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横浜に漁港ってあるの?

ココがキニナル!

横浜に漁港ってあるのかな。どんな漁師さんたちがどんな魚を採っているんでしょう?(紀州の哲ちゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜には現在、正式な漁港は2カ所あり、186人の組合員が操業している。水揚げされる魚種は、主なもので10種程度でアナゴやスズキなどがある!

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ライター:河野 哲弥

横浜市にある漁港は、2港のみ



港町ヨコハマ。
横浜港や大さん橋など、観光などで港を利用することはあるが、漁港は意識したことがなかった。
はたして埋め立てが進んだ横浜の湾岸に、まだ漁港は残っているのだろうか。

このことについて横浜市に尋ねてみると、現在「柴漁港」と「金沢漁港」の2港が、金沢区内にあるとの回答。しかし、市内の他の場所でも漁船を見かけた気がする。漁港が2つしかないというのは、どういうことなのだろう。

そこで、これらの漁港を管理する横浜市漁業協同組合に取材を申し入れ、詳細な話をうかがうことにした。

 


横浜市漁業協同組合のある「柴漁港(金沢区)」入口



正式な漁港といえるのは「第一種漁港」だけ

取材にご協力いただいたのは、横浜市漁業協同組合柴支部の小山支所長。自らも現役の漁師というだけあって、日焼けした顔に、どこか磯の香りが漂う。

 


柴漁港の漁船をバックにした、小山支所長


まずは、漁港が本当に2港しかないのか聞いてみた。

小山さんによれば、正式な漁港とは、主に地元の漁船だけが利用する「第1種漁港」と呼ばれる港のことを指すとのこと。そして現在市内にある「第1種漁港」は、ここ「柴漁港」とすぐ隣の「金沢漁港」のみとなるらしい。両港合わせて、現在186人の組合員と呼ばれる漁師たちが、現役で操業しているという。


方、客船や観光船も泊まっている港の一部やハシケなどに漁船を係留して漁業を行っている場合は、いわゆる「船だまり」というそうだ。こちらは、「子安港」や「本牧港」など合計12港が数えられる。「船だまり」で漁業を営んでいる組合員の数は、市内合計で400人ほどいるとのこと。
 


「船だまり」に分類される子安港は、こんな様子


これら全てを含む横浜市の漁獲量は、平成23年度の合計で約800トン。その6割以上を「柴漁港」が占め、約522トンの水揚げを誇っているそうだ。

そこで、もう少し同港の詳細をうかがってみることにしよう。



鎌倉時代から続くといわれる、歴史のある漁港



現・金沢区柴町に漁業集落ができたのは、1311(応長元)年と伝わっているそうだ。
近くの長浜地区から移り住んで来たため、当時は、引っ越してきたという意味の「越場(こしば)」と呼ばれていたらしい。それがやがて「小柴」となり、今の「柴町」という地名になっていったと、小山さんは話す。
 


入り組んだ小道が迷路のように続く、今の柴町の様子


しかし、昭和40年代にはじまった高度成長による埋め立てや公害の問題などにより、年々漁獲高は減少の傾向にあるそうだ。

そんな「柴漁港」を、昭和の終わりから平成にかけて支えていたのがシャコ漁だ。「小柴のシャコ」と呼ばれるほど有名で、すしネタなどに使われることが多かった。最盛期の平成元年には、年間約190万枚のシャコを出荷していたとのこと。

ところが1994(平成6)年を境に、シャコの漁獲量は半減。2001(平成13)年にはさらに半減し、年間50万から60万枚の出荷量が続くようになってしまった。この状況を危惧した神奈川県は2007(平成19)年、水産資源の保護を理由に、シャコを禁漁としてしまう。
 


シャコをゆでる釜の姿が、今では使われることなく町中に残る

 

シャコが入った「シャコパン」が名物だった「ブレーメン」

「シャコパン」で知られるベーカリー、「ブレーメン」の長嶋さんによれば、「以前は、運搬している軽トラックから勢いよく飛び出したシャコが、店の前の道でピチピチ跳ねていた」とのこと。しかし、今では漁獲高「ゼロ」(一部の試験的な漁などを除く)なのだ。もちろん、「シャコパン」は作ることができない。


この状況について小山さんは、「禁漁にすれば、普通ならシャコの数は増えるはず。それが増えないということは、乱獲などが原因ではないのだろう。橋の建設などで潮の流れが変わり、シャコの巣が壊されてしまったのかもしれない」と話していた。

では、現在は、どんな魚を捕っているのだろうか。