐ左のテーブルには太陽の光が降り注いでとても明るい
　

そのテーブルから店内を眺める。手前右のカウンターはDJブースにもなる
　

そしてこのDJブースでは、毎週DJナイトが開催されるという

　
毎週木曜日の午後8時〜11時、InterFMでパーソナリティーをつとめており（毎週日曜日午前11時〜午後3時「LAZY SUNDAY」）、そして2016年（平成28）は横浜スタジアムの公式スタジアムDJにもなったジョージ・カックルさんのDJナイトである。
　

掲げられたプレートには「George Cockle LAZY THURSDAY STOVE’S」
　

カックルさんを囲んで、かかる曲についての話などを聞くことができる
　

楽しい夜である

　
　
　
続 インテリア探訪
　
ちょっと話がそれてしまったが、もう少し店内を紹介したいので再びインテリア探訪である。
　

店内にはいい色と質感のテーブルが並び、奥には一段下がった魅力的な席も
　

一見無造作に吊るされたようにも見えるサーフボードも
　

日常と喧騒を離れるには充分な空間をつくりだしてくれる
　

何だか日差しの色も違って見えてくる。外に海がないのが不思議なくらいだ
　

それからこのテーブル。綺麗だなと思っていたのだが
　

何と、佐布さんが娘さんと一緒にタイルをならべて描いた模様だという
　

そのうしろの壁には稲村ヶ崎に美しい波が押し寄せる伝説的な写真も飾られている
　

窓辺にはコロナとコカコーラの瓶の底を切ってひっくり返した粋なグラスも
　
この壁にはハワイ出身のバンドKalapanaのアルバム『Kalapana II』

　
店内で流れる音楽は、ランチタイムはハワイアン、ディナータイムとバータイムは70年代のロックが中心だが、スタッフが好きな音楽であれば最近のものでも流れる。
　
藤田さんによると、客層は20～50代くらいの大人の男女がメイン。ストリート・カルチャーが好きな若い世代も多いが、最近は子育てや仕事が少し落ち着いて20年ぶりに常連に復活した40〜50代も増えてきたそうだ。22年変わらずに同じ場所で店を開けているということは、そういうことなのだ。
　
ちなみに取材したのはランチタイムだったが、女性客が圧倒的に多かった。メニューを見てみるとそれもそうだろうと深くうなずくばかりのラインアップだったので、そろそろ料理の話に移ることに。