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横浜市の成人式、当事者の新成人の思いは? 運営する「記念行事実行委員会」に聞いた

横浜市の成人式、当事者の新成人の思いは? 運営する「記念行事実行委員会」に聞いた

ココがキニナル!

成人式にて横浜アリーナの壇上で挨拶する新成人代表はどのように選ばれるのですか?/成人式の実行委員会ってなにをやってるの?(けーたりんぐさん/h(@m@)kk0さん)

はまれぽ調査結果!

新成人を代表する「記念行事実行委員」は、毎年公募で集まった有志が成人の日式典を取り仕切っている。毎年5月から活動を開始、式典本番では堂々とした姿を披露していた!

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ライター:はまれぽ編集部

2019年もやってきた、横浜市の「成人を祝うつどい(成人式)」。

昨年の成人式では、晴れ着のレンタル業者「はれのひ」が式当日に行方不明となり、大きなトラブルに発展した。今もはれのひの元社長の罪を問う裁判は継続している。

幸い、今年はそうしたトラブルは発生することなく、成人を祝うつどいは無事に開催され、横浜市では計3万7649人がこの祝いの日を迎えた。
今回は式典の様子をお伝えするとともに、その運営に関わる新成人の仕事も紹介していこう。

2019(平成31)年1月14日、新横浜駅から横浜アリーナ周辺の道路は、晴れ着や正装に身を包んだ新成人でごった返していた。
 


もはや毎年恒例の光景

 
昨年ははれのひ騒動の渦中にあり、晴れ着がない若者やそれを助けようとする関係者のやりとりが交わされていた会場周辺だったが、幸いそうしたトラブルはなし。「はれのひ」で今年分の着物を予約していた参加者に対してもレンタル業者の厚意で救済措置がとられ、無事に晴れ着に袖を通していた。

 

近隣ホテルでの着付けも、今年は問題なく進んだ

 
だが、路上では新成人同士の小競り合いが起きる場面もあった。
午後の部の開始を控えた横浜アリーナ正面前の交差点では、車道上で殴り合いのケンカが始まり、警察関係者が仲裁に入る事態に。顔面を血まみれにした男性が運ばれていくなど、現場は一時騒然となった。
 


最も混雑する正面入り口前の路上でのトラブル。身の危険を感じた
 

幸い、いざこざは短時間で収束したようだが、警察関係者が増員されて交差点周辺の警備に当たるなど、関係者のピリピリした雰囲気が伝わってくる。

一方、会場内では式典開始よりもずいぶん早くから新成人が続々と入場。懐かしい友達を見つけては、昔話に花を咲かせているようだった。
 


報道関係者の姿もあちこちで見掛けた
 

式典のあとに同窓会をする予定という人も多いようで、会場内の新成人はみんな楽しそうな様子。式典を前に、何人かにお話をうかがうことにした。
 


中学校の同級生同士というカナさん(左)と斎藤さん(右)

 
新成人となった感想を尋ねると、「一番は『実感がわかない』ことかな」と苦笑する二人。確かに「今日から大人です!」と言われて、いきなり成人らしく振舞える人もいないだろう。ただ、「これから式でお話を聞いて、同窓会で中学校の友達と会ったりすれば、実感がわいてくるのかな」と楽しみにしているようだ。

また、お二人とも晴れ着はレンタルだそうだが、はれのひ騒動が起こった後も「大手の業者なので特に心配はしていませんでした」とのこと。騒動が広がった中でも、冷静に事態を受け止めていたようだ。
 


左から、アミさん、あんちゃんさん、ひなさんの3人は幼馴染

 
こちらのあんちゃんさんも、いきなり成人になったという実感はまだ湧いていないが、「振袖を着て、ちょっと大人になったような気分です」と話してくれた。3人とも学生さんで、これから就職して働き始めたころに、大人としての第一歩を踏み出すことになると考えているそうだ。

また、晴れ着に関してはレンタル予約をしていた業者の方から、「うちのレンタルは当日にきちんと準備できます!」と連絡があったとか。新成人に不安にならないよう、業界側も気を配り工夫をしていたようだ。



今年の式典の様子は?

横浜市の新成人は膨大な数にのぼるため、成人式も二部制で行われる。開場直後から横浜アリーナの座席は続々と埋まっていき、晴れ着姿の若者で埋め尽くされていった。
 


それぞれが特別な日を迎えている、壮観な光景
 

会場内は警備体制も万全
 

そして午前10時30分、成人の日を祝うつどい(午前の部)がスタートした。
 


新成人の有志団体、成人の日記念行事実行委員が司会を務める

 
まず司会の案内で登壇したのは林文子横浜市長。自らの幼少期や成人したころを振り返りつつ、「勤務先の上司から『親御さんへの感謝の思いを振り返るように』と言われ、お礼を言いましたが、当時本当に両親の人生を顧みて感謝できていたかというと、どんな思いで20歳まで育ててくれたか考えはしなかった」と話し、忘れてしまいがちな身近な家族へ、もう一度感謝の思いを伝えるよう促した。
 


家族の大切さを伝える林市長

 
さらに「責任と自覚」を持つように言われがちな新成人に向けたエールとして、「迷わず、思うこと、好きなことをやってほしい」「もしも迷うことがあれば、そのために人生の先輩がいる」と話し、ともに横浜の未来を作っていくよう呼びかけた。

また、今年のスペシャルゲストには、女子車いす陸上選手の中山和美(なかやま・かずみ)さんが登壇。実行委員の質問に答える形で、両下肢麻痺からパラリンピアンになった経緯や、日本記録保持に至るまでの努力を話していた。
自らの経験をもとに、「失ったものを数えるのではなく、目標に向け頑張ってください」とアドバイスした。
 


「車いす生活になってから、優しい性格になったかも」と話す中山さん

 
一方、市長のあいさつ終盤などのタイミングでは、会場内に不穏な動きも。複数の来場者が壇上に上がろうとして警備ともみ合いになり、騒ぎが収まらずに一時登壇者が退席する事態にも陥った。
 


暴れている数人のために、「荒れた成人式」などと呼ばれるのはもったいない

 
1万3000人もの人が集まる会場だからこそ、さまざまな人が集まっているが、大多数の参加者はこうした騒動を白けた様子で見つめていた。

そして、何よりもこの式を作り上げてきた、有志の「記念行事実行委員」がいることを忘れてはならない。式典の壇上に立ちたいならば、きちんとその資格を得た方が格好いいに違いない。
 


堂々と壇上に立つ実行委員の面々