【横浜の名建築】ブラフ18番館
ココがキニナル!
横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第24回は、『ブラフ18番館』横浜山手のイラリア山庭園にあるこの洋館は、解体によって建てられたいきさつが判明した興味深い建物だった。
ライター:吉澤 由美子
外観の鮮やかな緑 内装のやわらかな緑
ブラフ18番館は木造2階建。1階2階ともに中心を廊下が通り、その両側に部屋がある中廊下型。
廊下の上にあるラティスのような斜めの格子がアクセント
フランス瓦や暖炉の煙突、ベイウィンドウ、上げ下げ窓と鎧戸、南側のバルコニーとサンルームといった部分に震災前の外国人住宅の特徴を残している。
当時は大きなガラスが高価だったため、小振りのガラスを使う桟のデザインが発達した
白い壁や柱に緑のドアや窓という爽やかな色合いに、玄関ポーチのタイルが暖かみを添える
スパニッシュスタイルの外観には派手な装飾はないが、鎧戸のストッパー、床下換気孔の装飾された鋳物グリルという細部の意匠が素晴らしい。
鎧戸の下についたストッパーは、バイオリンの胴にある「f字孔」のよう
現在の入口はガラス張りの付属棟近く。中に入ると廊下の左右に各部屋へのドアが並ぶ。
廊下の突き当たりにある窓辺にはスノーボールのようなクリスマス飾り
真っ白な壁と天井に窓枠やドアのミントグリーンが優しい印象だ。
すぐ左手の扉を入るとダイニングルーム。ベイウィンドウの3面に大きく取られた窓が室内に柔らかい光を届けている。
パリのクリスマスというイメージで飾られたダイニング
こちらのテーブルや椅子は、本牧にある洋館、バーナード邸にあったもの
テーブルの脚には、繁栄を象徴するアカンサスの美しい彫刻がある
ダイニングの向かいはリビングルーム。サロンとの間の壁に暖炉があり、庭に面した部分はサロンまで続くサンルームになっている。
リビングは家族でくつろぐ場所。かわいい花のバッグがソファに置かれていた
サンルームは高台の端に面しているので、空がとても広く見える。
窓に桟があることでクールな色使いが柔らかく感じられる
鳥の巣は家庭を象徴するクリスマスデコレーション