塾なのか学校なのかわからない!? 石川町にある「もうひとつの学校」ってどんなところ?
ココがキニナル!
石川町の南口の改札の出口(元町側のメインではない方)を出て右へ少し行くと「もうひとつの学校」と看板の出ている建物があります。塾なのか学校なのかよくわかりませんが、調べてほしいです。気になります。
はまれぽ調査結果!
勉強はもちろん、コミュニケーションスキルや集団規律など、本来学校で身につける能力を総合的にカバーする学習塾。ゲームや社会見学も行っている
ライター:河野 哲弥
どんな授業をしているの?
では、いよいよ活動内容を見ていこう。
小嶋さんによれば、学校教材、市販の参考書・過去問題集などを中心に、ときにはオリジナルの素材を用意して、授業を行っているそうだ。
ただし、遊びの要素を取り入れたり、上級生が下級生を教えたりする、自由な校風が特徴となっている。
学年もまちまちな授業風景の様子
例えば、遊びの要素であれば、「運と実力」のゲームなどが代表的。これは、テストの点数(実力)に応じて抽選(運)を行い、期間中の獲得ポイントが最も多かった人に景品が贈られるというもの。
例えばテストで100点を取れば、3回ビンゴが引ける
出てきた球の番号が、獲得ポイントになる
また、知らなかったら「0」だけど知っていれば「1」という発想のもと、地元商店街の各店舗を巻き込んで社会見学を行うことも。中華料理店「旭酒楼(あさひしゅろう)」で行われた様子は、フジテレビ系列のバラエティ番組『ホンマでっか!?TV』で紹介された。
同塾の授業は曜日と時間帯が選べるようになっていて、料金は週1コマ45分あたり月額8000円。生徒は、小学生を中心に中学・高校・大学生まで。その範囲は、英数を中心とした小中高の各教科と、大学の就職ガイダンスなど、実に多彩。
なお、入塾のきっかけは、成績が伸びている子を見習って、その親から紹介されたケースが多いらしい。
算数のテスト一例、地頭が試される内容となっている
「今、子どものコミュニケーション能力が問われているようですが、場所さえ与えれば、彼らはしゃべるようになるんです。生徒同士はもちろん、私から話しかけることもありますしね。ところが、ひとりで勉強ばかりしていると、その機会に恵まれない。ですからウチでは、『まず遊び、そして学べ』なんですよ」と小嶋さんは続ける。
現在の学校に欠けている部分を補う、「もうひとつの学校」
もちろん、道徳教育や集団生活に必要な規律についても、指導している。
「テストの採点中にポッと出た会話がきっかけになることが多いですね。なぜケンカになってしまったのか、どうして親の言うことを聞かなくてはいけないのかなど。そういうときは、授業をいったん中止して、全員で議論を深めることも。生徒のお母さんが、議題や相談を持ち込んでくることもありますよ」とのこと。
現状の問題点と、これからの課題
最後になるが、小嶋さんに、「もうひとつの学校」のコンセプトをたずねてみた。
すると、「家(コミュニケーション)のような、学校(集団生活・規律)のような、塾(勉強)のような場所」であるそうだ。
子どもたちには、知識を詰め込むばかりではなく、どう関連しているかという「頭の訓練」も必要。それらを年代や環境が異なる集団生活の中で、社会見学や会話をしながら身につけていく。それが、同塾のねらいなのだろう。
勉強で基本を覚えた後、手品師をゲストに迎えて応用を会得
一方で、「塾なんだから、余計なことをせず、点が取れるようにしてよ」というスタンスの保護者もいるそうだ。また、事業の継続性が1人の身にかかっているところにも、問題点を感じる。
この点について小嶋さんは、「保護者の方には、丁寧に説明するしかないでしょう。事業については、フランチャイズの話も出ましたが、マニュアル通りの仕事というわけではないので悩んでいるところです。実は、最初の卒業生がそろそろ20歳を迎えます。後継者とは言わないまでも、ひそかな期待を寄せているんですけどね」と話す。
周囲の理解と次世代の育成、どうやらこの両者が、これからのカギとなりそうだ。今後、卒業生たちがどのような大人に育っていくのかも含めて、温かく見守っていきたい。
―終わり―
◆株式会社横浜教育研究社(もうひとつの学校)
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