横浜のごみ事情はどうなっているの?
ココがキニナル!
横浜ってごみの分別項目が多いと感じるけれど、横浜市のごみ処理の状況はどうなっているんですか?(負の連鎖さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜はごみ減量計画で、全国的にも突出した成功を収めています。
ライター:松崎 辰彦
横浜のごみはどうなっているか
どの自治体も頭を痛めているのが、ごみ処理の問題。人間がいるところ、そこにはごみがある。江戸時代の日本は理想的なリサイクル社会だったとも言われ、極力ごみを出さないシステムが存在したとされている。リサイクルという言葉などもちろんない時代、日本にはもっと切実な「もったいない」という言葉があり、資源の有効利用がなされていたのである。
しかし西洋文化が流入し、大量生産大量消費の時代を迎えると「消費は美徳」となり、ごみもまた大量生産時代に突入した。そして平成の現代、「もったいない」はなぜか世界語“MOTTAINAI”へとおしゃれに変貌し、ものを捨てずに徹底的に使う人はケチではなく、「環境意識の高い人」へと昇格した。
さてさて、わが横浜はどうであろうか?
人口370万人弱を擁する大都会は、そのごみの量たるものもハンパではあるまい。日々大量に排出するごみを、市民はしっかり分別し、使えるものはリサイクルしているだろうか?
ごみ集積所の様子(港北区)
横浜市民の一人に聞いてみると
「はぁ・・・あんまり気にしていないですね。分別といっても、大雑把に分けるくらいで、あまり細かくは考えないです。横浜は市民の出入りが多いから、あまり郷土意識は持てず、ごみの分別に関してもついつい、おろそかになりがちなんです。もちろん、こんなこと言い訳にもなりませんが(苦笑)」(会社員・独身・27歳)
おりしも今年は 横浜のごみ減量計画『G30(ジーサンジュウ)』が終了する年。
ごみ問題に新たなステップが期待される年である。
横浜はごみの大減量に成功!
横浜市民なら一度は耳にしたことがある『G30』(Gomi〈ごみ〉・Genryo〈減量〉・Good・Global Environment〈地球環境〉などに共通する頭文字Gと、削減目標30%を合せたネーミング。また“ごみゼロ”の意もこめられている)。しかしその具体的内容は、どれだけ浸透しているだろう。
G30がスタートしたのは平成15年。当初は平成22年までに横浜市のごみの排出量を平成13年度比で30%減らすという計画だった。横浜市は多くのキャンペーンを行い一般市民や事業主に、ごみ減量を訴えた。このイベントの中心となったのが、横浜市資源循環局。
そんなわけで、関内にある同局に赴いた。お話を伺ったのは総務部の佐藤栄次係長。
横浜市資源循環局総務部3R推進課 佐藤栄次係長
―今年でG30は終了しますね。推計人口370万人弱という大都会横浜で、ごみ削減を浸透させるのは大変だったと思います。
「横浜は市民の流入も多く、大きな都市ならではのさまざまな事情を抱えています。そうしたなかで、G30は大きな成功を収めました。これも一般市民や事業主の皆様のご理解とご協力の賜物です」
―G30を契機に横浜がごみの大幅減量に成功した話はよく耳にしますが、実際にどれほどの減量に成功したのですか?
「平成21年は平成13年度から比べて実に42.2%のごみを減量できました」
―42.2%! それはまた大変な数値ですね。
「具体的に言いますと、平成13年度は資源物を除くごみの量は160万9155トンだったのですが、平成21年度は92万9728トンに減りました。これは横浜マリンタワー(約12000トン)56基分のごみが減少したことを意味しています」
(注・ちなみに平成13年度の横浜市民一人当たりのごみの量〈資源物を含む〉は一日平均1313gで、全国平均の1124gを上回っていた。それが平成20年度になると横浜市民は一日959gで、全国平均が1033g。全国平均を下回ることに成功した)
『G30』期間中のごみ(資源物除く)の量(横浜市資源循環局『きれいなまちに』から)
平成13年 | 平成20年 | 増減 | ||
全国平均 | 1124g | 1033g | -91g | -8% |
横浜市 | 1313g | 959g | -354g | -27% |
川崎市 | 1111g | 1020g | -91g | -8% |
大阪市 | 1918g | 1548g | -370g | -19% |
名古屋市 | 1020g | 1095g | +75g | +7% |
他の主要都市の市民一人当たり一日に出すごみ(資源物を含む)の量との比較(数値は環境省のHPより)
「当然ながらCO2削減効果も著しく、平成21年度はごみ処理全体で発生するCO2が平成13年度より90万トン少なくなりました。これは、資源循環局独自の推計値です。これは杉の成木約6400万本が1年間に吸収するCO2 に匹敵します」
―地球温暖化を抑制する効果も、著しかったわけですね。
市民一人ひとりがごみを抑えている
「皆様の努力のおかげで、ごみの抑制は順調に進み、G30がスタートして5年後の平成17年度には、平成13年度比で33.9%削減が実現しました。予定よりも5年早く、目標を達成したのです。そこで私たちはさらに目標を上方修正して、平成22年度には35%のごみ削減を掲げました。ところがこれもわずか数年で達成し、結局平成21年度には42.2%のごみ削減が達成されました」
その背後には、牽引者としての横浜市の地道な努力があったことはいうまでもない。
担当職員が自治会などに出向くこと1万2千回以上、そのたびにごみの10分別15品目の説明をした。
「市民・事業者・行政の協働」「徹底的なごみの分別と資源化」「環境に配慮したごみ処理の推進」など、いくつかの基本的な指針を打ち出して、ごみの減量に取り組んだ。
「へら星人ミーオ」なる独自のキャラクターも作り出し、親しみやすさを強調した。
プロフィール | |
◆名前 | へら星人 ミーオ |
◆性別 | なし |
◆誕生日 | 5月30日 |
◆年齢 | 若く見えるけど、へら暦では530歳(へら星人の平均寿命は1万歳) |
◆出身 | 天陽系第3惑星へら |
◆身長 | 53cm |
◆体重 | 530g |
◆性格 | 誰とでもすぐに仲良くなることができる。 |
◆趣味 | ダイエット、お散歩、地球観察 |
◆口ぐせ | 「ヨコハマはG30」 |
◆好きな言葉 | スマート、スリム |
◆弱点 | 気を抜くと、すぐに太ってしまう |
『ヨコハマはG30』マスコットキャラクター(横浜市資源循環局HPから)
こうした行政の努力に、市民も呼応した。
“レジ袋を必要以上に使用しない”“食品買い過ぎず、残さず、食品ロスを減らす”“古い洋服はリフォームして新しくする”などといった一人ひとりの工夫が、ごみを少しずつ減らしていったのである。
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