塾なのか学校なのかわからない!? 石川町にある「もうひとつの学校」ってどんなところ?
ココがキニナル!
石川町の南口の改札の出口(元町側のメインではない方)を出て右へ少し行くと「もうひとつの学校」と看板の出ている建物があります。塾なのか学校なのかよくわかりませんが、調べてほしいです。気になります。
はまれぽ調査結果!
勉強はもちろん、コミュニケーションスキルや集団規律など、本来学校で身につける能力を総合的にカバーする学習塾。ゲームや社会見学も行っている
ライター:河野 哲弥
まずは、現場の確認から
朝夕の登下校時ともなると、大勢の女学生で埋め尽くされる石川町。そんな街に、「もうひとつの学校」があるという。
投稿内容を手かがりに、まずは現地の様子を確認しておこう。
JR石川町駅の南口を出て、右へ歩き始める
徒歩1分ほど、通りの右側にこんな看板を発見
確かに「もうひとつの学校」と書いてある。
見た目は学習塾のようだが、学校とは何が違うのだろう。その名称には、特別なメッセージが込められているに違いない。改めて、取材を申し込んでみることにした。
原点は、小学生時代の「ミニ先生」?
話を伺ったのは、この施設の経営者であり、横浜教育研究社代表取締役の小嶋友明(こじまともあき)さん。
まずは単刀直入に、「もうひとつの学校」とはどのような意味なのかをたずねてみた。すると、「家庭のような会話を楽しむ場でもあり、学校のような集団の規律を学ぶ場でもあり、塾のような勉強をする場でもある」とのこと。
生徒からは「コジコジ」の愛称で呼ばれる小嶋さん
どうやら、既存の学校というシステムでは補えない、ある種の素質を身につける「場」であるようだ。それをカバーする学習塾といったところか。
しかし、これだけではピンとこない。「もうひとつ」に込められた意味を探るためにも、設立の経緯から説明してもらうことにしよう。
横浜出身だという小嶋さん。小学生のころは、よく友だちから「勉強を教えて」と頼まれることが多かったそうだ。クラスの担任も公認で、「ミニ先生」という補佐役のような役割を任されていたらしい。
「『授業よりもわかりやすい』なんて言われるのがうれしくて、そのときから、いずれ先生になろうと考えていたんです」とのこと。
ところが、大学で実習や児童支援活動を行うにつれ、教師を含めた公務員が持つ「自由度のなさ」を知ることになった小嶋さんは、目指していた理想像との隔たりに直面した。
「例えば算数だと、九九でつまずく子どもが少なくないんです。わかるまで教えてあげればいいだけの話なのに、学校はカリキュラムに沿ってどんどん進んでしまう。後戻りがなかなかできないシステムになっているんですね」。
同塾の入る建物外観、看板と赤いテントが目印
また、二度と取り戻すことができない学生時代を、勉強だけで過ごさせてしまっていいのかという疑問も、小嶋さんの中にはあった。
そこで、自由な民間組織に可能性を見いだそうと、ひとまず一般企業へ就職。組織作りや経営のノウハウを学ぶことにしたそうだ。
人事産業で学んだのは、「人を大切にする」という基本姿勢
小嶋さんが入社したのは、人材派遣サービス業大手の「リクルートスタッフィング」だった。なぜなら同社は、「人」が持つ可能性に並々ならぬ情熱を持っていたからだ。
「人を大切にするとは、その人の話を最後まで聞くということではないでしょうか。『おかしいな?』と思っても遮らず、相手を尊重して話し終わるまで傾聴する。あの会社には、そういう社風があるんですよ、すごいなと思いましたね」と小嶋さん。
一方で、諸先輩の遊びにかける情熱も、「ハンパなかった」とのこと。
「夜遊びをしている人ほど営業成績がいいって、よくある話じゃないですか。知らなかったら『0』だけど知っていれば『1』、『0』はどんなに掛け算をしても答えがゼロ、一方『1』は経験を積み重ねた分だけ人間の幅が生まれる。そうした仕事と関係ない部分がアイデアや発想の転換につながり、売上に結びついたりするんですよね」と話す。
思っていたより広々とした、室内の様子
ある程度イメージが固まった小嶋さんはその後、横浜市の職員として6年間、小学校の教員を務めた。1年生から6年生まで、すべての学年を担当すると、改めてやるべきことが見えてきた。
こうして2006(平成18)年、横浜教育研究社を設立。その業務内容のひとつとして、「もうひとつの学校」をオープンさせた。