海と深山に囲まれた「働く人」のための町、はま旅Vol.119「福浦」編
ココがキニナル!
横浜市全駅全下車の「はま旅」第119回は、金沢シーサイドライン「福浦」に下車。福浦駅周辺は、海と深山に囲まれた「働く人」のための町、そして釣りの穴場スポットでもあった。
ライター:細野 誠治
働く皆さんに聞いてみる
どこからか午後の始業を知らせるチャイムが街に流れてきた。公園を抜けて金属加工工場、産業廃棄物処理場が軒を連ねるエリアに行ってみた。
取材日は七夕の直前。工場には笹と短冊が・・・
工場にお邪魔し取材交渉をするが、色よいご返事がいただけない。数件回ったところで、最初にお話しした社長さんが追いかけてきた。
「この辺は中小が多いし、今は不況でしょう。やっともらえた仕事だって隣同士、秘密にしてる状況ですよ。(工場に)入れてる機械だって教えたくない。取材は難しいですよ・・・」
なるほど・・・。カメラ持った姿にギョッとされた理由が分かりました・・・。
ならば、と違う業種へと河岸を変えることに。そこで目に入ったのが画用木炭の工場。
画用木炭の伊研さん
美術で使う木炭の製造を行っている会社だ。
迎えてくださった伊研の伊吹英世さん
これが画用木炭
柳(やなぎ)の枝を裁断し、皮を剥く。長さと太さをそろえるなど、製作にはすべて手作業が費やされるという。
敷地内に植えられた柳の木の前で。長野県産や中国産の枝を仕入れているそう
作業工程を追ってみよう。
(1)これが木炭の材料。柳の枝
(2)素焼きの入れ物に枝を詰める
(3)容器に詰めた柳を高温の窯で炭化させる
(4)完成! 枝がこんなに縮む
伊吹さんのお父さんが描いた木炭画。画家を目指していたそうだ
「木炭の製造は今やウチくらい。インターネットで検索しても、ほかに出てこないしね」と伊吹氏。全国の小中学校や美大、美術系予備校などに卸しているそう。日本のほか、台湾にも輸出しているとか。
「子どもの人口も減っちゃたし仕方ないよね」とも。はまれぽ読者の皆さんが学生時代、手に取った木炭は恐らく伊研さんのものじゃないかな。
これから隣町まで食事に行くという伊吹さんを見送り、再びさまようと、今度は「冷凍食品」の文字が!
一般財団法人「日本冷凍食品検査協会」横浜センター
さっそく取材へGO!
応対いただいた理事・東日本事業部長の滝口彰氏
頭に浮かんだ「さまざまな冷凍食品を黙々と検査する白衣の研究員たち」・・・というのは筆者の完全な思い込みで、こちらは「輸出入される食品を始め、流通するさまざまな食品の検査や栄養成分分析、農薬や添加物、毒性や放射能試験とあらゆる項目を検査する研究・検査機関」だそう。
「冷凍食品」という名称はもともと「冷凍された水産物」の検査をするところ、からだったそうだ。
“清潔そのもの”といった研究室内が続く
製造業者からの検査依頼持ち込みや、製造工程への調査指導といった業務もしている同協会。日に200~300件前後の検査依頼を、100名体制で行っていると説明を受ける。まさに「食の安全を守る」施設だった。
研究員・持ち込まれた品物など、特定につながる写真は絶対にNG
突然訪れたのに対応いただき感謝です。
いつか、じっくり取材をしたい! そう思えるほどに「食の安全」を守る姿勢がヒシヒシと伝わってくる場所だった。今日のところはライターの引き出しに、こっそりと大切にしまっておこう。