キャンプ座間の下を通るトンネル!座間にUSAはあるのか?
ココがキニナル!
福生や横須賀など、米軍基地のある地域にはアメリカンな街がある。ということはキャンプ座間周辺にも「USA」な場所はあるのだろうか?(ライターのなかあき子のキニナル)
はまれぽ調査結果!
存在が感じられないほど地域に馴染んでいるキャンプ座間。ファミリーが多いため基地の外で遊ぶ軍人は少なく、周辺でアメリカンな空気はほとんど感じられない。しかしディープな「USA」体験が出来る場所だった。
ライター:のなかあき子
東京都福生市の、米空軍横田基地がある国道16号周辺には、アメリカンテイストなショップや1950年代に建てられた平屋の米軍住宅など、アメリカンな街並みが広がっている。
米海軍横須賀基地がある横須賀にも、アメリカン気分になれる「どぶ板通り商店街」がある。
では、座間市と相模原市南区にまたがるキャンプ座間の周辺はどうなのだろうか。そういえば、聞いたことがない。もしかしたら、実はここにも、アメリカンな街並みがあるのではないだろうか。
キャンプ座間周辺は全然アメリカンではない!
キャンプ座間のメインゲートに一番近い、小田急小田原線の「相武台前」駅で下車した。結果から言ってしまうが、アメリカンな街並みはなかった。
キャンプ座間の玄関口「相武台駅前」
駅の西側に米軍基地がある(この地図は南北逆に表示)
ただジャパンでしかない
駅前を見渡すと、佐世保バーガーの店があるが、この一軒でアメリカン気分になれるほど、私の感受性は豊かではない。
駅とキャンプ座間のゲート4をつなぐ道
ジャパンでも、昭和なジャパンだ
青果屋、電気屋、どじょう&鯉を扱う魚屋、畳屋。ここにアメリカンな時代はあったのだろうか。この地域のことをよく知る、タイヤ屋のおかみさんにお話を伺った。
昭和30年代から商いを続けている
「昔はバーなんかもありましたよ。1980年代まではお隣も外人さん向けのバーだったと記憶します。でもそれほど・・・米軍の街という感じではなかったですね。今もですけど」
その理由は、キャンプ座間の性質によるという。極東の総司令部が置かれているキャンプ座間には、陸軍のエリートが駐留。横田や横須賀のように実戦部隊の兵士はいない。また、日本の陸上自衛隊も敷地内に駐屯している。
「軍部の奥さんたちは、地域センターで英会話を教えたりして。昔から地域といい関係ですよ」
と、おかみさんの印象もかなり良いようだ。
特別気に障らない存在
隣の畳屋さんでも話を伺った。
「実戦部隊の威勢のいいのがいたら、街の雰囲気も違うんでしょうけれど。ファミリーで駐留している人が多いから、落ち着いていますね。駅前の回転寿しには、米軍関係者がよく来るみたいですよ」
近くの厚木基地のように航空機も飛来しないので騒音もない。生活の中で“特別気に障ることはない”存在だという。
「若い世代は普通に受け入れていて、古くから住む人たちは、思うところがあっても口に出さないし。年に数回ある基地開放デーには、地域の人も行きますよ」
基地周辺の住宅街を歩いてみた。のどかである。裏庭が基地に面する家もあるが、物々しい雰囲気はない。
住宅街の突き当たりが基地ゲート
すぐ脇に日本側の住宅
日本とアメリカを隔てる門
スシロールは懐かしの味
キャンプ座間と平行に、南北に伸びる国道51号線を北上すると、どこにでもあるようなファミレスチェーン店が点在。時折アメリカンな店が出現するが、偶然かもしれない。キャンプ座間のほか、在日アメリカ陸軍の補給施設である相模総合補給廠(さがみはらそうごうほきゅうしょう)住宅施設の相模原住宅地区がある地域だが、よそ者が米軍施設のある街だと実感するには、かなり意識しなければならない。
どこにでもある風景
基地のスクールバス
もうすぐ小田急相模原駅というところで、異彩なオーラを放つ店を発見した。
ポップな「SUSHI51」の外観
これぞUSAか?気づけばお昼時。ここまできて、どこにでもあるチェーン店でご飯を食べるのも寂しい。「SUSHI51」の扉を開いてみることにした。
内装を予測してみよう。ハイチェアとカウンターがあり、チープ&ポップなカラーリングで、ジュークボックスがあって、爆音でUSAチャートが流れている。のではなかろうか。
外観とのギャップ!
大間違いだった。カウンター席もある、落ち着いたおすし屋さんだった。
ここはアメリカ育ちの巻きずし「スシロール」を提供する「SUSHI51」。店主は座間育ちの鳴島修(なるしま・おさむ)さんだ。
「お客さんの7割が米軍関係者です。『懐かしい』と喜んでくれますね」
店は5年前にオープン。基地関係者のSNS投稿により知名度が上がり、横須賀からはるばる足を運んでくる人もいるという。
在日米軍関係者向けの新聞に取材記事が掲載された
未知なるスシロールの世界
アメリカではポピュラーなスシロール。ロスアンジェルスのリトルトーキョーにあったレストラン「東京會舘(とうきょうかいかん)」発祥で、アメリカ各地へと広まったと言われている。
「SUSHI51」では代表的なスシロールである、アボカドやカニカマを巻いた「カリフォルニアロール」を始め、グラデーションの美しい「レインボーロール」、揚げたソフトシェルクラブの足を蜘蛛に見立てた「スパイダーロール」などを提供する。鉄板の上で焼くスシロールもあるそうだ。未知なるすしの世界。太平洋の向こうで、すしは独自の進化を遂げていた。
米軍関係者には、特別どのスシロールが人気ということはなく、それぞれにお気に入りがあるという。冒険はせず、毎回自分の定番を注文するそうだ。
「総司令部の方々はとても紳士的です。ファミリーで訪れて、お酒はあまり飲まず、長居しないで帰られます」
では、私もスシロールの世界を体験してみよう。まずはアオムシをイメージした「ドラゴンロール(1200円/税込み・以下同)」に挑戦。
どうぞ!
かわいいとしか言えない!
衝撃のビジュアルと丁寧な職人技。3Dでお見せできないのが残念だ。繊細にスライスされたアボカド、自家製の煮アナゴ。目で見て楽しく、食べておいしいすし、それがスシロール。煮詰めだれは、追加するお客さんもいるという。
鉄板焼きのスシロールもお願いします!
すしの固定概念をぶち破れ
スシロールを鉄板の上に並べ、スパイシーマヨソースを乗せて焼いた、アツアツの「ボルケーノ(1300円/税込み)」。スパイシーマヨソースには、スシロールに欠かせないという東南アジア風の辛味ソース「シラチャーソース」が混ぜられている。唐辛子とニンニクが効いており、これが酢飯にピッタリで箸が進む、ビールが欲しくなるなあ。
奥さんの綾子さんとはアメリカで知りあった
ワーキングホリデーで訪れたオーストラリアで、日本食の道に進もうと決めた鳴島さん。日本で調理師免許を取った後に渡米し、カリフォルニアの和食店でスシロールの技術を習得した。
米軍関係者に人気のスシロールだが「日本人にはすしとして認められていない、と感じる時があります」と鳴島さん。
肉ずしや回転ずしはアリで、スシロールはダメなのか?
国内からの変化はアリだが、海外で独自に発展するのは受け入れがたいのだろうか? 海外の食文化であるラーメンやカレーを、独自に発展させたのに?
スシロールを前に、日本人の気質について鳴島さんと語らう。アメリカの都市で、ぶらりと入った和食店の店主と、遠き日本について話している気分になってくる。
あっ!これが、USA気分だ。