藤沢には、シラスを使ったカレーパンがある?
ココがキニナル!
テレビで藤沢市にある「しらすカレーパン」が紹介されていました。どんな商品なのか気になるので、ぜひお店の調査をお願いします。(moguraさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
販売するのは辻堂にある「湘南カレーパン シモンズ」。「ふじさわ観光名産品」にも選ばれている逸品でした。
ライター:河野 哲弥
湘南は今、生シラスのシーズン
湘南名物のひとつに数えられる「生シラス」。
捕れたその日しか日持ちせず、藤沢市の海沿いの地域で、丼などにして提供している店が多い。
ほろ苦い風味が特徴の「生シラス」
投稿によると、どうやら「しらすカレーパン」なるものも存在するらしい。インターネット等で調べてみると、JR辻堂駅北口にある「湘南カレーパン シモンズ(藤沢市辻堂新町)」で販売されているようだ。どんな味がするのか、どうしてこのようなカレーパンを作ろうと思ったのか、さまざまな疑問を抱えつつ、同店を訪ねてみた。
奇跡の出会いが生んだ、しらすカレーパン
出迎えてくださったのは、同店を運営する岡田さんご夫婦。
まずは、投稿にあった、シラス入りのカレーパンを頂いてみる。
奥さんの京子(みやこ)さん(左)、託司さん(右)
同店の一番人気、「しらすカレーパンシモンズ(220円)」
薄めなのに、モッチリした歯ごたえのある生地に驚く。カレーのルーはやや甘めで、シラスの生臭さはどこにもなく、シーフードカレーといった感じ。熱々よりも、少し冷めた状態の方が、より風味が立ってくるのが不思議だ。
人気商品を頂いたところで、改めて、同店の成り立ちを伺ってみることにしよう。
「湘南カレーパン シモンズ」外観
「湘南カレーパン シモンズ(以下、シモンズ)」を開店したのは、ちょうど10年前の2002(平成14)年のこと。
ご主人は前職で、パンの新商品開発に携わっていたそうだ。このため、特に自信のあった「揚げパン」を中心としたベーカリーを立ち上げることに決まった。店名は、託「司」さんの「門」出を祝うという意味を含めた「シモンズ」なのだとか。
揚げパンなどを中心に、40種ほどのラインナップを誇る
揚げパンといえば、メニューに加えたいのが「カレーパン」。しかも神奈川には、「横須賀海軍カレー」や平塚の「弦斎(げんさい)カレーパン」など、カレーにちなむ名物が多い。
そう考えた岡田さんご夫婦は、両地域の中間点である藤沢にちなんだシラスで、カレーパンを作ろうと思いついた。そうすれば、3つの地点が「湘南カレーロード」ともいうべき線で結ばれ、より効果的に盛り上がるのではないかと考えたからだ。
しかし、取引実績のないベーカリーにシラスを卸してくれる網元(漁師)は、なかなか見つからなかったようだ。そんな岡田さんたちに、奇跡的な出会いが訪れる。ある日、踏切で雨に濡れながら立ちすくんでいた男性に傘を差し出したところ、その人の実家が、偶然網元だったのだ。こうして、「堀川網(藤沢市本鵠沼)」から、シラスを定期的に入手することができるようになったのである。
ひとつひとつ、文字通り手作り
では、実際に「しらすカレーパン」ができる様子を見せていただこう。
まずはカレー。ご主人いわく「たっぷりシラスを使っている」とのことだが、その量については企業秘密とのこと。
分量を量りながら、生地を丸めていくご主人
中身が膨らまないよう、空気穴を開けて揚げる
この「しらすカレーパン」、2005(平成17)年には、同年からはじまった「ふじさわ観光名産品」に認められた。これは、藤沢商工会議所が3年に1度、藤沢らしさを感じさせる地元の名産品に対して認定するもの。以来、昨年に至るまで3回連続の受賞をしている。
これを機に、各マスコミにも報じられることが多くなった同店。多い日で1日700個のしらすカレーパンを売りあげることもあったという。だが、JR辻堂駅北口に昨年、大きな転機が訪れた。大型ショッピング施設、「テラスモール湘南」の誕生である。