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横浜市営地下鉄桜木町駅の「使われていない幻のホーム」、今もぴおシティにあるって本当?

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「かながわの鉄道」に「桜木町駅前のゴールデンセンターの下に造った地下鉄用ホームは無用となり、その下に新しくホームを造る」という記載。桜木町駅に幻のホームが眠っているの?(横濱マリーさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

当初、地下鉄桜木町駅ホームは現在よりも上階に建設予定だったが、高速道路の地下化により計画が変更。名残りはぴおシティにはなく今のホーム階段に

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ライター:三輪 大輔

横浜市六大事業と市営地下鉄桜木町駅



「横浜市六大事業」は1965(昭和40)年に当時の飛鳥田一雄市長のもとで進められた横浜市の都市計画で、(1)都心部強化事業(2)金沢地先埋立事業(3)港北ニュータウン建設事業(4)高速鉄道建設事業(5)高速道路網建設事業(6)横浜港ベイブリッジ建設事業の6つの事業からなる。先ほどの鉄道建設や首都高速道路の建設も関連してくるこの事業。その中心に「田村明」という人物がいる。横浜市六大事業の提案者であり、参謀役でもある氏は、実は「幻の桜木町駅」にも深く関係していた。

その「田村明」氏を研究する「まちづくり横浜の総合化と田村明研究会」という会が存在する。氏の関与した事業が、実際にどういったやり取りがあって実現していったかを客観的に研究するという同会。

その幹事の田口俊夫さんにお話を伺うことができた。実は田口さんは、横浜市役所に勤務時代に、田村明氏とともに働いた経験を持っている。
 


田村明研究会の幹事である田口俊夫さん


「今から50年ほど前、横浜市は地方自治体が中心となって都市計画を推進しました。その中心的な人物が田村さんです」
田口さんはそう話すと、田村明氏を中心として進められた横浜の六大事業について説明をしてくれた。

当初、実は首都高速道路(高速神奈川1号横羽線)は高架で建設される予定であった。1968(昭和43)年当時に作成された高速道路建設の計画案では、山下公園の前にも高架の高速道路が通る案が示されている。

そして都市計画決定と事業決定がされ、高速道路計画が実行に移されようとしていた。しかし、この都市計画に反対する人物が現れる。時の市長、飛鳥田一雄である。

それと前後して、田村明氏は横浜市役所に入庁する。入庁前より都市計画に関する見識を持ち、数多くの提案も行っていた氏は、市長の飛鳥田に乞われる形で高速道路計画の立案と実施を担当。「企画調整局」という役所の他局も束ねる部署のトップとなり、高速道路の地下化の実現に奔走する。一回、決定された高架での高速道路計画を覆す難しい仕事だった。しかし氏は、わずか1年でこの仕事をやり切ってしまう。
 


地下の土木工事と題された桜木町地下の工事に関する資料

 
高速道路建設にかかる費用は、地上に作る場合と比較して高架なら2倍、地下なら3倍は必要だと言われている。コストパフォーマンスを優先するなら断然、高架の方が良いはずだ。しかし横浜市は景観を優先し、高速道路の地下化を決定。そしてその計画案を実行に移し、実現した。
 


1971(昭和46)年3月から1978(昭和53)年3月にかけて工事があった首都高速神奈川1号横羽線

 
もし、高架のまま高速道路の工事が進んでいたら、横浜の景観も現在と違ったものになっており、山下公園も東京の日本橋のように、煤(すす)けた場所になっていた可能性がある。日本の都市計画の権威とも言える田村明氏がいたおかげで、現在の横浜の都市機能や景観があるといっても過言ではない。
 


地下鉄網の当初計画案を現在の地図で辿る

 
実はゴールデンセンターは、1968(昭和43)年に高速道路地下化の調整作業が開始されたのと同時期に完成。桜川新道の下を通る地下鉄網を想定して、それに合わせてコンコース広場を作っていた。

しかし都市高速道路の地下化により、市営地下鉄は当初計画を変更し、さらに深い所を通る必要が生じた。そのため桜木町駅では、通常より階高(床からすぐ上の階までの垂直寸法)が高くなっている箇所がある可能性があるとのことだ。

どうやらコンコースからホームに至るまで深くなっているのが、幻の桜木町駅の名残であるらしい。これは横浜市交通局と首都高速道路株式会社からの回答と一致する。そこで改めて横浜市営地下鉄桜木町駅のホームに行ってみることにした。
 


桜木町ぴおシティからコンコースに繋がる階段

 
実際に現地に行って分かったが、市営地下鉄桜木町駅のホームに至る階段は長く感じる。本来はコンコース部分にホームが来る予定であったが、高速道路の地下化の余波で計画が変更され、さらに深い場所にホームを建設し直したという話と符号する。
 


市営地下鉄桜木町駅の改札
 

改札からホームに至る階段は長い
 

長い階段を下るとホームに至る
 

桜木町駅のホームに滑り込んでくる電車

  
1968(昭和43)年当時、錯綜した市営地下鉄の建設と首都高速道路の建設。先行して市営地下鉄の建設が当初ルートに合わせて始まっていたが、首都高速道路の計画変更により進めていた工事の変更を余儀なくされた。

まだ桜木町駅のホームが完成していたわけではないが、当時ホームになる予定の場所は採掘を開始していた。こうした経緯を経て、当初計画より更に深く掘りなおして改めてホームを完成。

そのため、現在の市営地下鉄桜木町駅のホームに下るまでが深くなっていたのだ。幻のホームこそなかったものの、横浜都市計画に翻弄された桜木町駅のホームが、その形跡を残し現存していた。



取材を終えて



実は、「まちづくり横浜の総合化と田村明研究会」の田口さんにお話を伺った場所は、たまたま市営地下鉄「センター北駅」近くの喫茶店であった。田村明氏が推進した六大事業の中の一つ「港北ニュータウン建設事業」で建設されたセンター北。

そこで氏の事業についてのお話を伺うことは、田口さんと田村明氏の結びつきの強さを感じた。幻の桜木町駅のホームこそなかったものの、理想的な都市計画の実現に奔走する人物の様子を窺い知ることができ、横浜の街を見る目が変わったのは確かだ。


―終わり―
 
参考文献
『かながわの鉄道』
まちづくり横浜の総合化と田村明
 

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  • 私の記憶では、現在二層式?になってるホームはそれぞれ島式ホームで、今は壁が作られていますが以前は線路があって使われないホームがありましたよ。ほんとはそのホームから山下町の方に延びる予定だったと聞いたことがあります。

  • ベイブリッジは失敗作だった。せめて、ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ(ニューヨーク港の出入り口にある橋)を参考に桁下高を確保すれば、現在の様な、大型客船が入港できない事態にはならなかったであろう。これは大きなチョンボ。

  • 市営地下鉄3号線が未完成との投稿があるが、確か現在の路線は関内~湘南台間の1号線と関内~あざみの間の3号線で、2号線が未完成ではなかったか?

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