川崎にある木造の超レトロ商店街「小向マーケット」って?
ココがキニナル!
川崎の小向にある「小向マーケット」、見た目がすごくレトロらしく、どんな様子なのかキニナル。今もやっているお店はあるのかな?(ところてん太郎さん)
はまれぽ調査結果!
川崎幸区の木造市場「小向マーケット」は、1953年に店舗が少ない周辺事情をうけてスタート。現在も洋品店や豆腐店、惣菜店など4店が営業している。
ライター:岡田 幸子
日常から「マーケット(市場)」が姿を消して、どれくらい経つだろう?
幼いころ、母に手を引かれて毎日出かけた先は、確かに「マーケット」だった。
けれど、現在の買い出し先はほぼ大型スーパー。広義には「スーパーマーケット」も「マーケット」ではあるが、あの風情とはほど遠い。懐かしい「マーケット」の風情を味わえる場は、すっかり失われてしまったのか・・・?
国内の「マーケット」は絶滅!?
と思ったら、川崎市幸区に超レトロな佇まいを見せる「マーケット」があるという。その名も「小向(こむかい)マーケット」。そりゃ行かねば、行くでしょ、行こう!
病みあがりらしく、やたら厚着の編集部・関本と現地に向かった
昭和の趣をたっぷり残した「小向マーケット」
少々前のめり気味に向かったのは、川崎市幸区小向町。最寄駅であるJR南武線「鹿島田」駅からは2.5kmほどと、歩くのにはややキツイ。
国道 1号、多摩川大橋近くだ
とはいえ、JR「川崎」駅西口にある「川崎駅西口北」停留所から「小向」停留所まではバス便がある。午前6時台から午後10時台までほぼ10分おきと便数も豊富なので、決してアクセスは悪くない。
川崎駅からはバスで約10分
「小向」停留所からは路地を入ってすぐ
トタン板貼りの外壁も懐かしい「小向マーケット」に到着した
そこまで規模は大きくない、木造の商店街だ
アーケード屋根の波板から差し込む光に、万国旗が揺れる
入居者に聞く「小向マーケット」の歴史とは?
「小向マーケット」誕生時から入居しているという「大盛堂洋品店」店主の石田忠雄(いしだ・ただお)さんに話を聞くことができた。
御年83歳! おしゃれな石田さん
石田さんによると「小向マーケット」ができたのは1953(昭和28)年。県営・市営の団地や川崎競馬の厩舎もあり、多くの人が暮らしていたこの界わいには、当時店舗があまり存在していなかったことを受けて誕生したという。オーナーは近くにお住まいだというが、ご高齢ということもあり、今回は詳細なお話を伺えなかった。
マーケットのすぐそばに、今も団地がある
「私がまだ20代のころだったかな。権利金として40万円前後を支払って入居しました。当時のお金で40万円だから、結構な金額でした。権利金は払い戻される種類のお金ではないし、それを思うと簡単に退去は考えられないですね」と石田さん。
かつては16軒ほどの店が並んでいた
その後時は流れ、経営者の代替わりとともに、徐々に営業を続ける店舗は減っていったという。そんななか、入居以来60年以上にわたって、石田さんは地域のお客さんを迎えて、質の良い衣料品を提供してきた。
レディース、メンズを問わず多くの洋服と下着類が並ぶ
取材中に、店頭の黒電話がけたたましい音を響かせた。急に冷え込んできたため、冬物の上着を所望するお得意さんからの注文の電話のようだ。
「良いものが見つかればまたお電話しますよ」
「サイズはMでいいでしょう。ものによりますが最近のLサイズは大きめだから、お客さまがお召しになると肩が落ちて野暮ったくみえるかもしれませんよ」
親身にアドバイスをする石田さんの声が聞こえてきた。電話越しのやりとりに、石田さんとお客さんの間にある信頼関係がうかがえる。
「今はただの金入れ」というレジスターも鎮座
石田さんによると、「小向マーケット」内店舗では各戸の間取りは同じで、1階部分は店舗奥に6畳が1間。2階には6畳が1間と3畳の台所がついているという。
裏手にまわると確かに住居の趣だ
「昔は住居兼店舗で住んでいた人も多かったけど、今は空き家がほとんど。私のように通いで営業を続けている店もあるけどね」とのことだ。
「大盛堂洋品店」の店舗奥にはご趣味のミニ盆栽も
石田さん、盆栽の講師を務めるほどの腕を持つさつき愛好家だとか