多国籍の人々が暮らす県最大の公営住宅「いちょう団地」と一見入りにくい「超ディープ」なベトナム料理店「タンハー」に突撃!
ココがキニナル!
横浜市と大和市の所に外国人が多く住むいちょう団地を調べてください。団地内の様子もお願いします(JOKERさん)タンハーというベトナム料理屋店がディープすぎて入りづらいので突撃してください。(たこさん)
はまれぽ調査結果!
横浜市と大和市にまたがる公営住宅いちょう団地は居住者の2割が外国籍。タンハーは超入りにくいが本格的なベトナム料理が格安で味わえる店だった!
ライター:松宮 史佳
連合会長を直撃!
・・・翌日。
午前10時、気合いを入れ小田急線高座渋谷駅に到着
のどかな道を歩き・・・
15分ほどで「いちょう団地」の「下和田(大和側)」に到着!
立ち並ぶ棟の数に驚く松宮。自治会がどこにあるのかまったくわからない。ウロウロ歩いていると、男性と遭遇。自治会について伺う。すると、「下和田には自治会が1から5まであり、それを取りまとめている連合がある」と教えてくれる。なんと! 連合会長がいる集会所まで案内してくれる、とのこと! ・・・ホント、ラッキーすぎる。
男性にお礼を言い・・・
集会所がある2階へ
下和田連合会長の遠藤さんに取材を敢行!
突然にもかかわらず、遠藤さんは快く取材を受けてくれる。遠藤さんは入居が開始された「1973(昭和48)年からいちょう団地に住んでいる」とのこと。当初、外国人はほとんどいなかったそうだ。
下和田には「ベトナムや中国、ペルーなど11ヶ国の人々が暮らしている」と遠藤さん。外国籍の方と日本人では、言葉はもちろんだが習慣が違う。遠藤さんに「何かとまどったことはあるのか」と伺う。すると、日本人は時間を守るが、「外国人は時間に緩やか」とのこと。
実は今日も8月2日と3日に開催される夏祭りの打ち合わせをするため、ペルー人、ベトナム人、ボリビア人の3名が来る予定になっているとか。しかし、「20分過ぎてもまだ誰も来ない(笑)」と遠藤さん。
団地にある注意書きは6ヶ国語で書かれている
以前、防災訓練を外国籍の方に体験してもらうため、朝、バス停で待ち合わせたそうだ。しかし、20人のうち「半分は来なかった」。後々聞いてみると、1時間遅れて待ち合わせに来て「エンドウサン、バスイナカッタヨ」と言われたんだそう。
習慣の違いにとまどうこともあるが、「あいさつが多言語で覚えられるので駅前留学みたい」「新しい食文化を知ることができる」と遠藤さん。以前、遠藤さんはベトナムやペルーの料理は「食わず嫌いだった」。しかし今では「どちらも大好き」らしい。
自治会費は400円(うち自治会と連合に各200円支払う)で、外国籍の方もほとんど加入しているそう。自治会費は遠藤さんが「いちょう団地」に入居した当初から「値上げしていない」とか! そのため、「予算はギリギリ」。
遠藤さんが「いちょう団地」に入居した当初は30代から40代の人が多かった。だが、40年を経てその入居者が年を重ね、現在は70歳以上の高齢者が多いそうだ。一方、外国籍の入居者は比較的若い人が多い。なので、外国籍の方が「自治会を担ってほしい」と遠藤さんは語る。
と、ここで1人の南米系の女性が! もしや・・・住民の方か!?
多国籍の住民が登場!
聞くと、女性はペルー出身のノエミ・ヨシザワさん。「来日して20年」とのこと。
愛飲するコーヒーをわざわざ家へ取りに帰り、ごちそうしてくれたノエミさん
数分後、男性が登場。
ベトナム出身の範田(はんだ)清さん
範田さんは来日35年。閉所した「大和定住促進センター」に勤務していたという。
数分遅れてボリビア出身のテルヤさんが到着。
テルヤさんは表情豊かでかわいらしい
「ボリビアってどこだっけ・・」と松宮が言うと、「南米!」とテルヤさんがすかさず教えてくれる。ちなみにボリビアの公用語はスペイン語とのこと。
南米はブラジル(ポルトガル語)を除いて「あとはスペイン語(byテルヤさん)」
そのため、ペルー出身のノエミさんとテルヤさんは母国語のスペイン語で話せるそうだ。やはり母国語で話せるため、「同じ国の出身同士の住人で集まる」らしい。
「いちょう団地」下和田に住む皆さん
(前列左から)ヨシザトさん・テルヤさん・範田さん・遠藤さん・連合会事務局長の中島さん(後列)。
テルヤさんが「いちょう団地」に入居したのは15年ほど前。ある日、テルヤさんは禁止されているのを知らず、ベランダでバーベキューをしていた。もくもくと煙が見えたため、近隣の住人が「火事だ!」と勘違いし通報。消防車が10台くらい来てしまったとか!
「習慣の違いでとまどったこと」を尋ねる。すると、日本人は静かに喋るが、「自分は声が大きい(笑)」とテルヤさん。だから怒っていないのに「怒っているように思われることもある」と答えてくれる。
東南アジアや南米では仲間と集まり、酒を飲みながら語るという習慣がある。なので、その習慣を知らないと、公園に集まる外国人を見て「何をしてるんだろうと思う人もいる」と遠藤さん。
突然にもかかわらず、いろいろなお話を聞かせてくれた
異国の地・日本で「母国語を喋れるとスーッとする」とテルヤさんが教えてくれる。時には日本語でうまく自分の気持ちが表現できず、ストレスが溜まることもあるだろう。松宮はアメリカに留学していたので、その気持ちはよくわかる。
以前、日本人の中には外国籍の方に対し、威圧的に注意する人がいたため「トラブルになったこともある」とか。しかし、遠藤さんは威圧的に言うのではなく、「その国の代表者と話し合う」とのこと。
団地のよいところを聞くと、「子どもを見守ってくれる」「家族みたいなところ」と3人。最後にペルー・ベトナム・ボリビア連合チームに「夏祭りで何の屋台を出す?」と尋ねると、「まだ決まっていない」との答え。夏祭りの成功を祈りつつ、大和側の団地を後にし、横浜側へ行ってみることに!
横浜側の団地内の様子は?
横浜側の団地内へ
巨大な給水塔
よーく見ると“いちよう”団地内郵便局になっている!
すぐそばに、「いちょうマート」という商店が集まったフロアを発見! 中の様子を見てみることに。
異国情緒あふれる「いちょうマート」
いちょうマート
仏像? がキニナルので中へ
ドキドキしながら奥へと進むと・・・
すると・・・あった!
「アジア食品 シークント」
店先にあるドリアンで“東南アジア感”アップ
店内にはスープの素や
ニョクマムなどがずらりと並ぶ
店主の上原さんによると、「シークント」はカンボジアを中心にした東南アジアの食品を取り扱っているとのこと。
レモングラスなどのハーブもどっさりとある
壁に飾られたカンボジアと日本の国旗
思い出すために貼ってあるのか、“日本語&カンボジア語の人生訓”
上原さんに「人気の商品」を尋ねると、「全部」との答え。
なので、自分がキニナル「タロイモアイス(180円)」を購入
そのお味は・・・
やや薄め&おいものホクホク感が残っている「紫いもアイス」という感じ!
激甘かと思ったが、意外にもさっぱりしていた。さらに、団地内を探索してみることに。
日本語を含め、6ヶ国語で書かれた看板
休日の午後だからか、人がいない。
何語だかわからない落書きを発見
どこへ行けば自治会の方に会えるのか・・・。すると、年配の日本人女性を発見! 聞くと、廃校になった「いちょう小学校」でバレーボール大会を開催している、とのこと。
早速、「いちょう小学校」に向かうと・・・
運よく「上飯田」第7自治会長を務める堀江さんに遭遇!
日本語教室が開催されている「いちょう小学校」には多言語のプリントが置かれている
堀江さんによると、「上飯田には17、8ヶ国の人々が住んでいる」とのこと。大和市側の「下和田」よりもかなり多国籍だ。ちなみに自治会費は電気代などの共益費として使われるため、「エレベーターの有無により異なる」とか。エレベーターがある第7自治会は1400円と「下和田(400円)」より1000円も高い。
聞いたところ、エレベーターは年間400万円の運営コストがかかるんだとか!
1階2階では「エレベーター使用不可」なので3階から連結している
ガラス戸がさりげなーく“いちょうの形”に!
「上飯田」の入居者のうち、外国籍の方は2割ほどで、ほとんどの方が自治会に加入しているそう。「10戸1チームになり、代表者を決めて住民同士でトラブルを解決している」と堀江さん。たとえば騒音トラブルがあった場合、以前は堀江さんが当事者と話していた。だが、現在は「住民同士で話し合っている」そうだ。
1つの階では2戸が向き合っている
バレーボール大会への参加を募るお知らせ
「上飯田」も「下和田」と同じく、住民の高齢化が進んでいるそう。「第7自治区では70%が70歳以上」とのこと。そのため、若い世代が多い外国籍の方が頼り。「バレーボール大会でも外国籍の方が活躍している」らしい。
公園には外国籍の人々が集っている
「やはり自国の人と集まる」と中国人の方々
「いちょう団地は住みやすい?」と尋ねる。・・・だが、なかなか日本語が通じない。「住み心地」「快適」「いい」などの言葉を使うが、通じず。しかし10分ほど言い続けていると「住みやすい」と思っていると判明。意志の疎通を果たした。