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みなとみらいが会場に? 横浜で公道を使った世界レベルの電気自動車レース「フォーミュラE」が開催されるって本当?

ココがキニナル!

フォーミュラEという電気自動車の市街地レースが海外で開催。横浜市では市街地レース誘致など考えはない?/法令とか条例等々をクリアして開催出来るもの?(タイサンさん、はまっ子どうじさん)

はまれぽ調査結果!

横浜でのフォーミュラE開催には山下ふ頭が予定されているが、実現の可能性は未定。横浜市は、山下ふ頭の再開発に関して多角的な検討を進めている

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ライター:三輪 大輔

「青い海と青い空。これこそ横浜の象徴です。市街地レースでは、その魅力を十分にアピールすることができるでしょう」

横浜市での電気自動車によるカーレース「フォーミュラE」開催の可能性に関して、インタビューをしていたときである。横浜市議会議員を32年間務める田野井一(たのい・かずお)さんは、このように語った。横浜の魅力を、世界にどのようにアピールしていくか? その話にさしかかったとき、田野井議員は特に力を込めて語りだした。
 


フォーミュラE開催に関連した、横浜の将来のビジョンについて語る田野井さん


「横浜は東京の経済に勝てない。東京都があまりに大きい都市のため、どうしても横浜市は支店経済になってしまいます。しかし、だからこそ横浜にしかない魅力を世界にアピールしていく必要があると考えているのです」

そもそも「フォーミュラE」とは、F1も主宰しているFIA(国際自動車連盟)が行う、世界初の電気自動車のレーシングシリーズである。レースは全て公道を使用して行われ、開催都市に環境に対する意識の高い都市が多いのも特徴の一つだ。世界の10都市で開催される予定で、2014(平成26)年9月13日に北京でスタートし、マイアミ、ベルリン、モスクワなどを巡り、2015年6月27日のロンドンで最終戦を迎える。
 


ロンドンのイメージ(フリー素材)


その「フォーミュラE」には、横浜の世界的な認知度やポジションを押し上げるほどの力があるのだろうか? また横浜で開催される可能性はあるのだろうか? 横浜市議会議員、横浜市役所、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルの3者視点から、横浜開催の実現性を見ていきたい。



横浜市議会議員、田野井

雄が描くビジョン

「2010(平成22)年に発足した、ヨコハマ活性化推進会議で進めている統合型総合リゾート(IR)計画というのがあります。その計画を私たちは、横浜版の経済成長戦略として位置付けており、フォーミュラE開催やカジノ誘致などを進めているのです」

田野井さんは、フォーミュラE誘致に至る経緯を、このように話してくれた。ちなみにヨコハマ活性化推進会議には以前、菅義偉(すが・よしひで)現・内閣官房長官も顧問として参加されていたそうだ。また、田野井さんがフォーミュラE誘致に動き出す背景には別の理由もあるという。それは横浜市へのF1レースの誘致活動までさかのぼる。
 


顧問として参加していた菅義偉


「35年ほど前に、みなとみらいでのF1開催の誘致をしたことがあります。当時、現在は『横浜みなとみらい万葉倶楽部』がある場所をメインスタンドにして、ロイヤルパーク前の大通りを通り、万国橋を渡る3000メートルのコースを考えていました。しかし道路交通法などの関係で計画は頓挫(とんざ)しています。これをずっと引きずってきているという経緯があったんです」
 


当時、市街地でのF1開催を計画していたという「みなとみらい21地区」


その計画は、奇遇にも公道でレースを開催するフォーミュラEと同じであった。それでは、なぜ市街地でのレースにこだわるのだろうか? 田野井さんが、その理由を語ってくれた。

「フォーミュラEは世界で放映されます。そのため横浜が誇る、青い海と青い空を背景にして、環境に優しい自動車が走ることは、世界に向けたこの上ないPRになるでしょう。現在、シンガポールやマカオなどの市街地レースを行う街では、IR都市開発が進んでいます。私も視察に行きましたが、多くの人を引き付ける魅力があると感じました」

確かに、横浜で市街地レースも含まれたIRが実現すれば、横浜経済の新たな起爆剤となるだろう。しかし横浜市で市街地レースを開催する場合、みなとみらい地区をはじめ、周囲の建物や公道使用に関する法規などの壁がある。ただ現在、再開発が協議されている「山下ふ頭」であるなら話は別だ。
 


再開発の協議が進む山下ふ頭周辺の様子


「山下ふ頭の47ヘクタール(47万平方メートル、横浜スタジアム17.9個分)の土地が、今年いっぱいで更地になります。そこで再開発に関する検討委員会に、私は3000メートルのイベントロードを作ってくれるようにお願いしているんです。そこをフォーミュラE開催はもちろん、世界トライアスロンや横浜マラソンでも使用できればと考えています」

田野井さんは、このように語る。建物を建設する前に、道路を先行して作ることで、みなとみらい地区で出来なかった市街地レースの実現性は高くなるに違いない。

「横浜市には、補助金を出して誘致した日産自動車の本社もある。しかも現在の市長は、日産自動車の出身者です。絶好のチャンスがそろっています。後はコースだけなんです」
 


田野井さんの語る横浜市のビジョンの話には惹きこまれました


ちなみに昨年、ヨコハマ活性化推進会議は、クラシックカーが街の中を巡る「RALLY TOKYO YOKOHAMA 2014」に協賛し、市街地で行う自動車のイベントに力を入れている。
 


RALLY TOKYO YOKOHAMA 2014開催のポスター


ただフォーミュラEを開催しては、世界に向けて狙ったようなPR効果があるのか、多くの横浜市民の関心を惹きつけることができるのか、そして肝心の経済効果はどれほどあるのかなど、課題は多くある。

それでは、その山下ふ頭の再開発の協議を進める横浜市は、フォーミュラE開催に関して、どのように考えているのだろうか。そこで、横浜市港湾局の山下ふ頭再開発調整室で話を聞くことにした。