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【横浜の名建築】長浜野口記念公園 旧細菌検査室

ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第29回は、金沢区長浜の旧細菌検査室。千円札でもおなじみの偉人、野口英世がペストから日本を守り、世界で活躍するきっかけを作った建物だった。

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ライター:吉澤 由美子

昔の検査器具も残る 旧細菌検査室

(続き)

右手の部屋は、細菌検査を行うための準備室。
細菌を培養するための培地を作ったり、使用した機材の滅菌を行っていた。


準備室の角に、滅菌に使われたコッホ式蒸気釜がある


ドアの先が細菌検査室だ。こちらはガラス越しに見学できる。
 


中央の大きな実験台と窓際のカウンターに顕微鏡などが並ぶ


試験管などが置かれた実験台
 

実験台に付属したシンク


カウンターのある壁面には3段の窓がある。

正面の窓辺には銅の内貼りをした感熱式滅菌器。
壁際には菌を培養する孵卵器(ふらんき)や氷を入れる冷蔵庫が置かれている。


青い扉が孵卵器。内部が常に37℃で細菌の繁殖に最適な温度を保てる


北向きで窓が大きく取られているので、直射日光が入らず、正確な色を見ることができる設計だ。


外からも採光に気を使っている様子がよくわかる


この小さな建物で野口英世が、血清や培地を作って、菌を培養する日々を過ごし、その後の栄光につながる足掛かりを得たのだと思うと感慨深い。


天井は部屋ごとに仕切られ、吹き抜けで高い




長浜ホール



隣にある長浜ホールは、もともとこの場所にあった事務棟の外観を再現したもの。


斜面に建てられているので門から見上げる角度となる


正面中央の破風を丸く持ち上げたペディメントには葡萄模様の花飾りを漆喰細工で配している。

南京下見板張りの白い外壁と緑の窓枠や扉は急細菌検査室と同じデザインだが、中央窓下には、エプロン風に緑の装飾がある。


漆喰細工や緑のエプロンも忠実な再現


1階には野口英世に関する資料が数多く展示され、地下と2階は防音の整った貸しホールとなっている。
地下のホールは、小さいながら演奏家の評判もいいとか。
 


2階の貸しホールでピアノの練習をしていた「のりこ」さん
 

化粧室の洗面ボールも医療施設を思わせるデザイン
 

入口内部も昔の医療施設を思わせる作り
 

地下ホールの屋根の上に気持ちのいい芝生の屋上庭園が広がる