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横浜中華街に再び太極拳おじさん登場!中華街で中国武術事情を探る・その2

横浜中華街に再び太極拳おじさん登場!中華街で中国武術事情を探る・その2

ココがキニナル!

前回の記事で横浜中華街の中国武術事情を追うべく武術用品取扱店へ突撃を開始した太極拳師範ライターが、まだ潜んでいるに違いないコアな世界を目指してすすむ!(ライター・結城靖博のキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜中華街で盛んな中国武術は、少林拳のような激しいものではなく、圧倒的に「太極拳」であるらしい。また、武術用品取扱店からは、中華街の歴史の面影が立ち昇ってきた。

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ライター:結城靖博

前回紹介した2店舗をあとにして、さらにメインストリートの中華街大通りをぐいぐいと進んでいくと、突き当たりに到達してしまった。
正面にインフォーメーションセンターのChina Town80。そこから右に、南門シルクロードのにぎやかな通りがのびている。
 


China Town80付近から臨む南門シルクロードのにぎわい

 

筆者は「気」のセンサーを高め、ブルース・リーの偉大なる教え「Don’t think!Feel!!(考えるな!感じろ!!)」の精神で足先を右へ転じ、南門シルクロードへと突き進む。
するとほどなく、甘栗売りの背後にまぶしく輝くあの黄色い全身スーツを発見!
 


甘栗よりもブルース・リー・トラックスーツに筆者はそそられる

 
仰ぎ見れば2階の窓ガラスに薄っすらと「天宝」の文字。店は2階にあるようだ。店名の上下にかすかに表示された「結婚式・二次会・卒業式・舞台衣装・その他お披露目に・・・」の文言が少々気がかりだが、ともかく行ってみよう。
 


・・・うん?大丈夫かな??

 
 
 
潜入してみればコアな武術用品店だった天宝堂
 
2階の窓の表記からは衣料品店のような印象を受けたが、狭い階段を一歩踏みしめ見上げれば、階上からはそこはかとなく武術系オーラが漂ってきた。

店はChina Town80からすぐ

 


通りからやや見えにくい軒下に掲げられた看板

 


階段途中には本格的なカンフースーツが

 
2階に上がってみると、決して広くはない店内に濃密な空気が満ちている。その発信源はどこかと見渡せば・・・、階段のすぐそばに武器・武具類の数々が展示されているコーナーがあった。しかもそれらは、土産物店にありがちなオモチャのようなものではない。こ、ここはホンモノかもしれない!
 


本格的な中国武術の武器がずらり!

 
上からトンファ(琉球古武術由来の取っ手付き警棒)、三節棍(さんせつこん)、そして映画『死亡遊戯』必須アイテムのバオ(バンブースティック)。凄い!本格派だ!
 


痛そうな本格的な木製ヌンチャクも普通に並んでいる

 


『燃えよドラゴン』でおなじみのブルース・リー考案オープンフィンガーグローブも!

 
さっそく、奥のカウンターにたたずむ店主・松村貞彦(まつむら・さだひこ)社長に話を伺った。
開店は25年ほど前だが、もとは中華街の別の場所で、美術品・骨とう品を中心に扱っていたという。ほどなく今の場所に移り、現在は「天宝堂(てんぽうどう)シルクロード館」として風水関係の商品とチャイナドレス、武術用品をおもに扱っている。
風水関係のコーナーも八卦鏡(はっけきょう)や羅盤(らばん)、乾坤照宝図(けんこんしょうほうず)などの本格的な風水アイテムが数多く並び、店内中央には、きらびやかなチャイナドレスが飾られていた。このチャイナドレスはオーダーメイドで注文を受け、中国で作ることもできるという。
 


美しいチャイナドレス。通りに面した窓の表示にいつわりなし

 
チャイナドレスのすぐそばには、比較的廉価な太極拳ウェア、カンフーウェアのコーナーもあった。
 


こちらはお手頃価格の練習用太極拳・カンフーウェア類

 
けれども、武術ウェアもチャイナドレス同様、特注品を中国に発注して作る一点物も扱っているそうで、その発注のためのサイズ表を見せていただいた。
「とくに太極拳の競技用の表演服などは、購入される方それぞれの体形にきちんと合わせて作る必要がありますからね」と松村社長。
 


とても細かく分類されている太極拳表演服サイズ表

 
 
 

こだわりの店のそのわけは?
 
かく言う松村さんは日本の大学を卒業したのち、広州の中山大学に留学し、帰国後まもなくこの店を開いたという。取材していると、日中関係や中国の社会情勢から横浜中華街の現在・過去・未来に至るまで次々に話が広がっていく。まるで、それだけで一冊の本ができてしまいそうな知識と意見をお持ちだ。だからこそ、扱う商品も本格志向になるのだろうと納得。
 


美しい太極扇を見せてくれた松村社長。その横で重厚な剣がキラリと光る

 
そんな松村さんの性格ゆえか、中国武術に関しても手を抜かない。本格的な品ぞろえになってしまうようだ。そのせいか、客層もマニアックな武術愛好者が多い。全国津々浦々からのコアな注文に、通販も活発に展開しながら応じているという。
なかでも武術用の武器・武具に関しては、中国からの輸入規制が厳しく、扱いたがらない業者が多いそうだ。そこを敢えて面倒な手続きもいとわず、武術マニアの要望に応え続ける松村さんの姿勢に、常連客がつくのも当然だろう。ここは、中華街のなかでも、とくに愛好者にとっては重要な中国武術用品取扱店だったのだ。
 
なお、中華街のなかの武術事情については、やはり太極拳をやっている人が圧倒的とのこと。店には太極拳以外のさまざまな武術愛好者が来る。しかしそうした客の多くは、中華街の外から訪れる人々だという。