横浜で栽培されている「浜ぶどう」、その特徴は?
ココがキニナル!
浜ぶどうって、どんなぶどう?栽培方法や品種などいろいろ取材してください。キニナル。(にゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
大粒の実が特徴の、よこはまブランド農産物に指定されているブドウで、品種はさまざま。現在、夏の収穫を前に「摘粒」という作業の最盛期を迎えている
ライター:河野 哲弥
横浜にはブドウ班長がいる?
横浜市内で生産される数多くの野菜や果物の中で、「新鮮・おいしさ」「高品質」などをキーワードに関係者による委員会で選定されたのが、現在30品目におよぶ「よこはまブランド農産物」。
横浜市では、その中でも大粒で高級品種のブドウを「浜ぶどう」と総称し、生産振興を図っているようだ。
ブドウの人気は、トマト・ナシに続く第3位(横浜市環境創造局のサイトより)
そこで、市内のブドウ農家を取材すべく横浜市環境創造局に相談したところ、横浜市にはブドウ班長がいらっしゃるそうだ。早速ご紹介いただき、瀬谷区にある、「高橋ぶどう園」を訪ねることになった。
ブドウ農家に交じって講習会に参加
農園主の高橋さんによると、最寄りの相鉄線瀬谷駅から「かなり距離がある」そうなので、駅まで車で迎えに来ていただくことになった。なお、ご本人の希望により場所・連絡先などは非公開。
農園に着くと、ブドウを栽培している農家の皆さんが集まっていた
どうやら、講習会が開かれるらしい
横浜市では、市内を南北に分けて、このようなブドウ栽培の講習会を開催しているそうだ。その南部の班長を務めているのが高橋さんで、その日は同園のブドウを実際に使って、県や市、JAの職員らによる技術指導が行われていた。
職員の手元を見つめるまなざしは真剣そのもの
ベテランの高橋さんも、コツを伝授
当日予定されていたのは、「摘粒(てきりゅう)」や「緑枝接ぎ(りょくしつぎ)」といった、ブドウ栽培には欠かせない重要な工程とのこと。投稿にも、栽培方法についての質問があったので、詳しく追ってみることにしよう。
大粒の実を付けるために欠かせない「摘粒」とは
例えば「巨峰」なら1房あたり35粒程度、それより大ぶりの「藤稔(ふじみのり)」なら25粒程度など、品種によって目安とされている粒の数をそろえていくのが「摘粒」という作業になる。
その目的は大きく2つあり、1つは未熟な実にそれ以上栄養が行かないよう、早い段階で摘んでしまうこと。もう1つは、出荷時に箱などに詰めやすいよう、全体の形を「たる型」に整えることだ。
「摘粒」前の自然な姿
「摘粒」後の完成形
さらに、出荷に適さない枝ぶりのものや全体的に小粒になってしまったものは、房ごと落としてしまうそうだ。また、幹から遠い部分の房は作業効率が悪くなるため、枝の先端などに実った房も刈り取ってしまう。安定した収入に結びつけるため、単位面積当たりどれくらいの粒を残すのかも、配られたマニュアルに定められていた。
左は未成熟の例、右は枝が太過ぎて見た目が悪い例
この作業は、粒が本格的に育ち始める前のこの時期に、10日前後ですべて済ませなくてはいけないそうだ。「ずっと手を上げていなくちゃいけないから、慣れるまでが大変。疲れている暇はないので、作業効率をいかによくするかが、おいしいブドウの収穫に結び付く」と高橋さんは話す。
そんな高橋班長の「技」は、見る人が見れば分かるようで、「ウチと全然違う、さすが」とため息を漏らす同業者の姿も見受けられた。