栄区上郷地区の開発計画、その後の動きはどうなった?(後編)
ココがキニナル!
栄区上郷にて大規模な都市開発計画があるそうです。自然が豊かな地区であるだけに、住民の反対も強いようです。現状について調査頂けないでしょうか(洩矢諏訪子の兄さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
今年6月に予定されていた東急建設からの事業提案が、間もなく行われる予定。緑地保護の観点から横浜市の積極的な参画が重要なポイントになるか。
ライター:河野 哲弥
解決策に向けてコーディネート力が求められる、東急建設
渋谷区にある同社を訪れると、上郷開発特命プロジェクトチームのリーダーである今井さんを筆頭に、こちらも合計5人のメンバーが出迎えてくださった。
東急建設の入るビル外観
何より聞きたかったのは、過去2回に渡る横浜市との関係である。市にハシゴを外されたような経緯について今井さんは、「毎回、思いどおりにいかず残念に感じる」と話す。
同社が具体的な土地の取得を始めたのは昭和の終わりごろであるそうだ。以来、四半世紀ほどの間、東急建設や地権者らが所有する約33ヘクタールもの土地が、手つかずのままとなっている。
そうした中、同社では今年1月、横浜市に対し都市計画提案に関する事前相談書を提出した。同じ事を3度繰り返さないための、プレ提案といったところだろうか。
今回の事前提案書に盛り込まれた計画図
前回、平成19年時の計画図
今回の修正計画図を見ると、道路東側にある緑地部分のほとんどが、無色である(開発対象ではない)ことに気付く。前回の2007(平成19)年時では、公園なども含めた緑地と、開発を行おうとしていた土地の比率は、ほぼ半々であった。
今回は、約7割の土地が、緑地として保護されることになるようだ。残り3割の開発予定地のうち、道路予定地や地権者の土地を除くと、東急建設が開発を手がけようとしている部分は、わずかに全体の5% (主にオレンジ色の地区)にまで縮小した。
それにしても、たった5%の土地で、開発事業が成り立つのだろうか。今井さんによると、平成19年時の計画では、緑地を横浜市に無償提供する予定だったようだ。
しかし今回の提案によると、約7割に増えた保護緑地の大部分は、市への有償譲渡を前提としているそうだ。なお、その詳細は、同社のサイトに掲出されている。
同社のサイトでも確認できる
さらに今年3月になると、東急建設を含む地権者、横浜市、横浜市長が、それぞれこの動きに呼応した。まず地権者らは、全員の署名と共に、『上郷猿田地区都市計画提案の推進について』という開発を望む陳情書を、横浜市へ提出。
一方、横浜市は、東急建設に『都市計画提案に関する事前相談書に対する助言書』を提示し、交渉再開への姿勢を見せた。その内容を見ると、「上郷開発から緑地を守る署名の会」が掲げる4つの趣旨が、かなり反映されているように感じる。
それにもかかわらず、横浜市は今までと同様、東急建設に各種調整を求めている。地元への事前説明などを是認しながら、計画の承認は別問題だというスタンスは、もはやお家芸であろう。この助言書の内容も、同社のサイトから確認することができる。
都市計画提案に関する事前相談書に対する助言書、前文の抜粋
最後に林横浜市長だが、同3月に、上郷地区の土地買収について前向きな意見を述べたことは、記憶に新しい。具体的な金額や規模については、これからの協議次第となるだろう。
今後、東急建設はこの内容を受け、早急に再提案を行う模様。また、すべての関係者が納得できるような解決策を提示することによって、長年に渡る問題にピリオドを打とうと取り組む。
では、やっと最後になるが、横浜市への取材も試みてみよう。やはり気になるのは、1987(昭和62)年に行った、2車線道路の先行仮設。そして、過去2回に渡る、具体的な協力要請である。
まずは、開発事業の許認可権を持つ都市整備局に取材を試みたのだが、「サイトなどに掲出している以上のことはお話できない」とのことだったので、道路局を訪ねてみることにした。