居酒屋
北の味と和み ぽあろ
- JR根岸線「桜木町駅」より徒歩7分
京浜急行線「日ノ出町駅」より徒歩5分 - 神奈川県横浜市中区宮川町2-52-4 宮川TKビル3F
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- 営業時間:17:30~22:00(ラストイン)※17時半前の入店は事前に要確認
- 定休日:木曜、第3水曜日定休、夏季・冬季休有
若き店主の「こだわり」にも感動! 大切な人と一緒に訪れたい、穴場的名店
一歩足を踏み入れれば、そこはもう北海道!? 道民も驚く味がそろう、野毛の隠れ家的和食料理店「ぽあろ」
2016年07月26日
何を隠そう、年に一度は「絶対に行く!」というほどの北海道好き。
雄大な大自然、カラッとした夏の晴天、何もかもが白い真冬の光景、そして驚くほどに美味しい食材(特に野菜のおいしさったら、もう!)の数々、道内限定ビール「サッポロ・クラシック」の旨さ・・・魅力を挙げろと言われたらもうキリがない。
こういう雄大な景色は、見ているだけで心が洗われる(写真はイメージ)
そんな筆者に、野毛にある「北海道の味を堪能できる店」の取材依頼が来た。聞けば、北海道出身のご主人が一人で切り盛りする「食材から何から何まで北海道にこだわり抜いた和食メインの料理店」だという。
取材当日、超! ウキウキ気分で現地に向かったのは言うまでもない。
本当にここは横浜!? 目に入るものすべてが“北海道”!
ということで、一路、JR桜木町駅へ。駅の南改札を抜け、西口からまっすぐに伸びる「平戸桜木通路」沿いをJRA(日本中央競馬会)のウインズ横浜を目印に進む。今回、訪れる「ぽあろ」は、そのウインズとは道路を挟んで反対側、さらに通りを1本入ったところにある。
小さな飲食店が並ぶ細い通り沿いに「ぽあろ」の入るビルが見えてきた
野毛というと、飲食店がひしめき合うにぎやかな場所を想像してしまうが、こちらのビルの周辺は住宅や駐車場なども点在する、ちょっと静かな雰囲気。きっと、この店を紹介されたら「この人、かなりのツウだな」と感じるに違いない・・・そんな“穴場的場所”だ。
エレベーターで3階に上がると、小さな木製の看板が出迎えてくれた
ドアを開くと、2人、4人掛けのテーブル各1つとカウンター席という、想像以上にこぢんまりとした空間が広がっていた。でも決して“狭い!”というわけではない。通路も広く、一人ひとりのスペースがしっかりと確保されているので、ゆったりと落ち着いた時間を過ごすことができるはずだ。
和紙のテーブルマットがセッティングされたテーブル。和食割烹の雰囲気だ
グループで食事を楽しめる6人掛けのテーブル席も用意されている
われわれを出迎えてくれたのは、北海道札幌市出身の店主、水木啓介(みずき・けいすけ)さん。都内の飲食店で調理からホールまで「一通りの仕事を経験した」後に独立を決意。2012(平成24)年、地元・北海道の味にこだわった「ぽあろ」をオープンさせた。
店主の水木さん。佇まいや話し方からも「料理人らしさ」が伝わってくる
このちょっと変わった「ぽあろ」という店名は、もともと地元で水木さんのお母様が経営していた喫茶店「ポアロ」の名前を引き継いだもの。おいしい食事を食べて笑顔になるお客さんを見て、水木さんも小さなころから「将来は『ポアロ』のマスターになる!」と心に決めていたのだという。
しかし、残念ながら「ポアロ」は水木さんが10代のころに諸般の事情により閉店。その店のマスターになるという夢は叶うことはなかったが、今、喫茶店から和食料理店へと店の形態を変え、ここ横浜の地で2代目「ぽあろ」をオープン。長年の夢を実現させた。
「ぽあろ」という店名には、水木さんのさまざまな“想い”が込められている
横浜に店を構えた理由について「本当にたまたまで・・・」と笑った水木さん。独立を決意してから、都内も含めさまざまな物件を廻り続け、10ヶ月かかってようやく見つけ出したのが現在の場所なのだという。
自分一人でも店内全てに目が届く広さ、そして、静かで落ち着いた雰囲気ながら「行きたいと思ったらすぐに足を延ばしてもらえる」便利な立地・・・独立後は「ゆっくりお客様と向き合った仕事がしたい」と考えていたという水木さんにとって、まさにここは“夢を実現できる場所”だったのだ。
厨房にいてもお客さん一人ひとりに目が届く「理想的な広さ」なのだという
水木さんが目指したのは「横浜にはない“北海道の食材”にこだわった店」。そのため、店で提供する魚介類や野菜はもちろん、お酒やソフトドリンク、水にいたるまで、そのすべてを北海道から仕入れている。
最初は「仕入量の加減がわからず、食材を余らせて焦ることもあった」と話す水木さん。特に新鮮さがウリとなる魚介類の仕入れは「慣れるまでが大変でしたね」と、当時を振り返る。
魚介類も北海道から直送。関東ではなかなかお目にかかれない珍しい魚もそろう
この店で使う食材の仕入れルートは、水木さんが実際に北海道へ足を運んで築き上げてきたもの。しかも一つひとつ自分の舌で吟味し、納得したものだけに厳選しているのだという。今でも「年に一度は北海道に足を運び、新たな味を探して回っている」というから驚きだ。
こうして集められた食材は、北海道出身者、いや、現在、北海道に住んでいる人でも「見たことない」「知らない」と驚かれるほど、珍しいものも少なくない。
例えば・・・
生産量が少なく“幻の玉ねぎ”ともいわれている「札幌黄(さっぽろき)」や
2000本限定生産、シリアルナンバー入りのお酒「十勝蒸留所2015」などもそろう
ほかには、札幌市内でも販売店が数えるほどしかないという増毛(ましけ)フルーツワイナリーの「増毛シードル」や、道内ではメジャーでも関東ではあまりにお目にかからない魚「八角(はっかく)」、そして「サッポロ・クラシック」の季節限定の味など、メニューには思わず「食べてみたい!」「飲んでみたい!」と思ってしまう、珍しい味がズラリと並んでいるのだ。
生産量が少なく、なかなか手に入らない日本酒も多数そろえている
お店で出される飲用水も北海道から取り寄せるというこだわりぶり
北海道から直送される食材の確かな旨さと、水木さんのこだわりで集められた「珍しい味」が評判を呼び、今では「訪れるお客様の9割近くがリピーター」というほどの人気店に。また、水木さんいわく「常連さんが新たなお客様を連れて来てくれることも多い」という。それだけ「人に紹介したくなる店」ということなのだろう。
野毛の繁華街から少し離れた立地ながら、予約でいっぱいの日も多いという
季節はもちろん、北海道の天候によっても入荷する食材、特に魚介類の内容は大きく変わる。時には「時化(しけ)などで漁獲量が少ない時もある」という。
そのため、「ぽてとさらだ」や「ザンギ(鶏のから揚げ)」といった定番メニューの他、オススメメニューとして、季節や食材の入荷状況によってメニューの内容を変え、提供している。
オススメメニューがズラリ。この品数を一人で提供しているとは・・・
入荷した食材に合わせて日々提供するメニューを変え、一人でお店を切り盛りするのは、さぞかし大変なのではないかとも思うのだが、水木さんは「お客様に喜んでいただけるのであれば・・・」と、そんな苦労など全く意に介さないといった感じだ。
その静かな語り口から、内に秘めた料理への想いがひしひしと伝わってくる。