居酒屋
北の味と和み ぽあろ
- JR根岸線「桜木町駅」より徒歩7分
京浜急行線「日ノ出町駅」より徒歩5分 - 神奈川県横浜市中区宮川町2-52-4 宮川TKビル3F
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- 営業時間:17:30~22:00(ラストイン)※17時半前の入店は事前に要確認
- 定休日:木曜、第3水曜日定休、夏季・冬季休有
若き店主の「こだわり」にも感動! 大切な人と一緒に訪れたい、穴場的名店
一歩足を踏み入れれば、そこはもう北海道!? 道民も驚く味がそろう、野毛の隠れ家的和食料理店「ぽあろ」
2016年07月26日
こうして北海道から取り寄せた最高の食材は、水木さんの手によって見た目にも美しい料理へと生まれ変わる。
手際よく料理を仕上げていく水木さんのわざに思わず見入ってしまう
飲食店の切り盛りに忙しいお母様に代わって「小さなころから包丁を握っていた」という水木さん。そこに持ち前の探究心が加わり、味付けの調味料も自身で食材に合わせブレンドするなど、すべてにこだわり抜いた繊細な味を次々と生み出しているのだ。
常連さんの間でも大人気だという昆布森(こんぶもり)産の「生がき850円/税別以下同」
ブランド牡蠣としても知られる「昆布森産のカキ」は、身がしまり、濃厚なコクが口いっぱいに広がってくる。そして、水木さんが「カキの旨みを引き出すために」とオリジナルでブレンドした手作りの「カキぽんず」がまた合うのだ。
塩味控えめ酸味と香りは強めの、水木さん手づくり「カキぽんず」との相性も抜群だ
また、これも常連さんの間で大人気だという「ラムのたたきと玉葱醤油漬け880円」は、北海道から塊のまま取り寄せたラム肉に、水木さんがブレンドしたという醤油に漬け込んだ玉ねぎが添えられる。
新鮮だからできるラムのたたき。クセもなく柔らかな肉にハマる人、続出!
全くクセのないラム肉も絶品だが、この醤油漬けの玉ねぎ・・・美味しいなぁ。水木さんいわく「この玉ねぎをおつまみにお酒を飲んでいる方も多い」というが、それもえらく納得。絶妙な玉ねぎのシャキシャキ感といい、味の濃さといい、確かにおつまみにピッタリだ。
それにしても、先ほどの「カキぽんず」といい、玉ねぎに使う醤油といい、タレや調味料まで水木さんの手が加えられていることに驚く。こうした調味料に「アレンジを加えることなくそのまま使うことはほとんどない」というから恐れ入る。
玉ねぎにしっかりと染み込んだオリジナルブレンドの醤油。これがまた旨い!
そして筆者が一番ハマったのがコレ。
「自家製チーズ豆腐680円」。甘酢漬けにしたクコの実が添えられる
だしとチーズを合わせて味付けしたものを煮詰めて、さらに裏ごししたものを固めたという「チーズ豆腐」は、シンプルながら手間ひまの掛けられた上品な味わい。
口に入れた時に広がるチーズの豊かな風味は、まるでさっぱりとしたデザートを楽しんでいるかのよう。それでいて甘味はないのでワインや日本酒とも合う・・・まさに「クセになりそうな味」なのだ。
チーズ豆腐の上品な美味しさに、編集部・木村もビックリ!
もちろん、「北海道と言えば・・・」の新鮮な魚介類や刺身も充実している。
「旬物おまかせ五点盛り(一人前)1480円」。内容はその時によって変わる
この日の内容は「時不知(ときしらず)、ほっけ、鰈(かれい)、八角、白つぶ、真そい」の6種。メニューでは「5種盛り」となっているが、1~2種多めに盛り付けられているのもご愛嬌。ほっけや八角の刺身が横浜で食べられるなんて、ちょっと感動的だ。
そして、盛り付けた魚の横には、水木さんお手製だという魚の名前が書かれた木札が添えられている。「この魚、ナニ?」というお客さんの疑問をすぐに解決してくれる、うれしい心遣いだ。
スタッフ一同「鰈=かれい」と読めなかったという笑い話もありつつ・・・
今回はいただくことができなかったが、食後のデザートも基本、水木さんの手作り。「その時の旬の食材を使ったプリンを提供している」という。今年の春は余市産のりんごを、夏は季節の野菜を使用。何の野菜を使っているかは・・・「その時のお楽しみで(笑)」とのこと。
しかも、この手作りデザートに添えているアイスもまたスゴイ。酪農が盛んな長沼町(ながぬまちょう)で水木さんいわく「うちの店用に作ってもらっている」という逸品。「ほかでは販売していませんので、本当にここでしか食べられないアイスです」と胸を張る。
全く妥協のない料理ばかり・・・すべて食べ尽くしてみたい!
酒の肴も〆の食事も、デザートも、本当にこだわりの詰まった魅惑の逸品ぞろい。そして、季節ごとに旬の新しい味に出会える・・・確かに、足しげく通い続ける常連客が多いというのもわかるなぁ。
料理からテーブルセッティングまで随所に感じさせる「おもてなし」の心
それにしても、調味料の一つひとつにも自身でアレンジを加え、盛り付けやさまざまな“心遣い”に至るまで、本当に仕事が丁寧だなぁと感心してしまう。こうした心遣いは料理だけでなく、店の内装や細かなサービスにも息づいている。
例えば、各席に使われている和紙のテーブルマットには、季節をイメージした絵柄が描かれており、月ごとにその柄を変更している。これも「衛生上、生花が飾れないので、せめてこの絵柄で季節を感じてもらえれば・・・」という水木さんの心遣いからだ。
椿や鯉のぼり、花菖蒲(はなしょうぶ)など、季節を感じさせる絵柄を月ごとに使い分ける
また、常連客の方々のボトルキープにもひと工夫。「北海道出身のお客様が多い」ことに目をつけ、道内各市町村の「カントリーサイン」をつけたキーホルダーを用意し、ボトルの首に出身地のキーホルダーを掛けてもらっている。「各市町村、先着1名様まで」とのことだが、これはちょっとうれしいかも。
高速道路などでよくお目にかかる「カントリーサイン」をキーホルダーに
カントリーサインをつけたボトル。“地元愛”を再確認できそう!
「お客様が気分よく食事が楽しめるように」と店内は終日禁煙。また、泥酔されている方や、大声で騒ぐようなお客さんには入店をご遠慮いただくなど、店にいらしたお客さんにとっての「快適な空間づくり」にも余念がない。
もしかしたらそれを「堅苦しい」と感じる人もいるかもしれない。しかし、そうした細やかな“心配り”に惹かれ、リピーターとして何度も訪れるお客さんが多いのも事実。ゆっくり大切な人と、食事やお酒を楽しみたい。そんな時にこそ使いたくなる店だと思う。
水木さんの「お客様を大切にする心」が伝わってくる名店だ
今度はジャガイモやメロンなど、野菜や果物が旬を迎える季節にもう一度訪れてみたい・・・そう思いながら店を後にした。
取材を終えて
まるで普通のマンションの一室に入るかのようなドアに少し驚きながらも、一歩中に入ると・・・本当に何もかもが北海道づくし! その徹底したこだわりと、水木さんの料理への信念にただただ感心させられた取材だった。
こういう「大人の空間」で日本酒や焼酎をゆっくり味わってみたい
今も、北海道へ定期的に足を運び、道内出身の人でもあまり知らない食材を見つけ、仕入れルートを開拓し続けている水木さん。今後もきっと「こんな食材があるの!?」と衝撃を受けるような味を私たちに提供してくれるに違いない。
久しぶりに「大切な人に教えてあげたい、とっておきの店」に出会ったように思う。
―終わり―
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※情報は取材時のものです