元横浜DeNAベイスターズ選手のセカンドキャリアとは?-小林公太さん-
ココがキニナル!
元横浜DeNAベイスターズ選手、小林公太さんのセカンドキャリアとは?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
2012年にDeNAベイスターズから戦力外通告を受け、その後アメリカに渡るも2013年に引退。現在はラーメン店「夢を語れ」の店主をしている
ライター:山口 愛愛
ラーメンだけでなく笑顔のサイクルを作る
その店こそが「Yume Wo Katare Boston(夢を語れ ボストン)」だった。「店の中でお客さんが自分の夢を語る」という異色のラーメン店。
もともと京都にあった「夢を語れ」から派生し、アメリカのボストンに進出した店だった。ハーバード大学の近くにあり、学生などがラーメンを味わった後に挙手制で将来を語ったり、紙に書いたりして夢を共有している。医者や開発者などになって活躍し、夢を叶える学生も多く存在する店だ。
ボストン店も小林さんが営む東京店もピーク時は満席の人気
「これ、やりたい! と思った。ラーメンはツールであって夢を語る空間を作りたくなった。すぐに働かせてくださいとお願いして修行しました」。
小林さんならではの行動力と瞬発力でそのままボストンに残ることを決断し、1ヶ月間で店のノウハウを自分に叩き込んだ。
そして2016(平成28)年11月に東京都文京区白山で「夢を語れ 東京」をオープンさせた。なぜ、この場所なのか。「アメリカがハーバード大学なら、日本は東京大学でしょう!」と即決したそうだ。
順番待ちの椅子にも「夢を語れ」の文字
ラーメンは醤油とんこつベースのスープに、野菜がこんもりと盛られた背脂たっぷりのこってり系だ。スープをすくうと豚の旨みと脂のやわらかい甘味、生姜の香りもほんのりと漂い、奥深さを感じる。平麺の縮れた麺との絡み具合や、ドーンとのったチャーシューとの相性も抜群で絶品だ。
無料の「増し」をコールしなくても「ラーメン(750円)」でこのボリューム
噛みしめる度、旨みが口に広がるチャーシュー
ラーメンを満喫したら、希望者は手を上げてスタッフや店内のお客さんに向けて夢を語る。スタッフやお客さんから質問されたり、励まされたりしながらそれぞれが夢を口にする。カウンターにある紙に夢を書いてもいい。こうして夢を語る空間を提供している。
ここで夢を語るために、さまざまなお客さんが訪れる。過去に、重度の心臓病を患いながらも来店し、「先日子どもが生まれました。ただ、その子は心臓に病気持って生まれました。僕の夢は子どもを健康に育て上げ、立派な父親になることです」と語った男性もいたそうだ。スタッフやお客さんが涙ながらに拍手し背中を押した。
お客さんの中には元高校球児で視力を失ったことから野球を諦め、今では「ゴールボール」競技で活躍する選手もいる。「東京パラリンピックに出場すること」と夢を語ったそうだ。
こんな風に夢を書くことができる
「自分も、お客さんも夢を聞くことが刺激になりますし、お互いの夢を応援し合えることが嬉しい」と小林さん。
この店には「ポジティブサイクルジャー」という募金箱がある。募金されたお金は、ラーメン1杯分に達すると、無料券として夢を追いかけてる若者などに渡している。
「その学生たちが夢を叶えたとき、ポジティブサイクルジャーに入れてくれたらいいと思うんです。今度は自分たちが応援する番だって。そうして、次の若者たちの夢を応援する。そういうサイクルを作りたいんです」。
夢をつなげるポジティブサイクルジャー
「医者になる」と夢を語った常連の学生は、在学中に無料券をもらいラーメンを食べていた。2017(平成29)年に夢を叶えて医者になり、ポジティブサイクルジャーに1万円を入れたという。
それが嬉しかった小林さんは、こどもの日に無謀ともいえる「ラーメン無料デー」を敢行した。どんなお客さんもすべて無料にしたのだが、店のシステムを知り、応援を込めポジティブサイクルジャーにお金を入れていったお客さんが多かったという。それでも、その日は当然赤字だったわけだが「気持ちが嬉しい」と笑う。
「毎日が楽しい」
そんな小林さんの夢の1つが「みんなの夢を1万個集めてギネスブックに載せること」。
夢を集めて、夢を叶えるためコツコツと営業しているのだ。
「まずは1日1日が勝負だと思って、ちゃんと営業していくこと。人生の中で自分のやりたいことが1つでも多くできるように楽しく生きること」。
そう語る小林さんの眼差しは、ユニホームを着ていたあのころ以上に輝いているように見えた。
誰かの夢が小林さんの夢の1つになる
取材を終えて
小林さんは、テレビ番組内で茨城ゴールデンゴールズの監督兼選手の片岡安祐美(かたおか・あゆみ)さんにサプライズでプロポーズしてご結婚し、夢の1つを叶えたばかり。公私ともに充実し、やる気がみなぎっているのが伝わってきた。
「嫌なことでも、どうやったら楽しくなるかを考えている」と言い、嫌なことから逃げてつかむ楽しさではなく、何事にも挑戦する楽しさを味わって夢を叶えている。
「夢が思いつかなければ、夢を見つけることが夢でもいい」そうだ。夢を叶えたい人、元気をもらいたい人は、ぜひ「夢を語れ」に足を運んでほしい。
-終わり-
取材協力
夢を語れ 東京(Yume Wo Katare Tokyo)
住所/東京都文京区白山5-36-14 マガザン白山 1F
営業時間/11:30~14:00、17:30~21:30
定休日/不定休