日本屈指の温泉地、箱根で売っている名物まんじゅうを大調査!
ココがキニナル!
箱根湯本の菊川商店の箱根まんじゅうが大好きなのですが、箱根以外でも買えないのでしょうか?そんな事も含めて、箱根まんじゅうの歴史を是非調べてください!(Shokaiさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1955年ごろから同店で販売されている菊川商店のカステラ焼き箱根まんじゅうは電話注文も可能だが、同店のみでしか購入ができない。
ライター:すがた もえ子
菊川商店の「カステラ焼き箱根まんじゅう」(つづき)
「キノ式自動製菓機」という機械は福岡の会社で作られたもの
菊川商店で作られているおまんじゅうのカステラ生地、白あんという組み合わせは機械を製造した会社から「この機械で作るならこの組み合わせがいい」と勧められたもの。
現在ではこの機械は製造が終了しており、日本に数台しかないのだそう。菊川商店のほかには北海道、京都、神奈川・平塚などに同じ機械を使っている所があるようだが、製造されている品物自体は同じものではない。菊川商店はこの機械をもう1台所有しているという。
この機械を導入したきっかけを伺うと「50数年前くらいに、父がどこかでみかけて、うちにも導入することになったんです」と路子さん。
「うちのお客さんは、菊川商店のおまんじゅうのことを『菊まん』とか『菊川まんじゅう』って言っています」と路子さん。箱根まんじゅう買って来て、と頼まれた場合、間違ってほかのお店のまんじゅうを買って来てしまうからだという。
1個(70円)から焼きたてを購入することができる
無添加なので、保存料などが入っていない菊川商店のおまんじゅうの賞味期限は4日。そのため外国からのお客さんのお土産には不向きだ。しかしバラ売りを購入した外国人観光客の中にはとても気に入る人もいて、お店の前を何往復もして何度も焼きたてを購入し「グッド!」と言って帰るという。その方たちは翌日も来たそうだ。
「やっぱり焼きたてが一番おいしいです。皮の部分がパリパリしていて」と路子さん。
お土産で持ち帰ると、どうしても皮の部分がしっとりしてしまう。そういう時はトースターで30秒~1分ほどあたためると、皮の表面がパリッとしておいしくいただけるという。
一時は真空パックで販売をしていたこともあったが、お客さんから「味が落ちる」という声がありやめてしまった。賞味期限までに食べきれない場合は冷凍して、食べる際に自然解凍しているお客さんも多いという。
10個(700円)、15個(1050円)、20個(1400円)、30個(2100円)入りがある
箱売りのおまんじゅうも個別包装はされていないので、会社などで人に配る予定の方はご注意を。
キニナル投稿にあった質問を伺ってみた。菊川商店のおまんじゅうはほかでも買えるのだろうか? すると「ここでしか買えませんが、お電話でのご注文は承ってます」とのこと。代引きで菊川商店のおまんじゅうを購入することができるという。
生地は薄め、白あんがギッシリ入っている
箱根まんじゅうの歴史については「箱根という地名は、商品名に誰でも使えるようなんです」とのこと。だから箱根とついていても、ほかの地域で作られたお菓子などが販売されているのだという。
「箱根で売っているまんじゅうだから、箱根まんじゅうって呼ばれてるんじゃないでしょうか?」と路子さん。
「箱根まんじゅう」というオリジナル商品があると思い込んでいたが、実はそうではなさそうだ。路子さんが言う「箱根で売っているまんじゅう」というものを幅広く調査してみることにした。
続いて、菊川商店の並びにある「元祖箱根温泉まんじゅう」のお店に話を伺った。
「元祖 箱根温泉まんじゅう」丸嶋本店
こちらが元祖箱根温泉まんじゅうのお店
元祖箱根温泉まんじゅう「丸嶋本店」。明治30年代創業の100年以上の歴史がある老舗だ。
代表取締役社長の久保寺治郎(くぼでら・じろう)さん
「昔は和菓子全般を扱うお店でした。おまんじゅうが人気商品になり有名になったので、温泉まんじゅうの専門店になりました。おまんじゅうでは湯本で一番古く、味は60数年変わっていません」と久保寺さん。
今から40年前の丸嶋本店の写真が飾られていた
和菓子屋さんだったころはお土産用の販売のほかに旅館などにも和菓子を納めていたが、徐々に和菓子の需要が少なくなってきたのだという。そのため人気商品である温泉まんじゅうの専門店へと移行した。
製造過程こそ機械を導入したが、味は昔ながら
通常、街の和菓子屋さんなどはお客さんを飽きさせないように季節ごとに新商品を出したりする必要がある。しかし、観光地は毎日お客さんが変わるので、同じものを提供し続けても商いが成り立つのだそう。
熱した焼き印を押すのは手作業
焼き印には「箱根(温泉マーク)丸嶋」の文字が
丸嶋本店の温泉まんじゅうは多い時で数万個、平日では4000個ほど出ている。まさに人気商品だ。おまんじゅうの皮は茶色と白皮があり中身は両方こし餡が入っている。
箱根が今よりもにぎやかだったころには1日に3万個は出ていたのだという。おまんじゅうが焼きあがるのをお客さんが待っている状態で、出来立てのおまんじゅうの箱をお客さんが運んで包装していた時代もあったのだそうだ。
電話・FAXで注文することもできる
おまんじゅうは丸嶋本店が運営する旅館「箱根水明荘」の売店でも購入することが可能だ。
明治から変わらない箱のデザイン
蒸しているので菊川商店とは作り方が違うが、丸嶋本店は古くから箱根湯本で温泉まんじゅうを扱っているお店のようだ。
なぜ丸嶋本店の温泉まんじゅうは「箱根温泉饅頭」と名付けたのか伺うと、箱根温泉で販売している温泉まんじゅうだから商品名に「箱根温泉饅頭」とつけて販売しているという。
「箱根まんじゅう」についても何かご存じか伺ったが、特にこれという決まりごとは無く「箱根で売られているからではないか」というようなお答えが。やはり「箱根まんじゅう」というオリジナル商品はないようだ。