市営地下鉄の広告やポスター、規制やコラボの経緯は?
ココがキニナル!
横浜市営地下鉄車内ではパチンコ広告を見かけますが、規制の実態は?(金杯さんのキニナル)/横浜市営地下鉄のポスター「僕は友達が少ない」とのコラボでしたが、経緯が気になります(kochabさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
パチンコ業界に対する規制はなく、内容と掲出量に規制がある/アニメとのコラボ広告は、若年層の興味喚起を目的とし若手職員の提案で実現した。
ライター:沢村 友美
通勤・通学などで日常的に電車やバスを利用する人にとって、車内や駅構内での広告は身近な存在だろう。印象深い広告に出あえば、それを友人や家族との間で話題にすることも少なくない。
今回スポットを当てるのは、そんな交通機関での広告。横浜市営地下鉄の広告に関するキニナルをまとめて調査した。
横浜市営交通広告について
取材先は横浜市交通局の営業推進本部営業企画。
交通局が入るビルは市庁舎のすぐそばに建つ
担当課長の川合さんと係長の矢澤さんから話を伺ったところ「横浜市営交通の広告は、指定広告代理店を通じて受注・制作しています。代理店は現在11社あり、どの代理店に発注するかは広告主様に決めていただいています」とのこと。
広告には、中吊りやドアの横、窓上に掲げるもののほか、ドア用のステッカー、車内LED(ブルーライン)、モニター用映像(グリーンライン)、駅構内に貼るポスターなど実にさまざまなタイプがある。
それぞれにサイズ(映像なら放映時間)、制作枚数、掲載期間、広告掲載料などが定められ、限られた空間内である程度の統一性が保たれる仕組みだ。このことは交通局のウェブサイト上で紹介されており、一般の人でも閲覧が可能。
広告主への規制はあるの?
では、投稿にあった「広告規制」についてはどうだろう?
「現在のところ、パチンコ業界自体は規制しておりません」と川合さん。これはパチンコホールだからといって広告掲載を断ることはない、という意味。「特定の業種に対する規制ということでは、風俗業やタバコなどが該当します」
確かに、それらの広告を市営地下鉄やバスの車内で見た記憶はない。パチンコ広告に関しては「業界に対する規制はないものの、表示(内容)と掲出量についての規制を設けています」とのこと。
横浜市の広告掲載基準によれば、「規制業種又は事業者」にあたるのが風俗業やタバコなど。パチンコ広告の場合は、「掲載基準」に関する取り決めのうち、「第6条 次の各号に定めるものは、広告媒体に掲載しない」として、「射幸心を著しくあおる表現」などが挙げられている。
具体的には、パチンコ店の場所を知らせる内容や店舗オープン日時の告知であれば問題ないが、台(遊技機)本体の絵や写真、玉の出方うんぬんといった表現はNG。著しくギャンブル性をアピールするような表現や内容は掲載が認められていない。
さらには、同時に掲載できる広告主の数に上限を設け、一車両(区画)内に掲載できる数についても制限をしている。
たとえば、一車両につき中吊り広告なら2枚まで。窓や網棚の上は3枠、ドア横は1枠・・・といった具合だ。広告主の数はその上限の範囲内で分け合い、中吊り広告なら2社で1枚ずつの場合と、1社が2枚出す場合がある。
時々、一つの企業や商品の広告ばかりで埋め尽くされた「車内ジャック」に出くわすことがあるが、パチンコ業界がそれを行うことはできないということだ。
地下鉄車内での中吊り広告のイメージ
「交通局ではこのようにルールを定め、『広告掲出審査基準』として運用しています。広告主様には、これに則り広告を掲出していただくよう、代理店を通じてお願いしています」
広告掲出審査基準は、市営交通機関としての信頼性のあり方、道徳性、消費者保護などの観点から考え、定めたものだそう。パチンコ広告については「市民から『業種そのものを規制すべき』というご意見を年に1~2回ほどいただきます。これらのご意見を真摯に受け止め、今後の運営について考えていきたいと思います」とのこと。