帰ってきた、横浜でいちばん急な坂はどこ? 2013・中編
ココがキニナル!
好評を博した「横浜でいちばん急な坂はどこですか」シリーズ。掲載後に寄せられた情報に応えて追加調査を実施!(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
今回は西区1つ、保土ケ谷区2つの坂が同率1位で16°を叩き出したものの記録は破られなかった。そして急坂だらけの結果、後編へと続くのだった
ライター:永田 ミナミ
南区・保土ケ谷区が聖地な理由
前回シリーズの途中から南区と保土ケ谷区は、測ってみても認識的にも別格だった。
現在横浜4位の永田北2-16の急坂17°からの眺め
というのも、急坂の少ない区の土木事務所で「たとえば南区とか保土ケ谷区のような坂はないですか?」と聞くと「いやあ、あそこみたいには」と一目置かれている反応がしばしばだったのである。
急坂が生まれる歴史的背景として、宿場町だったことがあげられるだろう。
平戸、平戸町を擁する戸塚宿や神奈川宿も同様であるが、江戸時代にはもちろん現代のような重機で山をごっそり削って造成ということはできないため、丘陵地の地形をほとんど変えることなく山が切り拓かれていった。今日の急坂たちは、その坂が現代に入って舗装される際、さらに階段になるかならないかという淘汰を経て、急坂として存在しているのである。
そうした背景は権太坂、内手坂など名前がついたものが少なくないことからもうかがえる。
左手は現「権太坂」、右手に入る細い坂が本当の「権太坂」
以上のように南区・保土ケ谷区の「聖地」イメージは、さまざまな要因が重なって生まれたものである。
保土ケ谷区峰岡3丁目は近くなかった
聖地拡大説も浮上するほどの浅間台を測りながら歩いていくと、気づいたら保土ケ谷区に入っていた。
そこで次の目的地、峰岡3丁目公園を目指すべくGoogleマップでルートを確認すると徒歩で約20分。それならすぐだと歩きはじめたが、実際は次から次へと嫌になるほど現れる急坂のせいで、全然近くなかった。
4.鎌谷町148の坂・・・14°(24.9%)
急坂と遭遇すると無視することができずに、測定器を置いてしまうのだ
困難ではあるが不可ではないなら基準をクリア
直角カーブのインコースは20°も叩き出した
そして下りきると
また上るがここは「人1人坂」
しかし歩き続けていくと道幅が拡がり急坂に進化した
5.鎌谷町234 鎌谷町公園横の坂・・・14.5°(25.8%) ※参考記録
現れたのは起伏に富むワイルド坂の最大角度は好記録の14.5°だったが
振り返ると電柱に「この先、行き止まり」の文字が。残念ながら参考記録
峰岡町2丁目の恐怖
鎌谷町からいよいよ峰岡町に入り、目的地に近づきつつあるのだが、それでもなお現れる急坂たち。投稿にあったものではなくても急坂を差別してはいけない。
出逢ったら測る。前回シリーズもそのやりかたでいくつもの急坂を発見したのだ。とはいえ切りがないので途中で測った12°以下の坂の紹介は割愛する。
そしていくつかの割愛坂を経て、人1人坂を抜けると急坂が出現した
6.峰岡町2丁目 ミツ美容院横の坂・・・14°(24.9%)
遥かな高みへとのぼる圧巻のロングディスタンス坂
ノスタルジックなミツ美容院と坂。最上部付近で14°を記録
曲がるたびに現れる急坂に、急坂を探しているはずなのにいつしか歎息(たんそく)が出るようになっていた。日が傾きはじめているのになかなか2丁目から抜け出せない。
先を急ごうと、こんな路地を抜けて歩いていったのだが
7.峰岡町2丁目 イヤサカ工務店横の坂・・・14°(24.9%)
路地の先でまたしても急坂の中腹に出てしまった。
洩れる歎息は喜びとうんざりが入り混じる
下りを見降ろしてもこの長さ。ああ、急坂よ峰岡町よ
のぼっていくこのあたりが14°。そして右に曲がり
のぼりきって振り返るとイヤサカ建設の文字が
イヤサカはおそらく「弥栄(いよいよ栄えること)」だと思われるが、筆者の頭には「嫌坂」の2文字が浮かんでしまった。頭を振ってその2文字を振り払い、気持ちを奮い立たせ歩き続ける。
そうしたらまたすぐ急坂が現れた。3連続Aランク坂とは、思わず敬意と疲労が綯(な)い交ぜになった五体投地をしそうになった。
8.峰岡町2丁目 峰岡町アパートの斜向いの坂・・・14°(24.9%)
最下部は18°。そこから14°、12°と上るにつれて落ち着いていくこんもり坂
9.峰岡町2丁目 太洋電設近くの坂・・・12°(21.2%)
12°だが真っ赤な紅葉がきれいだったので
そして坂の上の真っ黄色の銀杏もきれいな風情坂だったので紹介
ようやく峰岡町3丁目が近づいてきた。日没も近づいてきたので焦りながら先を急ぐ。
途中で目に入った坂が10°であることを確認しながら先を急ぐ
そしてついに峰岡町3丁目公園が見えてきた
10.峰岡町3丁目公園横の坂・・・7°(12.3%)
長い旅路の果てにたどり着いたのはひさしぶりの1ケタ坂だった
1ケタ坂に安堵さえ覚えながら、すぐ横の階段坂を降り早足で相鉄線和田駅に向かう