花月園競輪場の跡地は今後どうなるの?
ココがキニナル!
花月園の敷地の予定は?(リョー☆サンさん)
はまれぽ調査結果!
防災公園整備と市街地整備を一体的に推進する「防災公園街区整備事業」の方向で、神奈川県、横浜市、UR都市機構が現在調整を続けている
ライター:伊藤 健志
土地所有者の神奈川県に問い合わせてみたが・・・
実際に現場を訪れてはみたものの、分かったことは競輪場の施設がどのように残されているかも分からなかったということと、前述の案内板に書かれていた「花月園」の名前の由来ぐらいのものであった。
なお、その由来とは新橋の料亭「花月」の経営者だった平岡広高(ひらおかひろたか)が、ヨーロッパ旅行中、パリ郊外の遊園地を見て、子どもの夢や心を育てる必要性を感じ、1914(大正3年)に東福寺の境内を借りて開いた児童遊園地がはじまり。
全盛期の花月園全景(花月園案内パンフレットより)
<クリックして拡大>
肝心なのは、この跡地に何ができるか? だ。
そこでもう少し調べを進めてみると、この施設跡地の土地所有者は、いまでも神奈川県であることが分かった。
早速、神奈川県庁に取材の依頼をしてみると、担当者は「(跡地の利活用については)検討中としか答えられない。それ以上でもそれ以下でもない」という。だが、そこでひとつ重要なヒントが。
実は神奈川県では、花月園競輪場での開催廃止を受けて、2012(平成22)年3月に「花月園競輪場関係県有地等の利活用に係る検討会」を設置。同年中に4度の会議を開き、この年の12月には、すでにその「検討結果のとりまとめ」を公表しているのだ。
検討会を設置していた神奈川県庁
この検討会、横浜国立大学の工学研究院教授や県の施設財産部財政管理課長、資金調査課長、競輪場施設所有者であった花月園観光株式会社の副社長、横浜市の都市経営局政策担当課長や契約財産部長などの顔ぶれで構成されていた。
「率直な意見交換が損なわれる恐れ」を考慮し、会議は非公開となっていたが、その会議記録の因子は、県庁のホームページ上で公開されているようだ。
神奈川県庁のウェブサイトで検討会の内容を確認できる
この会議録を見ると、まず前提として、土地所有者である神奈川県は、跡地となった県有地の利活用について検討したものの、県自ら活用する計画がなかったことから、横浜市に対して利用方法を照会。
これに横浜市が「市内に残る大規模で貴重な土地であり、防災機能を備えたオープンスペースの確保などについて考えていきたい」と回答したことから、民間事業者による開発行為という可能性も含めて、県と市とで今後の利活用のあり方を検討する場、つまり本検討会が設けられたようだ。
検討会の内容を要約すると、利活用の方向性については「駅前の貴重で大規模な土地であるため、まちづくりの観点からは、遊休化している隣接地を含め、一体的に面整備を行う」こと。
当時の花月園競輪場の様子(『花月園観光30年史』より)
また、この中でのまちづくりの方針としては、駅前にふさわしい機能を目指しながらも「広域避難場所として指定されてきた」ことや「県有地および周辺の斜面地の一部が樹林地になっている」こと、「鶴見区の緑被率は、市内で2番目に低い」ことなどから「緑の保全・創造にも寄与することができる、防災機能を備えた一定規模のオープンスペースを確保する」とした上で、事業方法を想定。
公的・公共的事業として「土地区画整理事業」か「防災公園街区整備事業」のいずれかの方向性を模索した結果——
「駅前空間の整備、接道条件の悪さの解消、一定規模のオープンスペースの確保等の実現に向けては、計画的な面整備が必要であるため、事業方法としては、公的・公共的事業の実績が豊富で、技術的ノウハウを有するUR都市機構が事業主体となる防災公園街区整備事業の方向とする」と取りまとめられている。
要するに、この競輪場跡地と周辺は、将来的には「防災公園」にする方向で話が進んでいるのだ。なお、事業の対象となるのは、7.1ヘクタールの県有地と、選手宿舎等に活用されていた花月園観光社有地0.9ヘクタール、さらに隣接する2.4ヘクタールの遊休地となる(検討会資料より)。
この膨大な土地が事業対象となる(検討会資料より)
ではこの「防災公園街区整備事業」とは、どのようなものなのか?
UR都市機構によると「防災公園整備と市街地整備を一体的に推進する事業」であるとのこと。災害に脆弱な市街地の防災機能の強化を図ることを目的に、地方公共団体(今回の件では横浜市)からの要請に基づいて、工場跡地などの土地を機動的に取得するとともに、防災公園と周辺市街地の整備改善とを一体的に実施する事業のことである。
この中の「防災公園」とは、災害時は避難地として機能するが、平常時は住民に親しまれる憩いの場、多目的なレクリエーションの場として利用される。災害発生時の主な役割としては——
1. 緊急避難の場・一時的避難生活の場となる
2. 救援活動・復旧活動の拠点となる
3. 火災の延焼を遅延または防止する
以上、3つが挙げられる(UR都市再生機構のHPから抜粋)。
取材を終えて
ということで「花月園競輪場跡地は、防災公園になる」というのが、今回のキニナルに対する回答となる。
もちろん、その具体的な形は、現時点では分からない。例えば公園を作るための予算ひとつをとってみても、財政の厳しい横浜市がどのぐらいの規模を考えているのか? どんな施設や設備を揃えるのか? その金額によって大きく姿を変えることになるからだ。
現在、神奈川県と横浜市、そしてUR都市機構は、車座で議論を続けている。この中でUR都市機構としては「できるだけ早い段階で、具体的な形を発表できればと考えている」という。著者としては、ほかの事例とは異なるというのであれば、そこは横浜らしい、地域に根ざした公園になってほしいものである。
―終わり―
わんつーろっくさん
2015年11月24日 21時10分
昨日はさよなら花月園競輪場イベントで最後の一般公開でした。跡地は公園と住宅になるようですね。
わんつーろっくさん
2015年11月24日 21時10分
昨日はさよなら花月園競輪場イベントで最後の一般公開でした。跡地は公園と住宅になるようですね。
よこはまのみつるダイヤさん
2014年10月04日 10時13分
9月に開催された競輪場跡地についての傍聴会では、いつの間にか防災公園ではなく、周辺公園と言う名前に変わっていましたし、跡地の大半がURの700世帯も入る超巨大マンション群建設が決まっていて、人口が減っている今の日本に到底整合性の無い話で進んでいるのが分かりました、JFEの社宅がそびえ建っていたのは記憶に新しいですが、元は日本で始めてのテーマパークでした、歴史的にも由緒ある所なのでもう一度検討してもらいたいです。