道が歴史を語る宿場町として栄えた場所、はま旅Vol.97「東神奈川・仲木戸」編
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第97回は、かつて宿場町として栄えた場所。道が歴史を語る、JR東神奈川・京浜急行仲木戸の旅。
ライター:山口 愛愛
駅にワケあり、道に歴史あり(つづき)
たいていの道路は灰色のアスファルトだが
「神奈川歴史の道」はレンガタイルが敷かれ白い線が目印に
地区センターの資料にもあった通り、このレンガを辿っていくと宿場にまつわる寺社などに自然と辿りつけるよう整備されていた。レンガを辿って歩く。
浦島伝説が残る慶運寺の手水舎の亀を思わずナデナデ
歩くのが楽しくなってしまい、つい、はま旅「神奈川編」で紹介されていた宗興寺まで来てしまったが、受付で「よかったら、中まで見ていってください」と声を掛けてくれたので、案内していただくことに。
開港当時は、ヘボン博士が宗興寺に診療所を開設した
驚くことに中は独特な世界観が漂う、美術館のようだった。
全景が入らず残念だが1枚モノの龍の彫刻は圧巻! 壮観!
ご本尊の釈迦牟尼仏陀(しゃかむにぶっだ)も木の彫刻。光背が珍しい菩提樹
1階の広間は地域の交流の場として、カルチャー教室などに貸し出しているという。この日はデージーハウス主宰の松井先生のトールペイント教室が開かれていた。
生徒さんは真剣。かばんや手帳、ランプにも好きな絵を描ける
パーテーションやギターケースも松井先生の手にかかればこの通り
お教室の奥では、千手観音がやさしく見守っていた。
慈悲深いお顔と繊細な彫刻に自然と手を合わせてしまう
ふすまには孔雀の絵。よく見るといくつもの人の顔! 島谷晃さんの作品
このほかにも、仏陀ストーリーの木彫りや、さらに小さい細かな千手観音など、数々の美術品(と言っていいだろう)が安置されている。
「住職がお寺は死んだときに来るものではなくて、生きている人のもの」と口にしているので、人が集まるあたたかい場所にしたいと語ってくれた。
「若い方も見えますよ。お気軽に来てください」と住職の奥様、中野さん
だいぶ横浜寄りに進んできたので、海に近いほうにも行ってみよう。
2005年まで貨物車輌の発着があった東高島駅。駅舎が駐車場に!
鶴見駅~桜木町を結ぶ貨物支線の高島線が通る
かつての海神奈川駅があった千若町までまわってみると、踏み切り近くで男性3人がカメラを構えていた。聞いてみると言葉少なげに「もうじき列車が通るから」とのこと。
お目当ては、高島線上を通過するガソリンを運ぶ列車だった
貨物線が利用されているかと思えば、この辺りは無残に廃線が多く残っている。横浜とは思えない光景だ。
汽車道のように整備された遊歩道とはほど遠い姿