らぁ麺ランナーズ! 逗子の「想~SOU~」店主、第三走者・北村光太
ココがキニナル!
ラーメン道という果てしない道を走り続けるランナーたち。その生き様と渾身の一杯を店主同士のリレー形式でお届けしていく全8回の新企画!
ライター:はまれぽ編集部
人気ラーメン店の店主が、“感銘を受けた美味しいラーメン店”をリレー形式で繋いでいく企画、「らぁ麺ランナーズ」。
第二走者、湯河原の「飯田商店」店主、飯田将太(いいだ・しょうた)氏が第三走者に選んだのは、逗子の「想~SOU~」店主、北村光太(きたむら・こうた)氏。
2012(平成24)年より湯河原で「麺屋 光~KOU~」というラーメン店を開業した北村氏は、着々とその名をラーメン業界に轟かせることとなる。
店主・北村氏の知られざる素顔に迫った。
北村光太
1984(昭和59)年1月23日、神奈川県逗子市で産声を上げた北村氏。18歳で和食料理の道に進み、高級料亭、すし割烹、鰻料理店、博多料理店、ヒルトンホテル東京などさまざまな場所で料理の腕を磨いた。
2015(平成27)年2月3日に「想~SOU~」を開業
もともとラーメンを食べることが好きだった北村氏は、当時働いていたオーナーのすすめもあり、26歳の時に独立を決意。「想」の前身となる「光」を湯河原で開業した。
想~SOU~
JR逗子駅から徒歩3分、逗子銀座商店街の通りに「想」はある。
東口を出てJR逗子駅前の信号を右折(Goolemapより)
土地柄もあり、ご年配のお客さんも珍しくない
店内へ入ると、広々としたカウンター席が並びお洒落なBGMが流れている。夜はバーも営業しており、お酒の種類も豊富なようだ。
2階席にはテーブル席もある
「想」という店名の由来について北村氏は、「湯河原でやっていた『光』と同じく、漢字1文字、アルファベット3文字で『想』と名付けました。自分の想い、お客さんの想い、『想』を支えてくれている方々の想いなど、たくさんの想いを受けてこの店は成り立っているので、改めてこの店名にして良かったと思います」と話す。
ラーメン哲学
まず、北村氏のラーメンと向き合う姿勢をうかがう。
「自分は諸先輩方のようなカッコイイこと言えないんですけど・・・。今でもたまに、“ラーメンなんて”と言われることがあるんです。それが悔しくて。だから、“ラーメンを1つの料理として見てもらえるように”って気持ちで日々向き合っています」と、力強く答えてくれた北村氏。
「店名の通り、想いを大事にラーメンを作り続けたい」
「実は、『想』は地元の同級生と一緒に始めた店なんです。昔から、『光太が逗子で店やるなら、俺も一緒にやりたい』と言ってくれていて、だからこの店がオープンできた時は本当に嬉しかった。でもその同級生が、オープンして1年目に亡くなってしまって。店を畳むか本気で悩みました」と、ショッキングな過去を振り返る。
精神的に落ち込んでしまった北村氏を、家族や店のスタッフが親身になって支えてくれたという。
卒業していったスタッフからのメッセージ
当時支えてくれたスタッフも地元の同級生で、開業してから今日まで、無遅刻・無欠勤で店を守ってくれているそうだ。
北村氏は、「自分は人に活かされて生きているんだなぁって、本当に思うんです。だから、中途半端な気持ちでラーメンを作れません」と、熱い思いを支える心の内側も垣間見えた。
尊敬する人
尊敬する人に、らぁ麺ランナーズで第二走者をつとめてくれた飯田商店の飯田将太氏を挙げる北村氏。
前身の「光」を始めるとなった時、湯河原に知り合いもおらず、ラーメンの作り方も、厨房に何を入れたらいいのかも分からない状態だったという。
そんな北村氏を支えてくれたのが、ほかならぬ飯田氏だった。「光」をスタートした当初は何の接点もなかった2人だったが、気付けばとても近い存在になっていたそうだ。
厨房には飯田氏との2ショットが飾られている
「将太さんの妥協しない姿勢や探究心は、真似しようと思ってもできない領域です。何も分からない自分にいろいろと教えてくれたり、ラーメン店主さんを紹介してくれたり、今でも一緒に食材旅行へ行っています。いろいろな職人さんを見てきましたが、一番近くて遠い存在です」と、少年のような瞳で話してくれた。
尊敬する飯田氏から「料理上手」と言われていた北村氏だが、驚くことに“レシピ”という概念が最近まであまりなかったとのこと。
「今までは勘と舌に頼っていました」
和食の世界からラーメン業界に入った北村氏だが、良い意味で上下関係のない店主同士のつながりに刺激を受けたのだとか。
「ラーメン業界って、助け合いも情報交換も多いんです。だからいろんな人のやり方とか意見を見たり聞いたりする機会も多くて。日々進化しています」という。
“ラーメン店の店主”というよりは、“ラーメンをこよなく愛する料理人”という枕詞がしっくりくる北村氏。そんな北村氏の渾身の一杯とは・・・。