山下公園の氷川丸は浮いている!? 真相を徹底検証!
ココがキニナル!
氷川丸はまとめて報告Vol.49で「浮いている」とのことですが実は固定されているらしい。真相解明お願いします(リョー☆サンさん/寿さん)イベントがあったり喫茶店ができたりしますか?(rincoさん)
はまれぽ調査結果!
氷川丸は浮いている。「氷川丸船上オープンデッキ開放イベント」を不定期で開催、喫茶店の設置については検討の可能性あり
ライター:ほしば あずみ
浮いているのか否か、それが問題
はたして氷川丸は浮いているのか? 実は固定されているのか? 都市伝説じみたこの問題、一度は「まとめて報告」入りしたが改めて、はまれぽが真実に迫る。
青空に映える氷川丸。船底はどうなっているのだろう?
入館料は一般200円(4月1日からは300円)
3月21日(金)の取材日は、普段開放していないデッキに入れる「氷川丸船上オープンデッキ開放イベント」開催日。まずは船内で、見学していたみなさんに予想を聞いてみた。
大学生時代の友人同士。左から静岡、長野、名古屋からお越しの3人
名古屋から来たという男性は船が好きで普段も護衛艦などを見学しているそう。氷川丸も横浜に来たら訪ねたかったそうだ。
男性の予想は、「浮いてますよね。でも半分座礁みたいな状態なんじゃないですか?」
左から、千葉、横須賀、東京からお越しの3人
男性2人の予想は、「浮いている」。女性は「え? 私は固定されてると思う」とのこと。
浮いているのかどうか、気になりましたか? という質問には、「乗船する時、疑問に思いました」と答えてくれた。
さて、答えはいったい? この方にお答えいただこう。
氷川丸の第28代船長、金谷範夫(のりお)さん
「浮いてるよ。誰だい、固定されてるなんていい加減なことを言ったのは」
ばっさり即答である。まわりにいた船員のみなさんも、「固定されたことは一度もないよ」「浮いています。見ればわかりますよ」と口々に浮いていることを主張する。
「一番わかりやすいのは、船のタラップ」と金谷船長。
桟橋と船の乗降口をつなぐ、タラップ
タラップは潮の満ち引きで角度が変わる。潮が引けば出入り口の位置が下がり、満ちれば高くなる。それに合わせてタラップも上下するのだ。
「それって浮いてないと変わらないだろう?」
説明板もあった
図解するとこんな感じ(干場画)
実際に観察してみると・・・
潮が満ちている時(12時)のタラップの角度が・・・
潮が引いている時(19時)には、ほぼ水平の状態になっている
氷川丸は浮いている。だが、1961(昭和36)年、山下公園に係留される際に舵を切断しプロペラ(スクリュー)も外したため、動かすことはできないのだそう。
舵とプロペラ跡は間近に見ることができる
「船のメンテナンスは通常ドックでやるけれど、氷川丸はそれができない。保存のための補修には神経を使います」と金谷船長。
特にスプラッシュゾーンは腐食が進みやすいため、さまざまな技術で補修されている
船の寿命は約20年。1930(昭和5)年に竣工し、1960(昭和35)年に引退した氷川丸はすでに船齢30年だった。スクラップにされても不思議ではなかった氷川丸だったが、横浜港開港100年という節目に合わせ、新たに建設されるマリンタワーと共に港町横浜のシンボルとして生き続けることになった。
そんな「強運の船」と呼ばれる氷川丸の数奇な運命を、誕生から追ってみよう。