ギャップ萌え必至!? 地場野菜にこだわる横浜駅西口の「大ど根性ホルモン」ってどんなお店?
ココがキニナル!
ハマボールの近くに「ど根性ホルモン」が開店しました。ホルモン焼き屋さんかと思いきや、地場野菜の料理をメインとしています。ぜひ詳細レポートを! (HyperNattohさん、徘徊中さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
2014年に高島町から横浜駅西口に移転し、「大ど根性ホルモン」として新装開店。こだわりの野菜料理とホルモン料理が食べられるお店だった!
ライター:山口 愛愛
ホルモンも横浜野菜も食べられる店
「大ど根性ホルモン」と聞き、コテコテのホルモン焼肉を思い浮かべる人も少なくないだろう。そう思って足を運んでもらっても良いと思う。「ギャップ萌え」するのではないだろうか。もちろんホルモン料理もあるが、野菜をたっぷり使った和食ベースの創作料理がメインの店。夜は居酒屋のような雰囲気だ。
「横濱うたげや 大ど根性ホルモン」のオーナーシェフを務めるのは、椿直樹さん。椿さんの料理は横浜市内のイベントなどで、何度か味わったことがある筆者。
野菜の本来の味を知り、その旨みに驚いた。店舗に足を運ぶのは初めてだ。期待を胸に、いざ潜入。
ビル入口の看板が目印
地下への階段を下りていく
場所は、横浜駅西口から徒歩11分の北幸町。雑居ビルの地下で、横浜の地場野菜と出会えるのだ。
この店はもともと戸部で2013(平成25)年2月に地場野菜とホルモンを中心とした肉料理を提供する「ど根性ホルモン」としてオープンしたが、マンション開発の話が急浮上し立ち退くことになり、今年4月に横浜駅西口に移転。席数も約3倍に増え、気持ちも店名も新たに「大ど根性ホルモン」としてリニューアルオープンした。
和風の店内は60席のスペース
奥には座敷も。内装やクーラーの修理なども、地元商店に頼むようにしている
保土ケ谷区生まれの生粋のハマっ子、椿さんに、店のウリであるという横浜地場野菜の魅力や店のコンセプトを語っていただこう。
元は洋食系のお店でフランス料理などを学んでいたという椿さん
地場野菜と向き合うきっかけとなったのは、横浜市内でスペイン料理のシェフをしていた20年前頃に全国の地場野菜を使ったフェアがあり、「神奈川野菜」を調理したときのことだったという。
「神奈川県産のホウレン草、大根、小松菜、長ネギを使いましたね。今までにない野菜の味の濃さ、ジューシーさに驚きました。そのときは主に横須賀の野菜だったので、意外と農家が多い横浜の地場野菜はもっとすごいのでは?と興味を持つようなった」と椿さん。
ここから椿さんは大胆な行動に移る。農家や生産者に興味を持ち、ホウレン草やルッコラなどを育てている都筑区で農業を営む中山さんを尋ねた。
椿さんやスタッフが農家に直接採りに行くことも
(写真提供:大ど根性ホルモン)
初めは、なかなか取り合ってもらえなかったが、週に2、3回、半年間も通いつめて、やっと畑に入れてもらった。
「生で味わえるサラダなすを採らせてもらい、そのときの嬉しさと美味しさは忘れられませんね。こんなにすばらしい生産者の方や、こんなに鮮度のいいものが横浜にあるなんて!と感動しました」
壁には生産者の方々のイラストと紹介ポップが掲げられている
料理人として、この美味しさを伝えたいとの思いで、その後も多くの農家を歩いてネットワークを広げ、独立し、この店の開店に至ったのだ。
それにしても地場野菜メニューをメインにする店で、なぜ「ど根性ホルモン」という店名にしたのか。
「縁があり、戸部で店を出すことになりました。戸部はどちらかというと下町っぽい場所なので、野菜よりもホルモンのほうが親しみを持ってもらいやすいと思い、店名に“ホルモン”と入れました。ど根性には、土と根とともに生きる“土根生”の意味が込められています」
戸部の店のときに、お客さんからもらった寄せ書きは宝物
肉のお店だと思って入ったが、野菜も美味しいじゃないか! と思っていただきたいと、いたずらっぽく笑う椿さん。実際に、ホルモン目当てで入店するお客さんもいるというが、ホルモンの味にも納得してもらい常連になる人も少なくないそうだ。
「旬野菜とホルモンのピリ辛炒め(700円)」
(写真提供:大ど根性ホルモン)
今では、農家の方との付き合いも30人程度に膨らんだ。
「神奈川区のスナップいんげん、瀬谷区のウド、金沢区のシイタケ、保土ケ谷区の西谷ねぎ。泉区のトマトなどなど、横浜には西谷ねぎなどが代表するように、横浜には日本古来の在来種を守っている野菜が多く栄養価も高いので、美味しい野菜がたくさんあります」
泉区産のトマト。旬の採れたて野菜が並ぶ
椿さんは、店の経営だけでなく、地産池消を目的とした多くのプロジェクトに関わっていることで注目されている。
地場野菜を広める「横浜野菜推進委員会」を立ち上げ代表を努め、多くのイベントにも参加。横浜の料理人や生産者、市場の人、管理栄養士などが集まり、横浜の地産地消を目的とした「濱の料理人」プロジェクトでは、横浜の素材を使うシェフを集め、一般の方に料理をふるまうパーティ形式のイベントなども開いている。
野外で焼き芋を作って味わうイベントも
赤レンガ倉庫で行われたイベントに出展したときは大人気に
過去には、食用ばらのスイーツを味わいながら学ぶ「地産地消でキレイになろう」講座も
「親と子の味覚塾」という体験型イベントでは、保土ケ谷区仏向町の農家の梅を使い、生産者とともに梅干作りを体験できるなど、年4回家族で楽しめる企画を用意している。
店で行われる味覚塾は常連さんや家族連れでにぎわう
そのほか、児童養護施設では親御さんと離れて暮す若者に向け、料理人を目指してもらおうと、横浜野菜を使った出張料理教室も開催。
「みんなハングリー精神はあるので、料理を通して人の優しさや温かさにふれてほしいと思っています」と語る。
「料理で人を喜ばせる人になってほしい」と椿さん
これらの取り組みが評価され、農林水産大臣が認定する「地産地消の仕事人」にも選ばれているのだ。
これだけの話を聞けば、料理への期待はさらに高まる。