横浜市の現市庁舎は今後どうなる? そもそも関内エリアの再開発とは?
ココがキニナル!
横浜市の現市庁舎街区活用の事業予定者が決まったが、どんな風に変わるの?関内周辺エリアの活用についてもキニナル(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
横浜市役所は2020年6月の移転に伴って、現市庁舎跡地には地上34階・地下1階建ての商業施設やホテルなどが2024度末までに開業する。関内周辺が大変貌を遂げる。
ライター:池田 恵美子
60年の歴史を刻んだ現横浜市庁舎
JR関内駅南口駅前にある、現在の横浜市庁舎の行政棟と市会1号棟が竣工したのは今から60年前の1959(昭和34)年。横浜の戦災復興を意図した「国際港都建設計画」の一部として計画され、横浜開港100年記念事業のひとつとして新築された。
近代日本を代表する建築家のひとり村野藤吾(むらの・とうご)氏の設計で、鉄筋コンクリート造り、地上8階・地下1階建ての7代目市庁舎である。
関内駅南口の目の前にある横浜市庁舎
関内駅南口はベイスターズの装飾が施されている
また、1階の「市民広間」の広大な壁面は彫刻家、辻普堂(つじ・しんどう)氏が手掛けた泰山タイル(創業者である池田泰山〈いけだ・たいざん〉氏が設立した “泰山製陶所” で造られたタイル)による壁画によって飾られている。
現横浜市庁舎は、2015(平成27)年に文化庁が実施した近現代建造物緊急重点調査で、価値が高いと判断された建物の一つに位置付けられた。
市民広間の壁を飾るレリーフ。ホテルで活用される予定になっている
改めて現市庁舎を眺めると、市松模様の特徴的な外観が和モダンを感じさせて味わい深い。後述するが、この行政棟がホテルとして再利用されるのも頷けるところだ。
和モダンを感じさせる現横浜市庁舎
再開発する経緯とは?
趣のある現市庁舎が、2020年6月に桜木町駅近くの超高層の新市庁舎に移転することになり、その跡地開発の方針が公表されたのは、2017(平成29)年のことである。有識者等による横浜市現市庁舎街区等活用事業審査委員会の意見を踏まえて、事業の目的や考え方をとりまとめた「横浜市現市庁舎街区等活用事業実施方針」が策定され、「国際的な産学連携」「観光・集客」をテーマとしたまちづくりを進めることが決定された。
2019(平成31)年1月、横浜市は、現市庁舎街区活用事業(敷地面積:1万6522平方メートル)についての事業者公募を開始した。
2019(令和元年)年9月、横浜市は、横浜市現市庁舎街区等活用事業審査委員会からの答申を踏まえ、三井不動産を代表とする8社による企業グループを選定した、と発表。構成企業は鹿島建設、京浜急行電鉄、第一生命保険、竹中工務店、ディー・エヌ・エー、東急、星野リゾートが全額出資する関内ホテルマネジメントだ。
この事業は既存建物の譲渡と定期借地権の設定に基づく。借地期間は、運営期間70年に加え、開業前後の工事期間を含めて合計78年間を想定。2021年1月から改修・解体工事が始まり2024年度末の開業を目指している(ホテルは同年6月の先行開業)。
超高層ビルが現市庁舎跡地に建つ予定(画像提供:三井不動産株式会社)
では、現市庁舎跡地はどのように再開発されるのだろうか。
8社による事業コンセプトは、「MINATO-MACHI LIVE(ミナト マチ ライブ)」。 具体的には、国内トップレベルのグローバル企業、ベンチャー企業、大学を誘致することによって、横浜の新産業の創造を目指す。また、地元とともに地域資源を発掘して体験型観光サービスを提供する。それらを踏まえ、関内・関外地区の集客力と回遊性を強化しようという計画だ。
関内・関外地区の新たなシンボルタワーとなる高層ビルができる(画像提供:三井不動産株式会社)
都心臨海部全体への波及イメージ(エリアコンセプトプランから)