知る人ぞ知る超ディープスポット! 「鶴見川沿い」に突如現れる駄菓子屋で定食屋で飲み屋の「何屋なのか分からない店」に突撃!
ココがキニナル!
鴨居から鶴見川を川沿いに下って行くと、怪しい駄菓子屋があります。飲みでもあるようなので、どんなメニューがあるか気になります。調査して下さい。(380さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
鶴見川沿いの阿部商店は駄菓子屋にもかかわらずキャンプにBBQ、カラオケ完備の定食屋でもあり、宴会もできる何でもアリのすごい店だった!
ライター:細野 誠治
隠れ家、地産地消、人との繋がり
庭を見せていただいて戻ると、駄菓子屋の真裏に当たるところへ。ここで採れたて野菜を使った料理が食べられるという。
駄菓子屋の裏手が「食事処 阿部商店」
「中に店長がいる」と聞き、扉を開けると・・・いました!
店長のミルキーちゃん、メス
ここ、阿部商店内では庭の木々や建物の影など、其処此処(そこここ)に猫の姿がたくさん。猫好きな力さんが世話を焼いている。
10匹以上、20匹未満だそうです
こちら店内の様子。喫煙可の座敷席が30。禁煙のテーブル席が10席
かもめ文庫『かながわ定食紀行』にも載っている名店でした
食事処のメニューは日々変わる
ボトルキープは3ヶ月、カラオケ(1曲200円)もできる
筆者もお腹が空いた。店自慢のものを食べさせてもらおう。
定食は肉か魚の2種類で価格は840円。ご飯はお代わり自由。内容も毎日変わるそうだ。
筆者は「魚の定食」をオーダー。すると力さんから「食べられないものはありますか?」と質問が。
「無い」と答える筆者に力さんは「お金をもらうのに、嫌いなものは出せないからね」と。
細やかな気配りだな。そして臨機応変に対応できるのも凄い・・・。
休んでいると「アタシを撫でなさいよっ!」と店長がくる
待つことしばし。店長(ミルキーちゃん)を撫でていると定食が到着。
この日の魚定食はアジの開き
たっぷりご飯にアジとアサリの味噌汁。キュウリの浅漬けにナスの黒煮、茹でたトウモロコシが付いて840円。
ボリュームがある。そして膳にのった野菜は、すべて裏の畑で採れた朝摘みのもの。
一通り箸を進めると、野菜がすごく美味い! 野菜そのものの味が強くて、それがさまざまな調味料と組み合わさって(負けてない!)主張している。
どこか遠くの田舎にでも行かないと食べられないんじゃない? っていう野菜の美味さ。
ナスの黒煮が本当に美味い。細野はこれでご飯を食べました
この日のもうひとつの定食「肉」はポークソテー
店長(ミルキーちゃん)放ったらかしで、あっという間に完食。久しぶりに体にいいものを、たらふく食べた気がする。大満足だ。
訪れていた方に話を聞く・・・
絶対匿名さん(男性)は週に2度ほど来店。
「ここは美味いから来てる」と。そして「のんびり、ゆっくりできるから」とも。
食後にアイス(200円)食べよう。一番人気の「練乳いちご」を
アイスを作ってくれた従業員のひとり、渡辺愛子さん
そして大木トモ子さん
お腹いっぱいで甘いものも食べたし、少しゴロッとしたいところだが、力さんに話を聞いてみよう。
まずは店の成り立ちからだ。
元々は家で採れた野菜を家の軒先で売る野菜販売の店だったという。
野菜の直売店から
「ウチのお婆ちゃんが農協まで野菜を持って行くのがシンドくなったんで、家の前で野菜を売ってたのよ」と力さん。
この直売店が1989(平成元)年のこと。その2年後の1991(平成3)年に駄菓子屋を始める。理由はお客さんからのリクエストがきっかけ。
ジュースなどとともに軽いもの(駄菓子屋)を売るためにオープン。
駄菓子屋の開業は今から24年前
そして先ほどまで筆者がいた食事処のオープンが1995(平成7)年。
家の前で野菜を売っていたらお客さんに言われてジュースや駄菓子屋を始めるように。今度は食事や酒も出してくれと言われて、その通りに開業。
わらしべ長者のように・・・
要望があるということは需要があるということ。でも、失敗は怖くなかったのだろうか?
「家賃がかからないからね。それに野菜は裏で採れるものだし」
今ではカラオケを完備した食事処になって、宴会も承っている。
(裏の畑の空きスペースでキャンプやBBQまでやってるし・・・)
インタビュー中も夜の宴会の仕込みが始まる
朝採れ夏野菜たっぷりのかき揚げを・・・
力さんは毎朝3時に起床し畑仕事をこなし、家事に猫の世話、店の仕込みや接客と大忙しだとか。
どうしてそんなに頑張って・・・。原動力って何でしょう?
「“専業主婦”でもいいんだけれども、私はね、いろいろな人に会いたいの。この仕事をしてると、普通のご近所さんとの繋がりのほかに、たくさんの人に会えるから。サラリーマンに役所の人。学生さんとかお相撲さんとかも・・・」
いろいろな人に会えるから(訪れる芸能人はナイショ)
インパクトのある外観も呼び水になっている
横浜線の車窓から見えるノボリを毎日眺め続けていた人がやってきたり、鶴見川沿いを走るランナーやロードバイクのグループの休憩所や情報交換の場になったり。「面白い店があるぞ」とネットやブログで話題になり遠方から訪れたり。
(この近辺はテレビ番組のロケ地で使用されることが多く、芸能人の休憩所や着替えスペースにされたりも)
人が好きだから人が集まってくる
だからこそ、手間暇がかかっても細やかな気配りの届いた、おもてなしをしているのかな。