家系総本山「吉村家」創業者、吉村実氏にインタビュー。移転の噂は本当?

 ココがキニナル!
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家系ラーメンの生みの親、吉村実氏にインタビュー。「家系ラーメンとは」「直系店舗・人を育てること」「吉村家の今後」についてうかがう。
ライター:はまれぽ編集部
	アルバイト代は8万円、役員報酬はなし
	 
	吉村氏は会社に泊まっているため、家からお店に通うことを40年間していないそう。
	
	「土日関係なく仕事して、僕はそれで45年間走ってきちゃった。家帰るのが面倒で35歳くらいから店でゴザひいて寝てたよ。最初は奥さんもふくれてた。だけど今は奥さんも自由にしたいし、ご飯の支度もしたくないし、『逆に今の方がいいわぁ』って言うね」
	
	また、お金の管理は奥様に一任しているという吉村氏。
	
	「今は年金16万とアルバイト代の8万円。役員報酬はいらない、そういうしみったれた感覚はないな、俺には。(4つの会社があって)経費はいくらでも使えるから、『社長、これは使わないともったいないですよ』って税理士に言われるけど、何も使うことないんだよ」
	
	「僕はね、自分でお金は使わないし税務署にも出さない。みんな寄付しちゃう。困っている人に支援するのが一番いい。たまにはいいもの買うよ、ジャンパー買ったり。それ以上なにがあるの? 僕は時計もないし、携帯もないし、高級車もない。車は軽ですから」
	 
	
	吉村家にはたくさんの感謝状が掲げられている
	 
	「高いブランド物買う前に心磨け! って思うなぁ。いくらブランドで着飾ったって、そんなの、いいかい? ブランド品持ったって、自分が一流でなけりゃ意味ないじゃん。俺は偽物持ってたって本物と思われるから(笑)」
	
	そんな吉村氏にも20年続けている趣味があるそう。
	
	「趣味は犬ぞり。奥さんも子どもも寒いからついてこないけどね。みんな(吉村氏をよく知らない人)は俺がゴルフでもして遊んでるなんて思ってるらしいけど、ゴルフなんか行ったことねぇよ。飲み屋に行っていいレディがいても、ちっとも面白いと思わない。仕事が面白いからな。あとは株もやる」
	 
	 
	ーーー最近食べた美味しいものは?
	 
	「野毛にある『萬福』さんのラーメン。480円。僕は値段との折り合いだから。それとコンビニエンスのコロッケだな(笑)。あとは、(中区)麦田町の『奇珍』、小田原の『味の大西』さん、伊勢佐木町の『ラーメン二郎』も並んで食べたし、『太源』さんも。近場のラーメン屋さんは結構行くよ。あと、中華街の永楽製麺の麺はうまかったなぁ」
	 
	 
	ーーーお弟子さん以外の“家系”と呼ばれるラーメンは食べるのか?
	 
	「食べない。缶詰のスープは食べない。ついこの間は富山の『はじめ家』さんを食べたよ」
	 
	 
	 ーーー缶詰のスープは飲んだことは?
	 
	「あぁ、スープと麺を一口食べたら分かる。サービスエリアとかそういうところのスープは缶詰でも美味いんだよ。本当に美味しいんだ。だけどね、コクがないんだよ。やっぱりこれからはコクが勝負。本当に自分のところで作ってたら、いつも一緒の味なんて有り得ねぇ。時間によって味が違うのもしょうがない、でもなるべくそれ(違い)がないようにするには腕が必要なんだな」
	 
	
	 
	「保存料とかいろいろ入っているやつは美味しい、口に慣れている。でも体が要求しない、人間の体って不思議なもんだ。『これが食べたい』ってやつは、保存料とかそういうのが少ない。舌が鈍くなったとしても、体が要求するんだろうな」
	
	これが一代で“家系”を築き上げた職人、吉村実だ。ラーメンの話をする吉村氏はどこまでも真剣で、言葉のそこかしこに愛がある。この愛をもって、どこまで進み続けるのか。
	 
	 
	 
	移転はあと3年後
	 
	最後にラーメンファンがキニナっているであろう、「吉村家移転」の話についてうかがった。
	
	「いまの店舗は2025年までの契約。だから、移転は3年後だな。一つの案として、桜木町の『ぴおシティ』さんがラブコールをくれている。地下2階な。神奈川大学の新しいキャンパスもみなとみらいにできるし、近隣のお店やお客さんのことを考えると良い場所ではある。ただな、『すみれ』さんと『一蘭』さんがあるんだよなぁ。これも俺の運命かな、ケンカはしたくないんだけどな(笑)」
	
	「横浜駅にも候補があったんだけどな、向こうからオファーがきて。でも『吉村家が来ると混雑しちゃうから」って、両サイドの店がNGだった。丁重なお詫びがきたよ」
	 
	
	もし「ぴおシティ」に吉村家がきたら、雨や炎天下の日でも安心して並べる
	 
	「僕は運が良い方だから、福引きとかやるとハワイ旅行とか当たるんだよ。今日もお風呂に行ったら福引で2等賞が当たって、『ダメだ、こんなところで運使ったら! 新しい場所(移転先)で運を使いたい』って、隣の方にお米を差し上げたよ。ただな、運は運だけじゃねぇよ。努力してんだよ」
	
	そして吉村氏はこう締めくくった。
	
	「僕も72だし、表に出るのは今年いっぱい。あんまりしゃしゃり出たくねぇんだ、喋ってる暇があるなら寝てた方が楽だしな。だから最後に一回、講演会でもやりたいと思っている。(対象を)家系だけにしようか、ラーメン屋さんだけにしようか分からないけどな。売れなくて困っている人がいっぱいいる。だから何かヒントになることを残したい」
	 
	
	この味には、吉村氏のすべてが詰まっている
	 
	“本物の家系ラーメンの味”が存続するか否か。今、分岐点にきているのかもしれない。
	吉村氏の想いがラーメンファンに、“家系ラーメン”と名のつくラーメン店に届くことを願い、今記事を世に発信する。
	 
	 
	ー終わりー
	 
	 
	吉村家
	住所/横浜市西区南幸2-12-6
	電話/045-322-9988
	営業時間/午前11時~午後10時
	定休日/毎週月曜日(祝日の場合は翌日)
	http://ieke1.com/index.html
	
	 
	 横浜の家系ラーメン 全店制覇への道 ~家系家系図を作ろう~はこちら(ここをクリック)
※情報は取材当時のものです







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