健常者と障害者がともに働き、高め合う環境
　
地道な作業を積み重ねてゴミを削減し、環境問題解決の一助となる業務を担うホマレファーストだが、同社は、もう一つ社会的意義のある特徴を持っている。それは、健常者と障害者がともに働く職場環境だ。
　
溜渕さんは約10年前から、自身が社長を務める別会社で障害者を雇用している。雇用を考えるきっかけとなったのは、テレビで観た、あるドキュメンタリー番組だったという。
　
「パン作りに携わる障害者が一人前に育っていく過程を観て、感動しました。自分にも少しでもできることはないかと、早速、障害者の支援学校に電話して相談し、卒業生の雇用を決めました」と。
　

実際に障害者を雇用して、彼らの仕事に対するまじめさを実感しました！

　
そこで、友人である当時のホマレファーストの社長にも、雇用を勧めたのだという。
　
「障害者の自立支援ができる喜びもありますが、彼らは自分たちにはないものを持っていて、見習うべきところがたくさんあります。まじめに一つのことに集中するひたむきさや純粋な心に、心動かされますね」と溜渕さん。
　

集中して取り組む作業が多い同社には、障害者と健常者が協力し活躍できる場がある

　
障害者雇用によって、社員の間に社会的弱者を守ろうとする気持ちが芽生えたという。健常者と障害者の垣根を越えて、ともに働き、成長を喜び合うことができる環境で、お互いに得るものが大きいようだ。
　
溜渕さんはまた、「社内だけでなく、取引のある法人や会社とも、信頼にもとづく友好的な関係が築かれていて、円滑に仕事を進めることができることも、素晴らしいと思っています」と多くの人との信頼関係で成り立っている、この仕事のやりがいを強調する。
　

人と人とのつながりが強く、明るい職場だ

　
ホマレファーストの今後について、溜渕さんは、「海外の方の雇用も考えていきたいと思っています。現在、日本が直面しているゴミの問題は発展途上国の人たちにとっても、今後、重要になってくる。ここで働いたそうした国の人が、自国に環境問題に対する意識や技術を持ち帰ってくれれば」と語る。
　
そして、さらには、自ら海外に出向き、自分が持っている産業廃棄物処理に関するノウハウを伝える仕事をすることも考えているという。
　

発展途上国の人にも、こうした仕事の必要性を伝えたい

　
「この仕事をしていると、つくづく日本は裕福だと感じます」溜渕さんは言う。まるで新品のようにきれいな靴や洋服、ほとんど手をつけていない飲料などが、たくさん捨てられているそうだ。時には、家族のアルバム、卒業証書などが見つかることもあるとか。
　

生活そのものを垣間見ることもあり、深く考えさせられるという

　
ホマレファーストが携わる、産業廃棄物リサイクル事業の現場は、決してきれいとは言い難いし、誰もが喜んで引き受けるような仕事ではない。けれども、豊かな国「日本」にあって、大きな意義のあるこの仕事に、日々こつこつと取り組む人たちへ、尊敬と感謝の気持ちがわいてきた。
　
　
　
取材を終えて
　
ゴミ処理やリサイクルの現状を垣間見て、産業廃棄物リサイクルにかかわる大変な仕事に、健常者と障害者の隔たりなく、明るく取り組むホマレファーストの方々にエールを送り続けたい気持ちになった。
　
また、あらためて環境問題に興味を持ち、自分自身の生活を振り返る機会にもなった。無駄なものは買わない、不要になったものはリユース・リサイクルで活用できるように処分するといった、自分にできることから始めていこう。
　
そして、事業者の方々にもまた、さらに環境への意識を高めてもらい、産業廃棄物リサイクル施設を積極的に利用してもらえればと思う。
　
　
―終わり―
　
　
HP／http://homarefirst.com/
　
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