元石川町から鴨志田のあたりまでは完成を望まれているようだったが、その先はどうなのだろうか。
　

前編で確認したルート。元石川町（赤矢印）から日本体育大学付近（青矢印）

　
特に「自然環境と道路計画との両立」に関して議論が白熱した「恩田・すみよし台地区」には、前編にあるように本当に反対者はいたのだろうか。それを検証するため現地に向かった。

「恩田・すみよし台地区」には反対者がいるのか

横浜美術大学を過ぎたあたりで歩行者しか通れない道を発見し進んで行くと、その先に恩田元石川線（以下、恩元線）の一区間と思われる整備された道路が広がっていた。
　

未整備区間の始まり（青矢印）と整備区間の始まり（緑矢印）。ここが繋がるのか

　
上図の整備区間の始まり（緑矢印）より先は、前出の「森の自然環境と道路計画をどのように両立させるかで白熱したという『恩田・すみよし台地区』のルート」のあたりだ。

資料によると「恩田の森の北側を通る案（A案）とあかね台の恩田線と田奈高校前の道路をつなぐ案（B案）があり、『道路ネットワークや線形､地域の一体化、自然環境への配慮』を考えた結果、B案が妥当と結論付け、恩田の森を避ける自然環境保護のA案より利便性を重視して恩田線をつなげるB案を選んだ」とあった。

　

「恩田・すみよし台地区」ルートについて


「恩田の森」（赤丸）北側を通るA・自然保護案のルート（緑）と利便性重視のB・都市計画道路「恩田線」と結ぶルート（青）

　
では実際は、どうなっているのだろうか。

　

青矢印と赤矢印の区間は整備されている


整備された区間


周りは住宅地だ


整備区間は500メートルほどしかない

　
整備された道路は500メートルほどで、山にあたり行き止まりになっていた。

　

道路の突き当りの地点（赤矢印）


山があり行き止まり

　
そこで山の反対側に出ると、そこには田んぼが広がっていて、まるで別世界であった。このあたりが前出の反対があった場所だろうか。

　

田んぼが広がる風景

　
田んぼで仕事をしていた地主に伺うと「30年ほど前、道路建設の話がありました。区画整理をやってくれれば公共用地として価値が上がるので、自分たちの土地も価値があるのですが、道路を作るためだけに土地を提供するのは割に合わない。そのため、反対した人がいました。本当は道路が出来ればいいなぁ、とは思っているのですが・・・」とのこと。

また畑にいたある会社員は「山の中をトンネルにし、その先を高架にして道路を通す話がありましたが、田んぼがつぶれるということで地主から反対が出ました」

「このあたりは市街化調整区域で土地の価値が低いため、ほったらかしにしている山の状態より道路を通せば少しは価値が上がる、と考える人もいました。しかし区画整理をやってくれるのなら意味がありますが、高架の道路を通しその柱の分だけの土地をください、と言われても、大して意味はないから反対した人もいるようです。このあたりの山は何人もの地主が持っていて権利関係が複雑ですよ」と話してくれた。
　

山をトンネルで通し高架の道路にする予定があったという

　
「いずれにしても計画は中止になったようで、今では緑地保護区域になっていて、先日まで緑地保護関係の測量が行われていました」とのこと。

さらに近くの畑で仕事をしていた中年男性は「私の父が道路建設の会議に出席していましたが、結論は『凍結』というものだったそうです。費用をかけても意味がない、費用に見合った効果がないから中止になったようです」とのことだった。

　

前述A案B案の分岐点になったあたり

　
A案では地主の間では自然保護の立場からの反対の意見があったが、それだけではなく区画整理の約束がないために反対した人もいるようだ。これまでの恩元線の整備区間が区画整理によるものが多かっただけに、自分たちの土地を道路にするとともに、住宅の建てられる価値のある土地にもしてほしいと思ったのかもしれない。

その先の山の反対側には、恩元線と合流する予定だったと思われる道路があった。そして川の反対側には東急線恩田駅があり、駅前には恩田線が通っていた。恩元線と恩田線が合流することはないのだろうか。

　

恩田駅のある場所（青矢印）


恩元線と交差する予定だった道路


恩田駅


駅前の恩田線

　
最後に長年この問題に取り組まれてきた、横山正人（よこやま・まさと）議員に話を伺うことにした。
　
　
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