日本一厳しいビーチ

夏と言えば水着！

毎年、海水浴客でにぎわう湘南地方だが、例年とは少し様子が違うビーチがある。今年3月に“日本一厳しい”条例を施行した逗子海水浴場だ。
　

日本一厳しいビーチ？

　
逗子海水浴場は、逗子市出身の人気アーティスト・キマグレンが出店した海の家形式のライブハウス会場「音霊（おとだま） OTODAMA SEA STUDIO」が風物詩となり、若者を中心に多くの海水浴客が詰めかけ、2012（平成24）年には過去最高となる73万2000人（逗子市発表）が足を運んだ。
　

写真はイメージ（フリー素材より）

　
しかし、音楽イベント時の重低音や、海水浴後に近隣のマンションや住宅に侵入して水道を使ったり、飲酒後に大声で騒ぎ、ごみを捨てていったりするなど、イベント目当てに集まる客のマナーの悪さが目立つようになった。また、2013（平成25）年7月には海水浴場の近くで人が亡くなる事件も発生した。

この事件や住民の声などを受け、逗子市は2014（平成26）年3月、「安全で快適な逗子海水浴場の確保に関する条例」を施行した。
　

逗子市が施行した条例（クリックして拡大）

　
条例に罰則規定はないが、これまで海水浴場内では全面可能だった飲酒を海の家だけでのみ許可するとしている。音楽については楽器、拡声装置を使うことを禁止したほか、刺青やタトゥーについても事業者だけでなく、利用者の露出も禁止。さらに、これまで午後8時30分閉店だった海の家の営業時間を2時間早め、午後6時30分閉店とした。
　

ビーチでお酒を飲む人の姿はない

　
逗子市の平井竜一市長は、この条例を「日本一厳しい条例」と銘打ち、逗子海水浴場を「一度リセット」することで新たなルール作りをめざしている。
　

一度「リセット」し、新たな海水浴場を目指す逗子市

　
市経済観光課の鈴木仁係長も「逗子は本来、遠浅で波が静かなのでファミリー向けのビーチ。『（音楽や飲酒でなく）海水浴を楽しむための海水浴場』にリセットした。5年後、10年後という中長期的な逗子の海水浴場のあり方を考えている段階」と話していた。
　

中長期的な海岸の在り方を検討中

　
逗子市では関係者や市民をメンバーにした「逗子海水浴場のあり方検討会」を設立しており、規制の内容が妥当なものかなどについて、引き続き話し合いを続けていく考えという。