横浜市内の貨物駅を徹底調査!【後編】
ココがキニナル!
横浜に現存する「貨物駅」が気になる。安善、横浜羽沢、東高島、根岸、横浜本牧、本牧埠頭。普段は見たり乗ったりできません。どんな貨物が取り扱われ、どんな機関車や貨車が走っている?(横濱マリーさん)
はまれぽ調査結果!
普段は見ることが出来ない横浜最大のコンテナ取扱駅・横浜羽沢駅の中を現地取材! 取扱貨物や機関車の走る様子は本文参照。
ライター:紀あさ
貨物運輸発祥の地、横浜
1872(明治5)年の鉄道発祥の1年後に、貨物運輸も開始された横浜。前編では6つの貨物駅を外から見る形で、公共交通機関を使って巡った。
貨物駅ならではのさまざまな出来事に出合うことができ、とても興味深かったが、どうしても旅客駅と違って貨物駅は、普段は外からしか見ることができない。
中からの取材ができないかと、新宿にあるJR貨物の本社を訪れた。
JR貨物・新宿本社
新宿駅南口徒歩2分。正式名称は日本貨物鉄道株式会社(以下JR貨物)
2011(平成23)年2月に飯田橋から新宿へと本社を移転した。
3階の総合受付から中に入ると
ロビーには展示コーナーがあり、貨物列車のプラレールジオラマが鎮座
JR根岸駅で見られるようなタンク車が連なる。
1987(昭和62)年4月に国鉄分割民営化に伴いJR貨物が発足してから、2017(平成29)年の今年で30年。このジオラマは、創立30周年を記念して、JR貨物が株式会社タカラトミーと協力して設置。「なじみの薄い貨物鉄道への理解と親しみが持たれるように」との思いが込められ、2月から展示されている。
入換作業の簡素化を図ったE&S方式も再現
E&S(Effective & Speedy)方式とは、着発線上に荷役ホームがあり、入換なしで積卸作業を行い、そのまま出発できる最新の荷役設備だ。
あとで出てくるので、覚えておいてください
対応いただいたのは、広報室の東城暢毅(とうじょう・のぶき)さんと、関東支社の総務部の田部裕一郎(たべ・ゆういちろう)さん。
横浜の貨物6駅の概要
ここで、前編で巡った各駅の役割を振り返ろう。
6駅の位置関係(貨物時刻表より)
横浜羽沢駅と安善駅はJR貨物の駅だが、根岸はJR貨物グループの臨海鉄道である神奈川臨海鉄道との共同駅で、駅長は神奈川臨海鉄道が務めている。横浜本牧駅と本牧埠頭駅の2駅は、神奈川臨海鉄道の駅だ。
また、各駅で扱う貨物は以下のようになっている。
主要な発着品目
うち、横浜の貨物輸送の要といえるのは、コンテナ輸送の拠点であり、面積も最大である横浜羽沢駅。南北に1564メートル、東西に240メートル。総面積は20万5000平方メートル、実に横浜スタジアム約8個分だ。
沿革は、1979(昭和54)年、東海道線ならびに横須賀線の混雑緩和のため建設された貨物別線に、手小荷物、車扱貨物、コンテナ貨物を取り扱う総合物流拠点基地として開業し、始まる。1983(昭和58)年に横浜羽沢駅での車扱貨物の取扱廃止。手小荷物は1986(昭和61)年、全社的に鉄道小荷物サービスが廃止されたときに廃止。
現在はコンテナ貨物のみを扱っている(今井英明さん撮影)
参考までに、手小荷物とは、手荷物と小荷物の総称で、手荷物は旅客が荷物を列車内に持ち込む代わりに託送し、小荷物は鉄道に乗車せず荷物だけを列車で送るものを指した。ざっくりいうと、「飛行機の預け荷物」の列車版と、「宅配便」の鉄道版だ。
横浜羽沢駅発の貨物列車は1日10本、遠くは北海道や九州まで行き、同駅の1日のコンテナ取扱個数は平日平均で170個ほど。
横浜羽沢駅からの行先と取扱数量
中から見るのは、この駅がよいのではと勧めていただいた。