簡易宿泊所が残っているのはなぜなのか? 東神奈川周辺にひっそりと点在する「ドヤ」内部に突撃!
ココがキニナル!
神奈川区神奈川に、ドヤのような宿泊所が並んでいる場所がありました。一般のバックパッカーでも泊まれるのでしょうか?(ときさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
東神奈川~神奈川新町の簡易宿泊所は港湾関係者が多く利用していたそうだが現在は生活保護受給者の利用がほとんど。バックパッカーは泊まれない
ライター:山崎 島
横浜で簡易宿泊所と言うと、中区寿町が有名だが、東神奈川・神奈川新町など神奈川区にもポツポツあるのはご存じだろうか?
私は全然知らず、汗と涙とエロい想像にまみれた高校時代を東神奈川周辺で過ごしとりました。知られざる東神奈川のドヤ宿事情を、手さぐりで調査。
東神奈川の簡易宿泊所を巡って
最初はJR東神奈川駅が最寄りの簡易宿泊所が並ぶ通りへ行った。関係者の方に取材をお願いすると「ここにはね、写真に写ったら困る人がたくさんいるんだよ」と断られた。
この時はちょうど川崎の簡易宿泊所で火災があったばかりだったため、関係者の方々はメディアに対してかなり慎重になっていたよう。
2015(平成27)年5月、川崎市川崎区での火災、死傷者が出た
それでも、と何度かお願いしに行き、宿や関係者の方のお名前は出さない、場所を特定できるような写真を載せない、という約束で少しだけお話を伺えることになった。
東神奈川
同簡易宿泊所ができたのはおよそ50年前。できた経緯や理由は関係者の方もご存じなく、不明だった。「昔は港湾労働者が多く利用していたと聞いたことがあります。いつからかは分かりませんが、今は生活保護受給者や年金受給者がほとんどです。中には20~30年住んでいる方もいます」とのこと。
ここら辺には多い時は6軒ほど簡宿があったそう
同簡宿は共同トイレ、ベッドと冷暖房はなしで一泊1400円~1600円で宿泊ができる。バックパッカーは利用できるか伺うと「たまに来るけど、断ります。そもそも1日からの利用ができないので」とおっしゃっていた。また、女性の宿泊は不可。
特別に、一室見せていただけた。両側に小さなドアが並ぶ廊下を行く。何気なく置かれている使い古したタオル、履き古しのサンダル、きっとパチンコの景品だと思われるディズニーのぬいぐるみに、染みついた人の生活を強く感じた。
そしてある一室
こちらは最近リフォームしたというお部屋。3畳ほどのスペースには新しい畳のにおい。
天袋もある
このお部屋には窓がついていたが、ほかのお部屋はどうなんだろうか。なかったら結構悶々としちゃいそう。
同簡宿の環境について伺ってみると、たまに利用者同士のトラブルで警察が来ることもあるが、いつもは比較的穏やかなようだった。
「ここはこれ以上取材に答えるのは無理だけど、京急線仲木戸駅のそばの簡宿だったら取材させてくれるかもしれませんよ」と教えていただいた。行ってみます!!
複雑な事情がある中、取材にご協力くださり、本当にありがとうございました。
今度はちこっと歩いて仲木戸へ
到着したのはここ
玉喜荘(たまきそう)
5階建ての新しい簡易宿泊所。管理人さんに取材のお願いをすると、今度は「ああ、大丈夫だよ」とOKいただいた。ありがとうございます。
玉喜荘ができたのは約50年前。1軒目の簡宿とほぼ同じ時期だそうだ。以前は鉄筋の古い建物だったが、10年前にまるっと新しくなった。
管理人さんいわく、玉喜荘の利用者も「生活保護受けている人だね、みんな」とのことで、一般のバックパッカーの利用は不可。理由は布団しかないから。一部の宿泊所サイトでは、一般の宿泊もできると記載されているそうだが、それは間違いだそう。ご注意。
「昔は港湾の人が多かったね。今は4~5軒になったけど、20年前には市とか県が運営している簡宿もあった。職安もあったから、労働者が集まってたと思うよ。まだこういうところが残ってる理由としては、神奈川区に簡宿が少ないからじゃないかなあ」と管理人さんはお話くださった。
同簡宿には共同キッチンあり
ランドリーもあり
ここらの簡宿では唯一のコインシャワーもあり
お部屋の一室も見せていただけた
フローリンっ
布団と冷蔵庫とテレビ、そしてエアコン付きであります
こんな感じで一泊2000円。
「川崎の火災を受けて、ここにも警察が入ったりしたね。ここは新しいけど、ほかは川崎と同じような状態の建物も多いみたいだよ」とのこと。
お年寄りや体の不自由な方も多く利用している簡易宿泊所。ひとまず命の安全だけは保護できるような環境にするためには、どうしたらいいんだろうか。