『ポケモン』開発者、横浜・東戸塚出身の増田順一さんにクリエーターの原体験をインタビュー!
ココがキニナル!
恒例となったピカチュウ大量発生チュウ。1000匹を激写してきてください(山下公園のカモメさん)
はまれぽ調査結果!
「プレーヤーが何を求めているか」という目線でヒット作を生み出す増田さん。東戸塚の原風景がポケモンの世界にも生かされていた
ライター:ミズグチマイ
自由な発想で、最適解を求める
突然、牛舎に立ち寄る増田さん。
ここにどんな思い出があるのか
筆者が不思議に思っていると「この牛舎臭が東戸塚駅の思い出だけど、昔はもっと大きな牧場があったんだよ」と語る。牛舎臭・・・。確かに風向きによっては、駅まで臭いが到達しそう・・・。でも、この臭いが東戸塚出身者にはノスタルジックな思い出を喚起させるんだとか。
「牛舎は減ってしまったけれど今はジェラート屋さんがあって、ここで飼育している牛の乳を使っているんじゃないかな。まだ食べたことがないんだけど・・・。実家に帰るときは、両親が食事を作って待ってくれているからね」
以前にもお世話になったジェラート屋さん
大人になって親に顔を見せる、というときに「アイス食べるからご飯はいらない」とは言わない優しい増田さん。せっかくだから、きょうは食べてみましょうか、と『アイス工房メーリア』へ。
ここまで牛の話をしていたのに、グレープフルーツ味を注文する増田さん
浅田さんはスイカ味、吉田さんはレモン味。筆者以外みんなミルク味を注文しなかった。
自由すぎるぞ! ゲームフリーク!
でもたしかに、この日は暑かったので、口当たりがさっぱりするフルーツ系が食べやすかった。ゲームクリエーターは柔軟な発想で、状況にあった最適なアイデアを選択できるスキルを持っているのだ。
筆者はここまで牛の話をしたので、やっぱりここはミルクかな と常識に囚われた注文をしてしまった。
母校とトモダチ
「知らない子や、言葉が通じない外国の子と、遊びを通じて仲良くなることってある。ゲームは『遊びを通じてコミュニケーションして、学ぶ』みたいな所が面白いよね」と、母校・川上北小学校を眺めながら増田さん。
「小学校を眺めてて、不審者っぽく思われないかなあ」
「虫捕りスポットとか、皮ふに触れるとカブれてしまう危険な草とか、貨物列車の撮影スポットとか・・・『あの情報はあいつが詳しい』みたい得意分野がそれぞれあって、詳しい子に聞きに行ったりね。遊びの情報交換を通じて仲良くなったり」
「ゲームも同じで、一人で全部作るのは無理だから、自分にできないことは得意なスタッフに相談したり任せたりする」のだという。
小学校のそばの川でザリガニが捕れたことを教えてくれる増田さん
なるほど。自分にできないことを知って、それをできる人を探す、というのは自分だけではできないことを成し遂げるために重要な姿勢ですね。
増田さんは、子どものころから現在のようなクリエーターの片鱗を見せていたのだろうか。得意だった教科を伺うと「図画工作や算数、理科は得意だったけど、記憶系の国語とか社会はあんまり・・・。ロジックを理解すれば解ける系が得意だったなぁ」
突然「この草、知ってる?」と若手ゲームデザイナーの2人に聞く
増田さんは今でこそディレクターとして活躍しているが、高校卒業後、日本電子専門学校でCGを学び、ゲームフリークにはプログラマー兼サウンドデザイナーとして入社した。
CG、サウンド、プログラム、そしてディレクターはそれぞれ技術としてかけ離れているように感じる。なんでもできちゃう増田さん、どういうことなんですか
「CGでもサウンドでも、コンピューターで作れるものに興味があって。プログラムもロジックを知っていたほうが、コンピューターでサウンドを作るときに何ができるかを考えることができるから。だから、ピアノでは作曲できないね」
コンピューターとロジック、という興味は子ども時代そのままに得意分野として研ぎ澄まされていったのかもしれない。