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磯子区氷取沢町の名前の由来は?

ココがキニナル!

磯子区に氷取沢と言う地名がありますが、ずっと由来が気になっています。調査のほどよろしくお願します。(ヨコさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

北條高時に献上した氷が取れたからという説と、もともと鍛冶場があり、それを示す “火”という漢字が使われていた説があった!

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ライター:田中 大輔

今回、その名の由来を調査するのは、磯子区氷取沢町。

氷を取る沢、とパッとイメージはわくが、はたしてそのまんまの名前なのだろうか。
あるいは、長い時間の中で漢字や意味が変わってきた経緯があるのか。
いずれにしても、特徴的な名前であるし由来調査は面白そう。さっそく現地へ向かってみよう。



難読地名でもあるこの町



海のイメージの磯子区だが、氷取沢は内陸に位置していて能見台や釜利谷、洋光台などに囲まれている町だ。

そう言えば、この町は「コレなんて読む?市内の難読地名をご紹介!」シリーズでもユーザーの方からのコメントで難読地名として推薦されていた場所でもある。
 


さて、なんと読むでしょうか?


確かに、知らないと読みにくい類の地名かもしれない。
正解は、“ひとりざわ”と読む。二人で行っても“ひとりざわ”だ。
 


Hitorizawa。コレが正解


鉄道駅はないので、自家用車以外の交通手段はバス。
磯子駅からの市営バス、洋光台駅からの京急バス、上大岡駅からの江ノ電バスのいずれかを使うことになるが、本数も多くないのでお世辞にも交通の便がいいとは言えないところ。

町内は住宅街になっているが、それ以上に緑の多さが目に付く。
 


大規模な団地もあるが、その裏はすぐに山
 

バス通りは笹下釜利谷道路。ここは車通りが多い


それもそのはずで、横浜で2番目に高い円海山の南側にあり(山頂は隣の峰町)、市が管理する氷取沢市民の森がある。
氷取沢市民の森は、大岡川の水源があることでも知られているスポットだ。



将軍に氷をプレゼント?



それでは、さっそく地名の由来について。
おなじみ『横浜の町名』(横浜市市民局刊)を当たってみると、『新編武蔵風土記稿』の記述を紹介している。

その内容をかみ砕くと、「昔から山麓に沿って長い沢があったので長澤村と呼ばれていた。宝勝寺の僧の話によると、後醍醐天皇の時代(1318年3月29日~1339年9月18日)に高倉明神社の深山から氷を取って北條高時(1316年~1326年に執権を務めた)に献上した。高時は非常に気に入り、今の名前に改めた」とのこと。
 


大岡川水源近くの沢。周囲はハイキングコースになっている
 

町内には古くから氷取沢神社があるが、高倉明神社とは別物のようだ


長澤村の由来になった沢が大岡川の付近のことなのか、高倉明神社がどこにあったのかは分からないのだが、つまりは漢字からのイメージそのままに“氷を取った沢”が町名の謂われだということである。
 


ハイキングコースには先日の雪がまだ。これなら氷も取れたかも?


この説は、『新編武蔵風土記稿』という明確なソースがあるためか、『角川日本地名大辞典』(角川書店刊)や『日本歴史地名大系 神奈川県の地名』(平凡社刊)などでも紹介されているし、町内で話を聞いた地元の人からも同じ話を聞くことができた。

今回当たった資料で一番古い“氷取沢”の記録は、1322年とのことだから、鎌倉時代からの地名であることは間違いないようだ。