鳩サブレーで有名な豊島屋とは?
ココがキニナル!
鳩サブレーで有名な鎌倉市の豊島屋さんを取材してください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
創業は明治27年、当時は瓦せんべい店だったが、「鳩サブレー」のヒットにより今では年商約64億円の和菓子メーカーに。最近では関連グッズも人気!
ライター:河野 哲弥
鎌倉土産はもちろんのこと、神奈川県指定銘菓にも認定され、贈答品やお土産など幅広く利用されているのが「鳩サブレー」ではないだろうか。
県内外のデパートにも出店し、読者の皆さんも一度は口にしたことがあるであろう、鳩の形をした焼き菓子である。
5個入り525円の「鳩サブレー」一例
今回は、そんな「鳩サブレー」の製造・販売元である「豊島屋」の歴史や商品秘話などについて、じっくりお話をうかがってくることにした。
向かうは、鎌倉八幡宮の参道に面した同社本店。「いざ、鎌倉」である。
鳩サブレではなく、「鳩サブレー」
対応いただいたのは、同社営業部の小笠原さん。まずは、「豊島屋」の歴史から説明していただいた。
鎌倉市小町にある、「豊島屋本店」外観
お話をうかがった、営業部長の小笠原さん
小笠原さんによれば、同社の創業は100年以上も前の、1894(明治27)年になるそうだ。もともとは、丸い瓦せんべいを扱う商店だったとのこと。屋号の「豊島屋」は、その頃存在した全く別の商店の名前を、創業者である久保田久次郎が気に入って、譲ってもらったのだという。
鎌倉は当時から外国人観光客が多く、「豊島屋」にも、自国へのお土産を求める人が訪れていたらしい。1897(明治30)年ごろのある日、そんな外国人の一人が、フランスの英雄ジャンヌ・ダルクの絵が形取られたビスケットを、同店へ持参したそうだ。
その頃の日本ではぜいたく品であるバターをたっぷり使った、豊かな風味に魅了された久保田氏。子どもたちに何か栄養のあるものを食べさせたかった思いもあり、何とか同じ味を再現できないかと研究を重ね、その年のうちに試作品が完成。その形は、子どもたちに親しまれていた、八幡宮境内の「鳩」をモチーフとした。
本店の外観の一部にも、「鳩サブレー」と同じ形のオブジェが
そんな試作品だが、外国航路の船長をしていた顧客の一人に試食してもらったところ、フランスの焼き菓子「サブレ(Sablé)」に似ているとの感想を得た。ところが、まだなじみのなかった名前だったため、久保田氏はよく似た日本人の名前「三郎」を連想し、この試作品をしばしば「ハトサブロー」と呼んでいたそうだ。
試作品はやがて商品として売り出されることになり、この「ハトサブロー」を転じて、「鳩サブレー」とした。同社ではこうした経緯を尊重し、語尾をのばした名称を、今でも使い続けている。