2021年3月開業!? みなとみらいのロープウェイ事業の現状は?
ココがキニナル!
桜木町からMM地区へのロープウェイが正式に決定しました。経路や料金について調査をお願いします。(パッチョさん、よこはまいちばんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
2020年1月末から工事が開始され、21年3月の開業へ具体的な動き。景観などにも配慮しながら、日本初の常設都市型ロープウェイを目指す。汽車道を沿うように進み、料金は未定
ライター:田中 大輔
ロープウェイがもたらす3つのメリット
ロープウェイの完成によって、みなとみらいにはどんな変化が訪れ、どんなメリットが見込まれるだろうか。
泉陽興業と横浜市の双方が口をそろえている期待は主に3つで、まずは移動手段としての役割だ。
約630メートルと聞くと短く感じ、歩けばいいのにという意見もあるが、これはルートの距離。実際に桜木町駅前からワールドポーターズまで歩けば1km弱くらいになるので、意外と距離を感じるものだ。
雨の日や夏の暑い日にも徒歩以外の選択肢が増えることになるし、その区間を最短2分半程度で結ぶことができるのだから、移動手段としてのメリットはあると言えそうだ。
現在は汽車道を歩く人の姿が目立つ。今後は選ぶ楽しみも増える
2つ目は、新しい体験として街を楽しめる、言ってみればアトラクションとしてのロープウェイの魅力。
最高100メートルの高さを誇り円の動きをする観覧車、270メートルの高さの定点から眺望を楽しめるランドマークタワーとは異なり、ロープウェイは地上40メートルを最高地点として横移動で汽車道を通り抜ける。この高さや角度は今までになかったわけで、新しい価値を生み出すことになる。
完成予想図と現在の風景。思っていた以上に高い位置を通るようだ(上の写真、画像提供:泉陽興業株式会社)
最後のメリットは、街に賑わいをもたらすという点。
ロープウェイそのものが話題作りに一役買い、降りた先にある横浜赤レンガ倉庫や横浜ハンマーヘッド、さらには山下公園方面までの回遊性を高める手段にもなる。さらなる来街者を招く仕掛けとして注目されているということだ。
さらに夜間の営業を通じ、市も課題に挙げているナイトタイムエコノミー(夜間の経済活動)の発展も期待でき、横浜の「観光振興」や「にぎわいの街づくり」にも貢献できそうだ。
イメージを損なわないスタイリッシュなものを
楽しみだと話す人がいる一方で、ロープウェイ建設に反対の声を上げている人がいるのも事実だ。反対意見として大きいものに、みなとみらいの景観を崩すのではないかという意見がある。
これについて都市整備局の松井課長は、「市の諮問機関である都市美対策審議会で、専門家の意見を聞きながら議論を重ねています」と話す。
泉陽興業でももちろん都市美対策審議会の内容を反映しながら、「街に溶け込むというコンセプトの中で存在感を出さなくてはいけない。デザインや色調も、景観に配慮した形で構成している」そうだ。
高島支社長は「景観は、一番気を使っている部分」と話し、その上でみなとみらいのイメージを損なわないスタイリッシュなものを目指しているという。
おなじみの万国橋からの風景。この街並みの邪魔にならないものが求められる
ゴンドラには、コスモクロックも監修している世界的照明デザイナーの石井幹子(いしい・もとこ)さんによるイルミネーションが施されるとのことで、ゴンドラの中からだけでなく、下から見上げる形でも新しい楽しみが増えることになるそうだ。
ただし、こちらも景観には気を使いながらということになり、「ド派手なものではなく、柔らかい光を使ってマッチしたもの」を作っていくとのことだった。
みなとみらいの夜景。今あるものとの調和を目指す(画像提供:泉陽興業株式会社)
都市整備局の松井課長は、違和感のあるものができるという捉える人もいる一方で、「われわれはポジティブに捉えていて、ダイナミックな動きのある景観ができると考えています。街が活性化して、夜も動いているのがビジュアル的に見えるのは新しい価値だと思います」と自信をのぞかせている。