宮司による横領が問題となった「本牧神社」、その後の動きは?
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宮司による寄付金の横領が疑われている「本牧神社」、現在の状況を教えてください。
はまれぽ調査結果!
9月22日、横浜地裁で損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が開かれました。本牧裕司被告は横領行為を否定し、宮司の身分を主張し続けています。
ライター:河野 哲弥
事件を発生当時からもう一度振り返ってみる
「本牧神社」本宮の様子
横浜市中区にある同神社では、8月6日から7日にかけて「お馬(んま)流し」という神事が行われようとしていた。事件の発覚は、その準備を進めている段階の出来事だった。
6月14日のこと、氏子たちから集められた寄付金約5,000万円の中から、「祭礼船」という神事に用いられる船の修復費用を船大工に支払おうとしたところ、その専用口座には46,328円しか現金が残っていなかったのである。
そこで通帳を調べてみると、指輪を買ったと思われる痕跡が、宮司である本牧裕司氏直筆のメモなどによって残されていた。他にも用途が不明な点が多かったため、本牧神社は7月27日、本牧裕司氏に対して業務上横領の罪で告訴状を提出するに至った。
本牧氏直筆のメモが書かれた通帳
9月22日に横浜地方裁判所で行われた第1回口頭弁論は、この係争を巡った双方の論点整理ともいうべき手続きである。
口頭弁論は、案件が複雑な場合などにしばし行われ、裁判が開始される前に原告・被告双方の言い分を文章にして裁判長に提出するものだ。2ヶ月ぶりに動き出した本件。再びその詳細を追ってみよう。
裁判長も苛立ち気味だった、本牧裕司側の答弁
口頭弁論が行われた横浜地裁外観
第1回口頭弁論が行われたのは807法廷。部屋の中心には丸テーブルが置かれ、一般的にイメージする「裁判所」とは少し違った雰囲気だ。原告・被告双方は、裁判長を中心として丸テーブルの両側に着席した。
この一連の裁判は、宗教法人本牧神社が、宮司である本牧裕司氏を訴えるという意味で、かなり特殊なケースといえる。
このため、果たして神社を代表する「代表権」はどちらが持つのかという確認から審議がはじまっていった。
原告である宗教法人本牧神社は、宗教法人法の規定により「利益相反行為があった場合は代表役員を選任できる」ことを根拠に、代表権は同法人側が持つと主張。
対する被告の本牧裕司側は、現段階ではいまだ利益相反行為と確定されていないことを根拠に、本牧裕司氏が持つと主張。また、裁判長の説明途中に口を割って入るなど、乱暴な様子もうかがえた。
この被告側の態度には、裁判長も「ここで止まってしまっては先に進めない」と表情を硬化させ、それぞれの主張をもとに、どちらに代表権があるのか「中間判決(本裁判に先だって行われる裁判所の判断)」を行うと宣言した。
結局その日はそれ以上の進展はなかった。
閉廷後、宗教法人本牧神社側に今日の感想を聞いたところ、「(被告側の態度と比べ) コチラ側の好印象を残せたのではないか」と語った。