関内のビルに展示されている変わった車の正体は?
ココがキニナル!
関内のビルにある変わった車がキニなります。塗装されて3台連なって走っている所を見ました。一人乗りの電気自動車のようで水色ナンバーでした(あずきさん、駅馬車さん)
はまれぽ調査結果!
横濱電気自動車商会の電気自動車宣伝カー「WRAPPIN(ラッピン)」は昨年の横浜市長選挙や岩手・三陸鉄道の公式宣伝車にも採用された
ライター:はまれぽ編集部
関内に一風変わった自動車があるらしい。そういえば、2013(平成25)年に行われた横浜市長選挙でも、それらしき車を見かけたような記憶がある。ということで、投稿をもとに会社を訪ねて取材交渉をすることに。
場所は関内駅が最寄り。JRだと徒歩3分、市営地下鉄だと1分ほどで着く。
尾上町交差点のすぐ近く
会社の前に到着すると、目に飛び込んできたのはレトロな文字。
「横濱電気車両商会」。濱の字も「商会」の響きもレトロ
快く取材を受けてくれた「株式会社 横濱電気車両商会(資本金800万円、従業員5人)」のCEO(最高経営責任者)・川瀬愛晴(よしはる)さんに詳細を伺うことに。
CEOの川瀬さん
いったいどんな車なの?
横濱電気車両商会の設立は2013(平成25)年1月23日。投稿にあった「かわいい電気自動車」の企画・製造を行っている。
もともとは東京出身の川瀬さん。自動車の排気ガスをゼロにしようという「ゼロ・エミッション」に取り組んでいる横浜で、しかも自動車が普及する以前は交通の要となっていた馬車が初めて走った場所である馬車道から電気自動車を扱う新しいタイプの車を使ったビジネスや文化、驚きを発信したいと考えたのだという。
社名も「自動車」でなく「車両」にしたのは、「自動車に代わる新しい乗り物として育ってほしい」という川瀬さんの思いから。では、その電気“車両”について詳細を伺う。
段ボール? キニナル外観・・・
車の名前は「WRAPPIN(=ラッピン)」で、トヨタの一人乗り電気自動車「コムス」をベースに改造を加えたもの。道路交通法上は「乗用車」に分類され、軽自動車よりも小さい「超小型車(=ミニカー)」として公道も走行できる。
しかし、道路運送車両法上は「総排気量50cc以下または定格出力0.6kw以下」の「第1種原付ミニカー」に区分され、乗車可能人数は1人で、ナンバープレートは青色となる。サイズは幅1メートル、車高1.6メートル、全長2メートルで最大速度は時速50kmまででるそう。動力は100%電気で、8時間充電すれば約35kmの走行ができる。
車内はステアリングもあり、操作もしやすい
基本的には原付バイクと同じ扱いなので車庫証明や車検も不要だが、四輪車なので運転には普通自動車免許が必要になるが、ここの車両は展示用なので乗車できない。
横濱電気車両商会では、現在6台のWRAPPINを所有しており、主に企業広告に利用している。
休日のみなとみらい地区を走行していると、携帯電話で写真を撮影されることが多いそうで、撮影した人が写真や動画をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿することで口コミでも広がり、企業などから問い合わせがあるのだという。
これは目立つ(写真提供:横濱電気車両商会)
これまでの実績は、会社設立から4ヶ月で受注した「2013世界トライアスロンシリーズ横浜大会」(5月11~12日)や同年8月には横浜市長選挙と人気バンド「TUBE」の横浜スタジアムで行われたコンサートのPRがある。
トライアスロン世界大会やコンサートPRで使われた「WRAPPIN」
(写真提供:横濱電気車両商会)
普段はそれぞれの車が別々に走っていることが多いが、トライアストンの際は競技になぞらえ「スイム」「バイク」「ラン」をイメージした3種類のWRAPPINが3台並んで走行したという。
当初は顧客からのイメージを普通のプラスチックやFRP(=繊維強化プラスチック)にプリントしたボディを使用していたが、市長選挙とコンサートのPR日程が重なったことから、簡単にデザインを変更できないかを熟慮した結果、シャーシー(=枠組み)だけを残して耐久性に優れた「強化ダンボール」をかぶせる現在の形に至った。
一般的な段ボール(写真下)より強固なダンボール材(フリー素材より)
雨天でもペイントが落ちることはなく、濡れてぼろぼろになることもないそうだ。