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12年前に九州で起こった工作船事件、なぜ横浜に資料館が作られたの?

ココがキニナル!

平成13年に発生した九州南西海域工作船事件の資料館が、赤レンガ近くの横浜海上防災基地施設内にあります。管轄の異なる横浜に資料館が作られ、常設されることになった経緯は?(恋はタマネギさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

海上保安業務の重要性をより多くの方に知ってもらうため、首都圏で利便性の良い横浜に建設された

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ライター:河野 哲弥

赤レンガ倉庫の隣で、国際問題を考える



今から12年前の2001(平成13)年12月、九州南西海域を航行していた国籍不明の不審船が、自衛隊の航空機によって発見された。不審船はその後20時間ほど逃走を続け、最後には自沈という形で、証拠隠滅をはかった。

この不審船を引き上げて展示してあるのが、赤レンガパークの奥にある、「海上保安資料館横浜館」である。
 


「海上保安資料館横浜館(以下、工作船資料館)」の外観


海の警察ともいえる海上保安庁は、全国を11の管区に分けて任務を行っている。事件があったのは奄美大島沖で、第十管区海上保安本部の管轄海域となる。一方、工作船資料館のある横浜は、第三管区海上保安本部が管轄している。なぜ管区の違う横浜に、同資料館が建設されたのだろう。

この件について第三管区海上保安本部に質問を送ったところ、工作船資料館で、取材を受けていただけることになった。



工作船事案のあらまし



資料館で待っていてくださったのは、第三管区海上保安本部総務部総務課の中西さんと、元巡視船乗組員で現在は館内のガイドを務める恵村さん。
 


巡視船の乗船勤務も豊富だという、恵村さん直々のガイド


まずは、事件の時系列を整理してみよう。

不審船の航行が確認されたのは、2001(平成13)年12月22日の未明のこと。海上保安庁の巡視船「いなさ」ほかが現場へ急行すると、船体の一部に通常の漁船にはない特徴が見受けられたため、ひとまず停船を命じた。
 


工作船事案の時系列MAP(工作船資料館展示パネルより)
 

引き上げられた工作船の船底。V字型の船底は速度を出すためのもので、一般の漁船は平底
 

沿岸への接近用と考えられる小舟を出し入れするドア。もはや漁船ではない


停船せずに逃走を続ける不審船に対し、「いなさ」は同日昼過ぎに威嚇射撃を行った。威嚇射撃を無視し、海中に証拠品などを投下する姿が確認されると、巡視船数隻による接舷(せつげん)を試みた。
 


2隻で挟み込むようにして、逃走を防ごうとした


不審船は巡視船に対して銃撃を開始し、ロケットランチャーも使用してきた。海上保安庁は反撃に出たが、やがて22時過ぎに不審船は自爆し、そのまま海中へ沈んでいったそうだ。

翌日の捜査では、引き上げた遺体の衣服や漂流物などに書かれているハングル文字を確認した。また、防衛省は25日、不審船と北朝鮮との交信を傍受していたことを発表した。
 


ハングル文字で「自爆」と書かれているというスイッチ
 

船体奥に比べ手前が盛りあがっているのは、自爆時の圧力によるもの