横浜市の公立中学は、なぜ給食がないの!?
ココがキニナル!
横浜市の中学校では給食がないのですが、他の地域ではあるのが当たり前と聞きました。どうして給食がないのでしょうか?(あやなさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
急激な人口増による学校建設そのものを優先させたため。今後、実施に向けた動きも無い。
ライター:広田 調
給食の無い横浜市は特異な存在
横浜市民にとって給食は小学校だけというのは当たり前のようだ。
しかし、文部科学省の学校給食に関しての全国調査(平成20年5月)を見てみると、公立中学校での学校給食の実施状況は全国で80.9%。全国ほとんどの地域で学校給食が行われていることが分かる。
都道府県別学校給食実施状況(公立中学校) 平成20年5月
地域別にみると、西日本に50%前後と実施率の高くない県が見られるが、全国的に軒並み95%以上だ。そんな中、大阪府の7.7%と神奈川県の16.2% だけが突出して低いことに気付く。
さらに、神奈川県内の市町村を調べると、横浜市、川崎市、横須賀市など大半の市町で完全給食実施率0%であることが分かった。完全給食実施率99.5%の埼玉県で育った筆者にとっては、給食がない「中学生が毎日弁当を持参する」光景は想像すらできなかった。
毎朝5時半起きで弁当を作る母の本音
中学3年生の娘さんがいる桐生さん
横浜市内に住む桐生さんは中学3年生の娘さんを持つお母さんだ。仕事が深夜にまで及ぶこともあるフリーライターとして活躍しながら主婦業もこなしている。娘さんは運動部で活躍する活発なお子さんで、早朝から夜遅くまで部活動に励んでいるため、お母さんとしてはボリュームと栄養を考えた毎日の弁当作りが大変だと教えてくれた。
桐生さんの場合、朝練習前の弁当づくりは「5時半起き」を強いられるというのだから、仕事との両立を考えるとその努力がうかがえる。一方で、専業主婦やパートタイマーの場合は時間の調整が利くので、「昼前に学校に届ける」ということも可能のようだ。しかし、学校に弁当の保管場所があるわけではなく、夏場は食中毒対策にも頭を悩ませるという。
写真右上の凍らせたゼリーは保冷効果があるため、お母さん方はみなさんやっている技なのだとか。
教育委員会に聞く、給食がない理由は・・・
そもそも、なぜ横浜市の公立中学校では給食が実施されていないのか。
理由を探るために横浜市教育委員会健康教育課清水課長に話を聞いた。
横浜市教育委員会 健康教育課に伺う
清水課長によると、小学校は全国的な学校給食実施の流れに沿うことができたが、中学校の給食実施が全国で進んだ昭和40年代、横浜市は別の問題をかかえていたそうだ。それが、急激な人口増による学校建設だ。現在、横浜市内には145校(平成21年度時点)の公立中学があるが、それらの多くは昭和40年代以降、急激に進む人口増加の中で設立されたという。
当時、一括して給食を導入することも検討されたが、横浜市の場合、学校が主体となって学校運営を行う特性があったため、給食導入を市が先導するという雰囲気になかったそうだ。
なんとも歯切れの悪い回答だが、他県の実施状況と神奈川県内その他の市にも給食がない状況を比較して考えると、当時、県内に給食導入を先導する旗振り役がいなかった状況が想像できる。