常連さんが行き交う温かい街。はま旅Vol.21「三ツ境編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第21回は、昔ながらのお店が並ぶ商店街と歴史的建造物に出会える三ツ境駅。
ライター:田中 大輔
次なる目的地は!?
お祈りもすませたので、商店街に戻って散策再開。
道なりに歩いていたら、こんな看板を発見。
左側のふくろうは、瀬谷区のマスコットキャラクター「せやまる」
わざわざこんな案内板を作るくらいだ。ただの公園ではあるまい。1.2キロなら歩いて行ける距離なので、矢印の方向に進んでみることにした。
午後の一番暑い時間帯に、「長屋門公園」を目指してテクテクと歩いていく。
すると、その途中でなんというか、すごく、その、アレな感じの、えーと、写真を見てください。
「とぶき ニッ゜ングンター」だ。けっこう衝撃的だった
「ことぶきショッピングセンター」が正しい名前だと推測される場所を発見。
ひとつの屋根の下に複数のお店が入っているマーケットのようだ。だいぶ寂れてしまってはいるが、営業している店舗もあるようなので中に入ってみた。
匿名&写真NGでお話を聞いてくれた男性によると、昔はもっと栄えていたが、最近は大手に客を取られてサッパリらしい。
「オレも辞めようと思うんだけど、辞めたらボケそうだから続けてる」ということだ。
以前はこのスペースにも店舗があった。寂しさを象徴する空間
寂しい話だが、これも時代の流れなのか。でも、それだけでは割り切れないドラマがあったんだろうな、と話を聞きながらちょっと感傷的になっていたのだが、ここから面白い展開に。
「はま旅」の醍醐味と長屋門公園
別れ際に、長屋門公園への道順を聞いたところ、「ココを真っ直ぐ行けば着けるよ。あそこの管理してる人はオレの親戚だから、声かけてみな」とのお答え。
意外なところで地元の人同士のつながりを発見だ。これぞ「はま旅」の醍醐味! とひとりニヤニヤしながら、改めて長屋門公園へレッツ・ゴー。
住宅街の中にも、昔からの靴屋や駄菓子屋が点在する
教えられた通り、住宅街をどんどん進んで行き、T字路にぶつかった左側。そこが長屋門公園だ。
横浜市の歴史的建造物に認定されている長屋門
さっそく門をくぐり、スタッフらしき人に声をかけて、ショッピングセンターの人と親戚という清水さんに取り次いでもらった。
事務局長の清水靖枝さん。この場所が好き過ぎて、休日も出勤しちゃうほどだとか
1992(平成4)年にオープンしたというこの公園は、古民家と雑木林などを通じて、昔の生活を再現している施設。入り口の門が長屋門で、居住スペースの付いた門のことを指すそうだ。清水さんにお話しを聞いた事務所も門の一部になっている。
この事務所のほか、ギャラリーが門の一部になっている
ここの長屋門は160年ほど前に造られたもの。その奥にある母屋は、元々あったものが焼失してしまい、泉区から江戸時代の古民家を移築してきたものだ。
300年前に建てられた母屋
周囲は森に囲まれていて、さっきまでの猛暑がウソのように涼しさを感じる。古民家の中はさらに涼しく、まるでクーラーが入っているようだった。清水さん曰く「昔の家の良し悪しは、夏にいかに涼しいか」なんだとか。
古民家の中。ゲームもテレビもないが、イベントで泊まった小学生は、帰りたくなくなるそうだ
土間には昔の道具がたくさん置かれていた。中には初めて見るようなモノも
自然の恵みを知るきっかけになってほしい、と精力的に活動する清水さんだが、実は市や区の職員ではない。元々は近所の一住民だったが、縁あって事務局長をしているそうだ。
清水さん以外にも、ボランティアの方たちが多く公園の管理・運営に携わっていて、毎月なにかしらのイベントが催されている。近いところでは、9月11日(日)にお月見コンサートが予定されている。
古民家の奥には雑木林が広がり、夏の日射しを和らげてくれる