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横浜市営地下鉄桜木町駅の「使われていない幻のホーム」、今もぴおシティにあるって本当?

ココがキニナル!

「かながわの鉄道」に「桜木町駅前のゴールデンセンターの下に造った地下鉄用ホームは無用となり、その下に新しくホームを造る」という記載。桜木町駅に幻のホームが眠っているの?(横濱マリーさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

当初、地下鉄桜木町駅ホームは現在よりも上階に建設予定だったが、高速道路の地下化により計画が変更。名残りはぴおシティにはなく今のホーム階段に

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ライター:三輪 大輔

「かもめ文庫」は、神奈川新聞が発行している地域風俗をまとめた文庫本シリーズである。その第3巻の『かながわの鉄道』の中に、「幻の市営地下鉄桜木町のホームが現在の桜木町ぴおシティの下にある」という記載があるらしい。早速、私もその本を実際に手にとって確かめてみた。
 


神奈川新聞発行のかもめ文庫『かながわの鉄道』

 
すると確かに、147ページに「桜木町駅前のゴールデンセンターの下にあらかじめ造った地下鉄用のホームは、大江橋付近の計画変更で無用となり、さらにその下に新しいホームを造るという公費のむだ遣いを強いられてしまった」と投稿にあった通りの文章を発見。
 


147ページに無用になった桜木町駅の件が記載してある

 
果たして無用となったホームはどうなったのか、今も幻のホームとして桜木町ぴおシティの下に存在しているのだろうか? そこで幻の桜木町駅に関する調査を開始した。



市営地下鉄建設と首都高速道路建設



ここで「大江橋付近の計画変更」というキーワードに関連する、桜木町駅建設当時を振り返りたい。

横浜市では、1965(昭和40)年、都市交通審議会が設けられ、鉄道建設の検討が始まった。そして1968(昭和43)年に、横浜市営地下鉄の「上大岡から関内間」と「山下町から横浜駅間」の工事が着工予定であった。しかし、その前年に首都高速道路の建設計画も始まっており、両者間で調整が行われることに。その結果、市営地下鉄は当初計画からの変更を余儀なくされたのだ。

そこで、この話に関係してくる横浜市交通局と首都高速道路株式会社に、まずは問い合わせてみることにした。しかし、当時を知る担当の方がいないということで、回答をいただくのに時間がかかるということに。50年近く前の話であるので、当たり前ではある。そこでご回答をいただくまでの間に、桜木町ぴおシティに何か形跡がないか調べてみることにした。
 


どこか哀愁漂う佇まいの桜木町ぴおシティ

 
JR桜木町駅を出て国道16号線をわたったところにあるのが、「桜木町ぴおシティ」。みなとみらい地区のある北口と違って、心なしか南口はガランとしている。
 


人の出入りも少ない桜木町ぴおシティの入り口

 
副編集長の山岸様と力を合わせ、幻の桜木町駅の名残りのようなものを探して、桜木町ぴおシティをホーム目指して潜っていく。しかし見つかるのは、場末感漂う、ぴおシティの店だけ。

念のため駅員さんに「幻の桜木町駅のホームの件で・・・・・・・」と尋ねるが、丁寧な対応こそしていただけるものの、的を射ない顔をしている。これは力づくで探すのは無理だと実感。そこで、横浜市交通局と首都高速道路株式会社の回答を待つことにした。それから数日後、両者から回答をいただくことができた。
 


館内の案内標識も色あせ、まだ「東横線」の案内が残り時代を感じさせる
 

地下街はシャッターの閉まる店が連なる
 

人通りも疎(まば)ら

 
しかし、いただいた回答は、当時を知る職員がいないため、やはり詳細は分からなかったとの内容。暗礁に乗り上げてしまったかに思えたが、どちらのご担当者も古い資料を探して、当時の様子を調べてくれた。どうやら現在の桜木町駅のホームは、当初計画より深い場所に作られており、それには首都高速道路の地下化の工事が関連しているらしいのだ。

それでは幻のホームはないのだろうか? その謎の解明には、市営地下鉄と首都高速道路の建設当時の様子を、もっと詳細に知る必要がありそうだ。そう考えて、私はある人物に話を伺うことにし、都市計画「横浜市六大事業」についても今一度おさらいしてみる。