すごい数の自転車がとまっていた、みなとみらい「グランモール公園」の前から自転車が消えたのはなぜ?
ココがキニナル!
みなとみらいのグランモール公園。TSUTAYA前は、以前はすごい数の自転車が駐輪していた。しかし最近、まったく駐輪がない!一体どのような施策を!?(ta-TAさん)
はまれぽ調査結果!
横浜市の巡回、民間ビルの警備の巡回が相まって放置自転車が2012年以降から減少された。地域が問題意識を持ち、対応したことも大きい。
ライター:山口 愛愛
住人と横浜市の見解は?
みなとみらい地区の中央を貫き、新高島町駅方面まで約700メートル伸びている「グランモール公園」。一部は1988(昭和63)年の横浜博覧会を機に開園され、その後1991(平成3)年に現在のような形に整備された。
ジャグラーらが大道芸を披露しにぎわう、横浜ランドマークタワーとクイーンズスクエアの間にあるヨーヨー広場から横浜美術館、横浜アイマークプレイスの前に続く公園は、「通り」として認識している人も多いかもしれない。
グランモール公園(赤枠)はこの辺り(Googlemapより)
ビルの谷間に流れる水と緑に心が和む公園
この中でも違法駐輪がされている自転車で溢れていたエリアが、スターバックスを併設するTSUTAYA横浜みなとみらい店の付近だった。かつては自転車やオートバイがずらりと並ぶ姿を目の当たりにした。投稿にもあるように、最近では自転車はほぼ見られず、水辺と花と緑が景観を明るくしている。
TSUTAYA周辺は広々としている
道路には「駐輪禁止」の文字が
何か対策が施されたのだろうか。一体、誰が音頭をとって改善したのだろうか。今まで放置されていた自転車はどこへ行ったのだろうか?
さっそくグランモール公園の状況を確認し、公園を通る人に印象を聞いてみる。
近隣に住むアオイさん(30代/女性)は「1年ぐらい前は、たくさん自転車が停まっていたが警備員が出るようになって、停められなくなったんじゃないかな? 自転車がいっぱい停まっていないと、自転車で来た人も停めないのでしょう。商業施設が少なかったころは、自転車も多く通っていたけど、人が増えて、自転車も通りにくい状況になったので、駐輪が減ったのでは?」と話す。
また「土日は特に、観光客の人が多く、ゴミやたばこの吸い殻、車の駐車が増えていた。今は、前よりは減ったと思う」と駐輪以外の問題もキニナっていたようだ。
この辺りの道路沿いには今も数台自転車が止まっていた
近隣に職場があるHさん(30代/女性・港北区在住)は「たぶん2、3年前ぐらいのM/M GRAND CENTRAL TERRACE(以下、MMテラス)がなかったころは、駐輪が多かった。自分は自転車を利用していなかったが、きちんと並んで停まっていたので、当時は駐輪禁止の場所だと思わなかった」
「店舗利用者などが駐輪していたと思い、迷惑にも思わなかったが、今は花壇などができ、景観がキレイなので、駐輪していると迷惑と思うかも」
左のビルがMMテラス
この辺りは自転車が多く、禁止だと思わなかったという
ほかにも「昔からよく来ているけど、駐輪のイメージはなく、今の花壇のイメージが強い」
(Y.Iさん20代/主婦・磯子区在住、C.Oさん30代/主婦・金沢区在住)などの意見があり、どうやら警備員の誘導や花壇が違法駐輪の抑止力に一役買っているようだ。
当時の駐輪の状況は?
どの団体がこのような対策を講じたのだろうか。詳しい情報を得るため、グランモール公園を管理している横浜市環境創造局都心部公園担当の高村暁子(たかむら・あきこ)さんを訪ねた。
写真はNGだが高村さんが丁寧に説明してくれた
投稿の内容を説明すると「たしかに以前は違法駐輪の自転車が多く見られました。今も皆無ではありませんが改善されています」と返答。改善された状況を把握しているので、横浜市の方で何か対策を取ってきたのか説明いただいた。
「自転車の対策はやってきましたが、市の担当部署だけでなく、TSUTAYAさんの入っているビル(みなとみらいミッドスクエア)などの商業施設の警備員なども、自転車を置いていく人に声を掛けて駐輪場を案内しているんですよ」と市と民間の両方で手を打ってきたと明かす。
公園には商業施設が並ぶ
横浜市の公園事務所では、警備委託の業者に巡回をお願いし、声掛けだけでなく、違法駐輪に張り紙をして駐輪禁止の案内をしてきた。
業者はゲートの開閉作業のため巡回していたが、近年見回りの回数を増やして駐輪対策を強化しているという。市民からの電話で状況を知るケースもあるが、市の職員が各公園を巡回しマナーを見て、警備委託や配備などを考えたと話す。
放置自転車がないと通りが広く感じられる
グランモール公園には開園当初から駐輪場があり、TSUTAYAの(みなとみらいミッドスクエア内のクリニックなども含む)お客さん専用の駐輪場もしっかりあるのだが、違法駐輪の自転車が溢れていたので横浜市としても対策を練ったのだ。
「市の公園担当の巡回は一つの公園だけではありませんし、犬の放し飼いや物の破損などの違法行為なども確認しているので、その中のひとつに駐輪の問題があるというわけです」と高村さん。
みなとみらいミッドスクエアの駐輪場のほか
MMテラスの駐輪場などいくつもある
みなとみらい21地区は「自転車等放置禁止区域」と市の条例で定められている。
市の条例によると放置自転車とは、駐輪を認められていない場所に自転車を置き、買い物などのために自転車から離れ、直ちに移動できない状態を指す。
放置した場合、自転車は保管場所へ移動し、引き取りの際に自転車1500円、バイク3000円を負担することになると、横浜市のホームページなどにも明記されている。これはグランモール公園に限らず、どこの駅前でもたいがい行われていることだろう。この場所は「みなとみらい駅」の駅周辺でもある。
この「自転車等放置禁止区域」の自転車の管理担当は、横浜市の別の部署、「都市整備局」にあたる。つまり、このエリアは公園の安全管理の巡回と放置自転車に特化した巡回があり、横浜市だけでもダブルチェックされているのだ。
赤いエリアが自転車等放置禁止区域
横浜市のホームページにも記載している
グランモール公園の放置自転車のピーク時の状況を訪ねると、公園の見回り時に集計した目安の数値のようだが、2011(平成23)年~2013(平成25)年の間は、1日で自転車約50台、バイク約50台の駐輪があったという(ただし日時により0台のときもあり、時間帯や場所で変動)。
ピーク時にはこれだけの駐輪があった