横浜市の特別高度救助部隊「スーパーレンジャー」とは?
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横浜市の特別高度救助部隊「スーパーレンジャー」について知りたい!(はまれぽ編集部さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
スーパーレンジャーは、救助に関する知識や経験を持ち、難易度の高い救助を行う部隊。その救助活動は訓練と救助に対する使命感に支えられていた。
ライター:吉澤 由美子
横浜市には、救助専門の特別救助隊「横浜レンジャー:YR」がある。火災などの災害時に活動する部隊で、選び抜かれた精鋭のみで構成されている。
その中からさらに選抜された人材で編成されたのが、特別高度救助部隊「スーパーレンジャー:SR」。
特別高度救助部隊のプレート
SRは、消防救助のベスト・オブ・ベスト。レンジャーでは対応困難である難易度の高い事故、災害で救助活動を遂行する。
建物がきれいに映り込むほど手入れが行き届いた車両
高度な救助を行うための資材や機材、特殊な車両を装備し、隊員一人ひとりが強靭な肉体と精神力を持ち、救助に関して豊富な経験や知識を持つ。
SRは、横浜市消防局(横浜市消防本部) 直轄の救助部隊。活動拠点は保土ヶ谷区の横浜市消防局にある。
特殊車両が並ぶ
そこで横浜市消防局に伺って、SRがどのような活動をされているのか教えていただいた。
保土ケ谷区役所と同じ建物内にある横浜市消防局
オフィスには気持ちのよい緊張感が漂っている
消防救助の発祥は横浜市
高度成長期を迎え、従来の対応では救助が困難な事故や災害が増加していた1963(昭和38)年、横浜市は消防特別救助隊の第一期生を陸上自衛隊富士学校に派遣し、レンジャー教育をスタートさせる。
その年の11月、東海道本線鶴見駅と新子安駅間の滝坂不動踏切付近で、列車脱線多重衝突事故が起こった。死者161名、負傷者120名という大事故だった。
この事故を契機に、翌年の1964(昭和39)年、横浜市消防局に「救助課」が新設され、全国に先駆けて「消防特別救助隊」が発足する。
陸上自衛隊富士学校から、人命救助を行うための技術と共に、「体力・気力・忍耐力・誇り・不撓不屈の精神=レンジャー精神」を受け継いだ。
レンジャー精神は横浜救助の要となり、後に発足した他自治体の消防救助の多くが「レスキュー」という名を使う中、今もその精神を守り「横浜レンジャー:YR」と呼ばれている。
YRは伝統ある組織
それまで警察組織の一部としての救助部隊はあったが、自治体消防組織に特別救助隊が誕生したのは横浜市がはじめてだった。そのため、県内をはじめとして全国から多数の救助研修依頼を受け、横浜市は消防救助の発祥の地と呼ばれるようになった。
SR機動第2救助隊の小倉宏文隊長
2008(平成20)年、横浜市消防局は、NBC災害や水難救助など特殊な災害にも対応し、大規模災害時に総括的役割を担う特別高度救助部隊「スーパーレンジャー:SR」を新たに編成。
腕のワッペンがSRの印
NBC災害は、N (nuclear:核)、B (biological:生物の)、C (chemical:化学の)の頭文字を取ったもので、原発事故のような核による災害、炭疽菌(たんそきん) 事件のような生物による災害、サリン事件のような化学物質による災害の総称だ。
SRの隊員は、大型自動車免許・酸素欠乏危険作業主任者・潜水士・クレーン運転士等の資格を持ち、難易度が高い人命救助活動を行っている。
YRとSRはオレンジ色の救助服がトレードマーク。さらにSRのみ、右肩に黒いワッペン、左肩から下げた白い飾り紐、白い靴紐を着用する。
真っ白な飾り紐はSRの誇り
汚れひとつない真っ白の飾り紐と靴紐は、SRのシンボル。この紐は常に真っ白に保たれている。現場であらゆる事象に目配りする注意力が必要なSRにとってこの白い紐は、細かな部分にも決して気を抜かないという矜持(きょうじ)であり誇りなのだ。
靴も隅々まで磨き込まれている